テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⚠️ nmmn knkz 伏字❌
knとkzが心中するおはなし
『永遠ごっこの続き』
「葛葉、永遠ってなんだとおもう?」
急にこいつは何を言ってるんだ。わかってるだろ、永遠なんて存在しないことなんて。
「なにそれ、てか何?急に」
「なんも理由ないよ、ただ確かめたかっただけ」
「はあ…」
最近叶の様子がおかしい。配信の頻度も減ったし、ずっとつまらなさそうだ。
『確かめたかっただけ』
この一言がどうも飲み込めなかった。
「最近様子おかしいけど、どうしたんだよ」
「いや、どうしたら僕と葛葉は永遠になれるのかなって」
「……は?」
本当になんなんだこいつ。頭のネジ外れたんじゃねえの?
「急に意味深なこと言うなよ、ビビるわ」
「あは、ごめんね」
「でさ、永遠ってどうやったらなれるとおもう?」
「…」
叶は何がしたいのかよくわからなかった。もう七年くらいずっと一緒にいるもんだから、いつもなら相方が何を考えてるのかなんてすぐわかるのに。
「…永遠なんて、最初から存在しないだろ」
長い間の沈黙に耐えられず、重い口を開いた。本当はこんなこと言いたくない。俺だって信じてみたいさ、永遠ってもんを。でも俺は経験してこなかった。何百年と生きている間、少なくとも永遠なんてものは存在しなかったからだ。
「そうかな?僕はね、死ねばいいと思うんだよね、永遠になるためには。」
一気に冷や汗がどばどば出てきた。こいつ死ぬつもりだ。
「…お前、死ぬの?」
「どうだと思う?」
いつもの冗談みたいに笑ってくれたら、それで終わりにできたのに。
「否定しないってことは、本気なんだろ?」
「…まあね〜」
「っやめろよ、死ぬなよ」
叶からの返答は無かった。このまま放っておいたらひとりで本当に死んでしまう。そんな気がした。
何度も同じ名前を呼んで、何度も同じ顔を見送ってきた夜が頭をよぎった。
「…俺も、連れてけよ」
「うわあ!!夜の海すご!!綺麗!!」
「…なあ、ほんとに死ぬの?」
「当たり前じゃん笑 何のためにここ来たと思ってるんだよ」
辺りは一面、海に囲まれていた。
まるで逃げられないよ、とでも言うように。
「…葛葉は、いつもみたいに看取ってくれるもんね」
「…」
「…もう、看取り役はこりごりだ」
一瞬、叶の目が大きく見開いた
「俺、初めてだよ。夜の海がこんなに怖いの。多分海が怖いんじゃなくて、お前がこの真っ黒なのに飲み込まれるんだなって思うとゾッとするよ。ほんと…」
「………俺、ひとりになりたくない」
「…ははっ、あははは!!!」
少しの沈黙の後、叶は静かに吹き出した。
「なにそれ!お前寂しがり屋すぎるだろ!」
「は…!?こっちは本気なんだよ!」
二人で見合って、沢山笑った。なんだか馬鹿らしくなって。俺たちの行き着く結末なんて、もうとっくにわかっているのに。
「…いこっか」
「…うん」
「ちょっと寒いかもしれない…てかだいぶ。って葛葉?お前大丈夫そ?」
「まじで寒いふざけんな」
足先の感覚が、少しずつわからなくなってきた。
「…葛葉、怖い?」
「いや、全然」
これは本心だった。別に怖くもないし、逃げ出したいとも思わない。叶がいるから。
もうだいぶ時間が経っただろうか。そろそろ本気で寒い。
「…俺、ほんとにしぬんだなぁ…」
ようやく看取り役から解放される。今はそれでいいと思えた。
「ここで潜ろっか」
「せーの!」
『大好きだよ』
結局、俺達は最後までその言葉に名前をつけなかった。
そして、叶は最後まで何を確かめたかったのかも教えてはくれなかった。
いつもなんとなく別れて、
なんとなく巡り会って、
なんとなく二人で過ごす。
こんなことをする相手なんて、叶にとったら誰でもよかったのかもしれない。
でも、俺は叶じゃなきゃ駄目だった。
俺は、永遠なんてものは存在しない。
そう思い込んでいただけだったのだろうか?
本当に永遠になりたかったのは、叶だけだったのだろうか?
今までの生活は、俺の中での「永遠ごっこ」だったのかもしれない。
俺は、信じようと思った。
叶となら、永遠になれる、と。
それは何度も生き残ってきた俺が、最後まで一度も選ばなかった紛れもない嘘だった。
「永遠」なんて信じるのは
残していく側だけが、勝手に信じていればいい。
コメント
3件
天才かよ巫山戯るな((
は?好きなんだが