ベッドまで行って布団に潜りこむ
「あとはじっとしてるんよ」
ふらふらと危なげな歩き方の俺に付いてきた卯月はそういってベッドわきのサイドテーブルにみかんゼリーを置く
「買ってきたゼリーは後でたべや」
俺を見てにっと笑う卯月はつくづくいいやつだなと思った
しばらくしてベッドに入りながらスマホをいじっていると文也がベッドの横に走ってきた
「文也?明日まで任務じゃ···?」
「卯月から聞いたよ。任務秒で片付けて帰ってきたから。卯月はもう帰っちゃったけど」
文也が優しく俺の頭を撫でる
「朝はやっぱり普通じゃなかったんだね。ちゃんと言ってくれればよかったのに」
「いや···心配とかされたらめんどいし··· 」
なぜか少し気まずくて目をそらす
「任務先で氷雨が酷い熱だって言われるほうが心配するんだけどなぁ」
「···ごめん 」
俺が控えめに謝ると文也はまた俺の頭を撫でる
「でもだいぶ良くなったみたいで安心したよ。」
文也はベッドわきの椅子に座って柔らかく微笑む
「あ。みかんゼリーだ。卯月に買ってきて貰ったの?」
サイドテーブルに置かれたみかんゼリーを見た文也の問いかけに頷いた時ふと魔が差した
多分風邪で弱っていたからだ。うん。絶対
この時俺は文也に甘えたいと思った。
そしてそれが口をついて出た
「···それ食いたいからさ···食わせろよ///···文也が俺に///」
言ってしまってからじわじわと頬が熱くなる
文也は少し驚いたように目を丸くしてから微笑む
「いいよ」
ゼリーを食べるために体を起こす
文也はみかんゼリーの蓋をとって手頃な量をすくいとる
そんな何気ない動きを綺麗だと思ってしまって、 さすがに文也の事を好きすぎだなと恥ずかしくなった
「はい。」
そんな考えを振り払うために差し出されたゼリーをぱくりと食べる
「美味しい?」
「ん。///」
こくりと頷いてもう一度口を開ける
今日は無性に文也に甘えたくて甘やかされたくて
風邪で弱っているからと言い訳をして。
そんな心境を知ってか知らずか文也も俺を甘やかしてくれた
ゼリーを食べ終わって空の容器などを片付けた文也は、唐突に俺の隣に寝転がった
「えっ?」
思わず文也を見返した俺に向かって楽しそうに文也は目を細める
「急いで任務片付けてきたから疲れちゃったんだよ。一緒に寝させて?」
すぐ近くから文也に見つめられて頬が熱くなる
「···別にいいけど」
なんだか恥ずかしくなって仰向けで天井を見ながら答える
すると文也に抱きしめられた
俺を抱き枕のようにして腕や足を絡めてくる
文也の安心する匂いとじんわりと伝わる体温に包まれてとても居心地がいい
「おやすみ」
少しかさついた低めの声が心地よくて俺はそのまま眠りに落ちた