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「高木くん!」
佐藤は今にも寝そうな高木をぐらぐら揺らした。
「んわぁ…も…無理です」
「このままだと貫徹です」
ふあ、と白鳥が立ち上がる。
「どこまで打てた?誤字だらけだった」
「高木!この調書も…」
「高木くん!あの被害届が先だ!まだ出来上がらんか!」
「いやーー!」
高木は頭を抱えて首を振った。
千葉がふら、と隈をつくりやってくる。
「ガサはいいけどうまくいきすぎた…」
佐藤はため息をつき腕を組む。
「るせぇ!さわんじゃねーよ!」
「俺は無実だ!サツの野郎!親子丼出しやがれぇっ」
ぎゃあぎゃあと詐欺グループが廊下をわらわら行く。
「…馬鹿でよかったじゃないの」
「予想以上に人数がいて取り調べに時間かかりましたから…」
「うー…」
高木は顎をデスクに乗せたままスマホを見る。
待ち受けにを見て明らかにへら、となるのがわかった。
ばっ!と佐藤が上から取り上げる。
「早く帰りたいなら仕事する!」
「だぁって佐藤さん!」
高木は必死に訴える。
「彼女不足でもうキーが叩けないんですよ!わかりますか!?」
「わかるけど!あなたが彼女にべったりなのは!」
白鳥もスマホをいじりながら苛々とした顔をする。
「無理!いや!」
「いや!?あなた仕事なんだと思ってるのよ!」
「思いっ…きり!」
と高木は台詞をためる。
「甘やかされなきゃもうできない!帰ります!」
すっくと立ち上がり逃げるように走り出す。
「あ、あなたねぇっ…!?あま…甘やかされなきゃですって!?大の男が、って高木くん!」
「あぁ、もうだめだありゃ」
千葉が両手を広げた。
ガチャ、とドアを開けた名前は寝ていたので髪をかきあげた。
「ただいまー!」
えへっ!という高木の笑顔に、名前は腕を組んだ。
「…あなた。今何時だと思ってるの?」
言っている間に高木は名前に抱きつく。
「近所迷惑だから…もう。朝来たらよかったのに…」
言いながら名前は胸元にぐりぐり顔を埋める高木に、困ったように手を回した。
高木は泣きそうな顔をして見せる。
「だって朝また行かなくちゃです…名前さーん…」
「仕方ないわねぇ…」
「お腹すきましたぁ…」
ぐるぐる、と鳴る音に名前はキッチンへ行く。
へへへ…とする高木に、名前は肩をすくめた。
「そんなこともわからないの!?」
と由美が出した声に、交通課は皆カウンターを見た。
「すみません…初めてそれ提出するから…」
こわいよう。といったわかりやすい態度に、由美はますます苛々しだす。
「美和子に聞いた!?新卒!」
しゃがみこんで頭を押さえる高木を身を乗り出して見下ろす。
「佐藤さん…休みだし」
ちら、と高木はしゃがんでいたカウンターから目元だけ出す。
「白鳥さん…いないし千葉もわからないって…」
はあっ!と由美。
「これを教えるのはわたしの仕事じゃないわ!」
ぱんっと書類を叩く。
「でも今日受理されないと明日佐藤さんに怒られる…」
「知らなーー」
「はいはい」
由美の肩を押さえて名前は出てきた。
ん?と高木を見て首をかしげる。
「高木渉です…」
もじもじする高木にまた由美が苛々してきたので、名前は首を振った。
「いいわよ。控えないと困るんだから、高木?」
ぽん、とはんこを押す名前。
「次からはちゃんとしてね」
「名前!甘すぎよーーただでさえ所轄の野郎たち酷い誤字脱字なのよ!わかるでしょ」
「はいはい」
と名前は首を振る。
「あ…すみません…」
こちらに向けられた書類に、高木は名前を見る。
