【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
間違えた、間違えた間違えた間違えた……!!!!
きっと俺は顔面蒼白になっていたと思う。
一気に酔いが醒めると同時に背筋が凍る思いだった。
(…最っ悪…)
間違えてまろにあんなことを口走るなんて。
時間が巻き戻せるならどれほどいいかと、この時ほど切に願ったことはなかった。
その日の会食は、予定より少し早く終わった。
手応えは上々。
今後もよろしくお願いします、なんて握手を交わして相手方と別れるころには結構酒の酔いが回っていたと思う。
会食でいろんな人に会うのは楽しい。
その人ならではの人生観を聞くこともできるし、何より自分にない考え方に触れたときは興味深い。
今日の相手もそんな人たちだった。
数時間はあっという間で充実した時間だったはずだ。
でもいつも、誰かと飲んだときはその後すぐに会いたくなる相手がいる。
会食や飲み会が嫌だったわけでもなく、どれだけ楽しかったとしても、だ。
「誰か」と会うたびに「あいつ」が恋しくなるなんて子供みたいな感情、恥ずかしくて口にできるわけもないけれど。
そしてそれを実行して会いに行くなんてことができるほどの勇気もない俺は、呼んだタクシーに乗り込むと運転手に自分の家の住所を告げた。
…はず、だった。
誰かに起こされた気がして、うっすらと目を開く。
最近では自分の家の次くらいに見慣れた天井。
柔らかいベッドのスプリングの感触。
視線を少しずらすと、こちらを見下ろす目に気付いた。
…あぁ、なんだ夢か。
自分の家に帰ったはずだから、ここがまろの家なわけがないしあいつがいるわけもない。
会いたいと思いすぎたせいで、ついに夢にまで見ちゃったか。
自分でもおかしくなってふっと唇に笑みを零した。
夢でなら、いくらでも言えそうなのに。
とろんとしか開かない覚醒しきらない目ですぐそこの男を見上げ、俺はゆっくりと手を伸ばす。
「……すき」
甘えるようにその首に腕を絡めようとした…その時だった。
「……え?」
聞き慣れた低い声が、俺の耳を打つ。
戸惑ったようなその声音に、俺は一瞬でバッと顔を上げた。
夢なんかよりよっぽどリアルなその声。
つまりこれが現実だと嫌でも思い知らされる。
まろの首に回しかけていた手を離し、俺は信じられない思いでこれ以上ないくらいに目を見開いてしまった。
「まろ…!? …ごめん、俺…」
肝が冷えるというのはこういうことだろうか。
瞬時に覚醒した頭は、それでも目の前の現実を処理しきれずバグりそうだ。
「間違えた…」
タクシーで自分の家に帰ったつもりだった。
それでも酔いすぎていた俺は、記憶が虚ろなうちに自分の願望に従ってここに来てしまっていたらしい。
そういえば、まろと少しだけ会話をしたような気もする。
(間違えた、間違えた間違えた間違えた……!!!!)
だって、言うつもりなんてなかったんだ。
まろのことが好きだと自覚したとき、この想いは誰にも云わないと決めていた。
困らせることも分かっていたし、まろにどうしてほしいわけでもなかったから。
メンバーとして…そして友人として大事にしてくれているのが分かっていたから、そこに他の人との差がなくても満足だった。
だから、この気持ちは自分の中に閉じ込めておくと決めていたのに。
間違えて口にするなんて許されないことだったのに……。
「……寝ぼけすぎやろ。そんなんえぇからちょっと奥つめて。俺もう眠いねん」
苦笑いを零しながら、まろは俺をベッドの奥へ押した。
半分開けるように譲ると、「おやすみー」とあくびまじりな挨拶をよこす。
俺に背を向けたまま、まろはそのまま言葉通りすぐに眠ってしまった。
(…最っ悪…)
明日、どんな顔をして会えばいいんだろう。
重くのしかかるような感情を持て余して、俺はまろに背を向けるとベッドの中で身を小さく縮めた。
コメント
2件
間違えたの意味はそっちだったのですね、!?😳❣️ 青さんは別の人だと思って桃さんは自分の家と間違う……すれ違いがはげしい😖😖 気まずさMAXの中お互い夜を過ごしたら次の日はどうなっちゃうのでしょう…🤔 あおば様の作品のタイトルには意味が深く結びついてると思っているので『一方通行』の意味を考える日々です…ꉂ🤭︎💕 最近の投稿を一気見したので元気100倍で本日も頑張れそうです!!😽💝
素敵すぎるお話、、 どうやったら、ノベルでこんなに上手にかけるのか、、コツがあれば教えてほしいです!面倒だったら全然いいですよ!