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#しーちゃんの小説コンテスト
めんだこ🤍🐙✨️
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(株)姫神V
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カサッ——。
庭の草を踏む小さな音。
セトは布団から勢いよく起き上がった。
狼耳がぴんと立ち、青と黄色のオッドアイが暗闇を見つめる。
(……七人。)
風に乗って匂いが届く。
薬品。
金属。
そして、研究所の人間たち。
「……ルル。」
眠っているルルの肩を優しく揺する。
「起きて。」
「ん……セト?」
寝ぼけた声だったが、セトの真剣な表情を見ると一気に目が覚めた。
「来た。」
「……!」
「研究所。」
その一言で、ルルの顔から笑みが消えた。
コンコン。
玄関を叩く音。
「夜分失礼します。」
落ち着いた男の声。
「こちらは国の研究機関です。」
「少々、お話を——」
ガチャ。
ルルは鍵を開けることなく叫んだ。
「帰ってください。」
しばらく沈黙が流れる。
やがて外から低い笑い声が聞こえた。
「交渉は決裂か。」
その瞬間——
バンッ!!
玄関の扉が蹴り破られた。
黒い戦闘服の男たちが一斉に雪崩れ込んでくる。
「目標確認!」
「実験体No.0124を確保!」
「ルル!」
「裏から逃げろ!」
セトは首を横に振った。
「嫌。」
「でも!」
「もう。」
セトは震える拳を握り締める。
「もう逃げるだけは嫌。」
研究所では、いつも逃げることしかできなかった。
捕まって。
苦しんで。
泣いて。
また逃げて。
そんな繰り返しだった。
でも今は違う。
守りたい人がいる。
帰りたい家がある。
だから——。
「ルルを……守る。」
セトの身体を淡い青い光が包み始めた。
狼耳が大きくなり、青から水色へとグラデーションのかかった長いポニーテールがふわりと揺れる。
白衣が風を受けてはためき、ふわふわで少しごわついた狼の尻尾が大きく膨らんだ。
青い左目と黄色い右目が鋭く光る。
「行く。」
男が麻酔銃を構えた。
「撃て!」
パンッ!
セトは一瞬で姿を消した。
「なっ!」
次の瞬間には男の背後。
「速い!」
セトは男の腕を軽く叩くだけで、麻酔銃を床へ落とさせる。
「ぐっ!」
次々と男たちの武器が弾き飛ばされる。
セトは誰一人傷つけようとはしなかった。
研究所で味わった痛みを、誰にも与えたくなかったから。
「武器を……壊すだけ。」
しかし一人だけ、ナイフを抜いた男がいた。
「化け物が!」
男がセトへ飛びかかる。
「危ない!」
ルルが叫ぶ。
その瞬間。
セトの瞳が金色に輝いた。
「……!」
狼のような鋭い反応で攻撃を避け、そのまま男を床へ押さえ込む。
「もう……やめて。」
セトの声は震えていた。
「僕は戦いたくない。」
その言葉に、一瞬だけ男たちの動きが止まる。
その時だった。
家の外から怒鳴り声が響く。
「ルル!」
「大丈夫か!」
源じいだった。
漁師たちが棍棒や網を手に集まってくる。
「セトくんは渡さん!」
「町の子に何しとる!」
さらに近所のおばさんたちまで。
「警察呼んだからね!」
「もう逃げられないよ!」
子どもたちまで後ろから顔を出している。
「セト兄ちゃん!」
「負けるな!」
セトは目を見開いた。
こんなにもたくさんの人が、自分のために集まってくれている。
研究員たちは顔を見合わせる。
「住民が多すぎる……。」
「これ以上はまずい。」
「一時撤退だ!」
男たちは慌てて車へ乗り込み、夜の闇へ消えていった。
静けさが戻る。
緊張が解けた途端、セトの膝から力が抜けた。
「……あ。」
倒れそうになった身体を、ルルが抱き止める。
「セト!」
「終わった……?」
「ああ。」
「みんな追い払ってくれた。」
セトは安心したように微笑んだ。
「よかった……。」
「ルル。」
「ん?」
「僕……守れた?」
ルルは強く頷く。
「守ってくれた。」
「俺だけじゃない。」
「この町のみんなを。」
その言葉を聞いたセトは、少し照れたように笑った。
「……そっか。」
その様子を、遠く離れた丘の上から博士が双眼鏡で見つめていた。
「住民全員が、実験体の味方についたか。」
博士は静かに息をつく。
「予想以上だ。」
助手が尋ねる。
「次はどうしますか?」
博士は双眼鏡を下ろし、夜空を見上げた。
「……私が直接、セトに会おう。」
その声には、これまでの冷徹さとは違う響きが混じっていた。
まるで、長年胸の奥にしまい込んでいた感情が、少しずつ揺らぎ始めているかのように。
コメント
1件
セトが「もう逃げるだけは嫌」って言ったシーン、めっちゃグッときた…! 研究所では逃げるしかなかった子が、ルルや町のみんなを守るために立ち向かう決意をするの、成長が感じられて泣ける。しかも誰も傷つけずに武器だけ壊す戦い方、優しさが滲んでて最高。最後に源じい含め町中が味方になる展開、熱すぎるっしょ。博士の「直接会おう」も気になるわ〜次話マジで待ってる🔥