コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「直接会って、手紙渡す事にしたんだ。」
半月経って、導き出した答えは、手紙だった。
「事情を話しても信じてもらえないってもうわかってる。口論になって殺されるだろうね。」
太宰は「ふーん」と軽く返事をする。
太宰「意外だよ。〇〇なら羊と真剣に話し合うと思ったけどね。で、内容は?」
私は。もう作成済みの手紙を渡す。丁寧に4つ折りされている。太宰は何の反応も見せずに紙を返してきた。返答はあまりにも鬼畜なものだった。
太宰「此れじゃ想いが伝わらない。もっと自分の想いをのせて、力強くしないと。」
「分かった。もう一度書き直してみる。」
私はペンを持ち、紙とにらめっこしながら、訂正を始める。今度は羊の事を…真剣に考えて。頭に浮かんだのは、数年共に過ごした仲間。白瀬や柚杏の笑顔が脳裏に焼き付く。10分もしない内に、手紙は書き終え、太宰にも認められるクオリティとなった。太宰と私はハイタッチを交わした。
その時、太宰が頼んだ「蟹風味 橘堂直伝湯豆腐」が太宰の元に届いた。太宰は幼い笑顔を私に見せた。私は金額的に何も注文してない。
湯豆腐は湯気が立っており、今の太宰では食べれないと思ったので、お冷を頼んだ。だが、太宰は平然と口の中に熱々の豆腐を入れる。あれ…平気そう。
太宰「口広げて。あーん。」
太宰が急にスプーンを向けてきた。私は咄嗟に断る。
「いらないいらないって」
太宰「君は私の犬だ。犬には飼い主が餌を与えないと。この前、〇〇がしてくれたように。」
太宰は頬杖をつき、「まだ?」という表情を浮かべる。
私は恐る恐る口を開き、激熱のものが舌を刺激した。私は山葵を直に食べたような痛みを感じ、太宰は健やかな笑みを浮かべるだけ。
「あつ!!!水!!何処だよ!??」
丁度いいタイミングで水が届いた。だが、受け取ったのは太宰。不味い。太宰は水を持ち私から離れる。今でも豆腐が口から出てきそうだ。いっそ、飲み込んでしまえば…
口の中の熱さが一気になくなった。
_____だが、豆腐を喉に詰まらせてしまったのか、喉の奥が苦しい。私の様子に気が付き、太宰は私の元へ駆け寄る。
背中を擦りながら、真剣に水を飲ませる。詰まった豆腐は胃へと流れ出し、荒くなった呼吸を整えた。
「はあ….はあ。治。もうなんなの…後でクレープ奢ってよね。」
太宰「やりすぎた。ごめん。」
太宰は下を向き、幼い少年を連想させるような謝罪をした。
______この後、チョコバナナクレープを奢ってもらった。まあ、また太宰には一口あげてしまったけれど。
今日は電車で来た為、駅で太宰と別れる事になった。
太宰「もー最悪だよ。また〇〇に奢らせるはめになってしまった。」
「其れは治のせいでしょ?」
ホームに電車が止まった。ゆっくり乗り、発車のベルがなる。それは、二人の別れを見計らったような音色をしていた。