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――翌日
生徒たちが登校すると校舎内では見慣れた二人が追いかけっこをしていた
……ただし、今日はいつもと様子が違う
勇斗「だから、待てってば!」
仁人「いたっ!離せよ!」
勇斗「一旦、俺の話を聞けって!」
仁人「聞くことなんかない!」
いつもなら佐野が一方的に吉田を追いかけ、周囲が呆れながらも野次を飛ばす
けれど、今日は二人の間にいつものような軽い空気はなかった
佐野の表情は必死で吉田は今にも泣き出しそうな顔をしていた
生徒たちも異変に気づきそれぞれ二人を止めようと駆け寄る
そのときだった
仁人「だから!!離せってば!!」
吉田が叫んだ瞬間――
ガタガタガタッ!!
校舎全体が大きく揺れた
ケビン「うわっ!?」
アロハ「な、なんだよこれ……!」
突然身体に圧倒的な圧力がかかる
生徒たちはその場から動くこともできず次々と床に膝をついた
立っていられる者など誰一人としていなかった
そして、能力を使おうとしても発動しない
まるで、何かに強制的に封じられているかのようだった
この異常な状況を引き起こしているのは吉田仁人
今まで誰も知らなかった彼の本当の能力だった
感情の高ぶりに呼応するようにその力は際限なく広がっていく
吉田自身ももう制御できていなかった
周囲から誰かが呼びかけている
けれど、その声は吉田の耳に届かない
ただ、涙だけが頬を伝っていた
仁人「なんで……っ」
震える声が静まり返った校舎に響く
仁人「なんで……好きって言ったじゃん……!」
勇斗「じ……仁人……」
仁人「……もう、俺分かんないよ……」
佐野は必死に吉田へ手を伸ばした
勇斗「仁人、お願いだから……!」
しかし、その手が届くことはなかった
パンッ!
吉田は伸ばされた手を叩き落とした
仁人「……もう、誰も信用しない」
その言葉に、佐野の動きが止まった
吉田は愛情を知らずに育ってきた
両親を早くに亡くし親戚の家を転々とする日々
誰かに大切にされることも無条件に愛されることも吉田にとっては遠い世界の話だった
やがて能力が発現すると親戚たちは吉田を施設へ送った
自分の力が何なのかもどうしてこんなことになったのかも分からないまま
誰かを信じることも、誰かに甘えることもいつしか諦めるようになっていた
そんな吉田の前に現れたのが佐野勇斗だった
真っ直ぐに好意を向けてくる佐野
どれだけ冷たくしても、どれだけ突き放しても変わらず自分を好きだと言ってくれる人
吉田は初めて愛情というものを知った
そして、佐野の告白を聞いたとき
本当はどうしようもなく嬉しかった
自分もこの人を信じてみたい
そう思い始めていたのに
あの日、佐野が別の女の子とデートしている姿を見てしまった
佐野の言葉も、向けられた笑顔も、全部偽りのものだったのだと思った
せっかく、信じてみようと思えたのに
せっかく、愛されることを知れたと思ったのに
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ゆき
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仁人「……もう、いい」
その声はひどく静かだった
柔太朗「じん……ちゃん……」
重たい圧力に耐えながら山中が必死に声を絞り出す
柔太朗「このままじゃ……身体が……もたないよ……」
仁人「……いいよ」
柔太朗「……っ!」
仁人「もう……終わりたいんだ」
その瞬間
吉田の鼻から赤い血が一筋垂れた
身体が大きくよろめく
勇斗「仁人……?」
吉田の力がわずかに弱まった
そして――
糸が切れたように吉田の身体が崩れ落ちた
同時に校舎を覆っていた圧力が消える
床に押さえつけられていた生徒たちが一斉に動けるようになり能力も発動し始めた
勇斗「っ、仁人!!」
真っ先に駆け寄った佐野は倒れた吉田を抱き起こした
勇斗「仁人!おい、仁人!!」
返事はない
何度呼びかけても吉田は目を覚まさなかった
勇斗「お願いだ……仁人……」
震える腕で吉田の身体をぎゅっと抱きしめる
勇斗「目を覚ましてくれ……頼むから……」
声が震えた
自分が何をしたのかようやく分かった気がした
守りたかった
仁人を傷つけたくなかった
なのに、自分の選択が誰よりも大切な人を傷つけてしまった
勇斗「……俺が悪かった……ごめん……」
涙が吉田の制服に落ちる
そのとき
雅哉「……先輩」
声をかけてきたのは桜木雅哉だった
佐野が顔を上げる
桜木は倒れた吉田を見つめ静かに口を開いた
雅哉「俺に任せてください」
そう言うと桜木は吉田の身体にそっと手をかざした
―吉田仁人の能力【決定版】ー
封印・制圧
周囲の人間の能力を強制的に無効化し行動を制限する能力
過剰な使用は本人の身体にも大きな負担を与える
コメント
7件
すれ違いが起きるとこんなにも苦しくなるのかを知る物語すぎる

💙さんのそれは間違ってるでの発言?はこのことだったんだ 💛さんの寂しいくて悲しい過去 そして🩷さんとのすれ違いに能力暴走でも最後の頼もしい任せてくださいで💛さんどうなるのか気になります次回も楽しみです
次のお話が楽しみです‼️‼️‼️‼️