首をかしげて、名前は笑った。
「がんばれ?高木くんーー」
「ぶどう食べる?」
と名前がテーブルでうどんを食べ終わった高木に尋ねる。
「もらったのよ、お隣に…」
高木はむっとした。
「お隣男性じゃありませんでした?」
「そうよ?風が強い日に…」
コト、と硝子の皿にぶどうが出される。
「洗濯物でパンツが飛んできて…」
あはは、と名前。
「郵便受けにたたんで、メモ入れて入れたら」
と顎をやる。
「そういうのは名前さんがやっちゃだめです!」
未だ険しい顔の高木に、名前はきょとんとした。
ふん!とソファに行く高木に、名前はくすくすしてぶどうを持って行った。
「ほら」
高木が一粒差し出されるぶどうに、名前を見た。
「あーん」
「次からは僕に言うんですよっ…」
ぱっと高木は表情を変えた。満面の笑み。
「あむ」
「(まったく…)」
名前はやれやれ。と困ったように笑った。
「あ、いたいた。名前さん」
軽く走ってくる佐藤に、名前は振り向く。
「ごめんなさいね…この前うちの高木が…わたしもちゃんと教えられてなくて」
「いいのよ。由美がやったら」
ふふん、と名前は目を細めた。
「所轄のほとんどの書類は棄却よ?」
佐藤は頭をがくっとした。
「いつもほんとに…あ、そうそう。それであいつ」
名前は目をぱちくりした。
「名前さんが可愛いし優しいし、次から名前さんに聞くから!って聞かないのよ!」
もう!と佐藤。
「だからごめんなさい…また事あるごとにあなたのところに…たぶん」
申し訳なさそうな佐藤に名前は笑った。
「いいってば。あんまり厳しくすると思うようにできないわよ、男は…」
「もうひとつくだひゃい」
「はい」
「おいひい…」
「パンツ代」
「んん!」
高木はまた嫌な顔をする。
がばっと膝に倒れてきて、名前はぶどうを上にあげる。
「はぁー…」
名前は頭を撫ではじめる。
「お疲れ様です。高木刑事」
「名前さんお風呂…」
顎をのせて高木は見上げてくる。
「寝てからにしたら?眠くないの?」
「お風呂…」
と名前のシャツを引っ張る。
わしゃわしゃと後ろから頭を洗うと、高木は機嫌よさそうに鼻唄まじり。
「にゃーふふっ!ふーん…」
「甘えんぼねぇ…」
椅子から見上げる顔はふにゃふにゃだ。
「あ、ちょっと…」
胸元を揉まれて、名前はくすぐったそうにからだを引いた。
「僕のだもん」
「はいはい」
「さわるー…」
「だぁめ!」
名前はシャワーをぶっかけた。
「ぷはっ!」
「からだ洗うの?どうする?」
「はーい…」
大人しくなる高木に、名前は笑いながらボディソープを泡立てた。
立ち上がりこちらを向く高木に、名前はそれを見てふふっと笑った。
「よくそんな元気あるじゃない…仕事はできないのに?」
洗いながら名前は高木を見上げる。
「んっ…名前さん不足で無理です…だから…」
洗っていた動かし方を上下に変える。
「したいです。だめですか?」
「ほんとにもう」
ざー、と泡だらけの高木を流す。
えい!と高木はバスタオルで名前ごと抱く。
「やっちょっと…あなた髪とからだが濡れ…あはっ」
「ふいてくださーい」
あはは…と濡れたままベッドに座りこむ高木に、ばさりとタオルをかける。
「気持ちいいです…」
ほわん。と高木は目をうっとりさせた。
「…あなた、ほんとに甘えんぼね」
「名前さんしか甘やかしてくれないですよ…ずっと僕だけにしてくださいね?」
名前は少し意地悪な顔になる。
「わたしはじゃあ誰が甘やかしてくれるのかしら?」
「僕っーー!」
飛び付かれて名前は叫んでベッドに倒れた。
「名前さんは…」
ちゅう。と口付けられる。
「キスが好き」
