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──昼休み。
お弁当を食べ終えた私は、いつものように自分の席でヘッドホンを首にかけていた。
窓の外を眺めながら、意識は今朝の昇降口での出来事を思い出している。
(……あのバカ。あんな風に助けられたら、意識しちゃうじゃん……)
顔が熱くなるのを隠すように、机に突っ伏した、その時だった。
「なあ、席替え、次こそ窓際がいいよな〜」
「それな。つか、あそこ座ってる夜宵ってさ……」
私の席から数歩離れたところで、クラスの男子数人がこっちをチラチラ見ながら話し始めたのが聞こえた。
「いつも黒づくめで怖いと思ってたけど、よく見たらパーツめちゃくちゃ整ってね?」
「あ、それ俺も思ってた。地雷メイク落としたら、案外めちゃくちゃ可愛いんじゃね?」
「マジ? 今度ちょっと話しかけてみようかな」
(……っ!?)
心臓が嫌な音を立てた。
やめて。話しかけないで。
私は誰とも関わらないために、この真っ黒な武装をしているのに。
居心地が悪くなって、ヘッドホンを耳に押し込もうとした
──瞬間。
パシィィン!!!
静かな教室に、教科書が机に叩きつけられる大きな音が響いた。
「うおっ!? ……なんだ、白雪かよ。びっくりした〜」
音がした方を向くと、りりあが自分の席で、友達のグループに囲まれたまま立ち上がっていた。
「あ、ごめ〜ん! 手が滑っちゃった♡」
いつものあざとい笑顔。
だけど、その目は全然笑っていなくて、どこか冷たい光を宿している。
「ねえねえ、そんなことより今日の放課後、新しくできたタピオカ屋さん行かない? りりあ、超行きたいんだよね〜!」
りりあが強引に話題を変えたせいで、男子たちはそっちに気を取られ、私への興味を失くしたようだった。
(……な、に? たまたま……?)
胸のざわつきが消えないまま、結局その日は一度も言葉を交わすことなく、放課後を迎えた。
◆
約束通り、私は放課後も1人で帰宅した。
玄関の鍵を開けて、誰もいないはずの家に一歩踏み入れると──。
「めるちゃん、おかえりっ!!」
「っ!? ……びっくりした……っ」
すでに帰っていたりりあが、制服姿のまま玄関まで走ってきて、私の両手をがっしりと掴んだ。
いつもと違う、真剣な、ちょっと怒ったような顔。
「めるちゃん。今日の昼休み、男子たちにジロジロ見られてたでしょ!」
「え……? あ、うん……。まぁ、そうだけど……」
「ダメ!!! 絶対ダメだからね!!!」
りりあは私の手をギュッと握りしめて、顔をぐっと近づけてきた。
甘い香水の匂いが、一気につま先から頭のてっぺんまで駆け巡る。
「めるちゃんの可愛いお顔は、りりあだけのものなんだから! 学校の男子なんかに見せたら、めっ、なんだからね!」
「な……に、言って……っ」
「お家の中だけじゃないもん。学校にいる時だって、めるちゃんは私のお姉ちゃんなんだからねっ!」
ぷくーっと頬を膨らませて、本気で嫉妬している量産型女子。
ずるい。こんなの、家の中でも外でも、私のペースなんてとっくに狂わされてる。
(……バカ。そんなこと言うなら、学校でも隠すのやめなよ……)
心の声は、口から出せるわけもなくて。
真っ赤になった私の顔を見て、りりあは満足そうに「ふふん♡」と小悪魔みたいに微笑んだ。
コメント
12件
嫉妬してるりりあちゃん可愛いし戸惑うめるちゃんも可愛い…!!!
地雷も量産も大好きだから、供給過多でやばい…ƪ(˘⌣˘)ʃ りりあちゃんもめるちゃんも可愛すぎるよっ✨ 1話から全部見ちゃいました…
(⃔ *`꒳´ * )⃕↝コアクマ!!