にこっ。と高木は笑う。
「…」
「色んなところに…」
「ちょっ」
ちゅっ、ちゅ、と腕にまでされて名前は身をよじった。
「僕がキスするのが好きです」
「…他には?」
名前は首に腕をまわす。うーん?と高木。
「あ、ここも」
「んっ…」
ちゅ、と乳首を口に含まれ名前は少し赤くなった。
「すぐ…気持ちよくなっちゃう…」
「あーー」
「こうやって…揉むと……」
下から上にされると、名前はさらに声を出した。
「…ね?たくさん甘やかしてあげます。名前さん…」
たしかに胸は弱い。はあっ!と名前は息を吐いて頬を染めた。
「舐めるより…」
つぷ。と指が入る。
「こっち」
「んん!」
名前は上の敏感な芽も擦られてびくっとした。
「ここも…いじめられたいんです、よね?」
にや、とする高木に名前はまだ赤くなった。
「っ…あ」
指を出し入れされる。高木は自分のそれもいじりだした。
「僕が…はあっ…気持ちよくなるところ…見るのは大好き……」
「渉…」
名前が口を開けるのですぐに高木は差し出した。
「んむ…っん…」
「あーーぼ、くが…」
高木は腰を緩く揺らす。
「なかに出すのも……そうでしょ…」
名前は頷いた。
「んあっ」
「ほしい?」
と高木は名前を抱き起こしてちゅっ、とする。
「…っ」
苦しそうな名前の顔に、へへ…と高木は笑う。
「キスしながら…」
「ふぅう…」
ぬるぅ、と入ってくる高木の背中に名前はしがみつく。
「はっ…入れられると…たまらなくなっちゃう」
どさ、と倒され膝をもたれる。
「甘やかしてあげます…名前さん」
「ああっ!」
「可愛いです…」
きゅう。とシーツを握る恥ずかしそうな姿も…たまにこちらにとろとろした目を向けるのも。
僕はそれでーー甘やかされて、甘やかされて……。
「ああっ!わ、渉っ…好き…すきぃい」
そう言って唇をせがむときは、もう。
「い…」
「ダメっ…先に僕がイクのがいいでしょ…?」
名前は激しく頷いた。
耳元で。同じように。荒れた吐息で。
「あぁ、イクイク…名前…っ!」
「ふぁぁぁ…」
そう…されるのが好きなら。トクトク熱い精液が奥まで満たす感覚が。
「甘やかしてあげます…はぁ…これからもずうっと…先輩……」
「戻りまし…ありゃ」
グロテスクな所轄の面子に、ひとり元気な高木は首をかしげた。
「終わったわよ…」
突っ伏しながら佐藤。
「よかったですね!」
あはは!と高木。
「あのねぇっ!?」
誰が消えたせいだとーーと言いかけて、後ろから名前が出てくる。
急に咳払いして背や身なりを気にする男らに、佐藤は目を細めた。
がさ。と名前は袋を見せる。
「いつもごめんなさいね、佐藤刑事。皆さんも…」
「差し入れでーす」
と一緒に笑う高木に、佐藤はまた椅子にもだれかかった。
「なに…」
と目を擦る白鳥に、名前は中身をがさがさしてそっと出した。
「クッキー?」
「わたしが作ったの。最も…高木くんが好きだから瓶に入れてあったやつだけど。大丈夫だと…」
「高木!」
「お…こっちも配りやがれ!」
「はやく!なくなる!」
まわりに群がる刑事らに、高木はきょとんとした。
「あぁ…きっとわたしたちもあなたに」
ちら、と佐藤はクッキーを取り名前を見た。
高木も名前を見る。ぷふ。と笑った。
「仕方ないわねぇ」
ふふっ!と名前は肩を縮めて笑った。
甘やかして、溶けるほど。甘やかされて。極上までに優しく。
高木は名前の耳元で言った。
みんなは今だけ。でもーー
僕だけはずうっと、ですからね…?
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