私です。
ポラリス兄弟の話。
兄貴は俺の親代わりだった。
お父さんとお母さんはいつも仕事で忙しくて、俺たちが寝てる間に家に帰ってきて、日が昇る前に家を出る。家に帰らない日もあった。幼稚園年長のあたりからずっとそんなかんじ。
兄貴もまだ小学生だったのに、俺のために料理とか洗濯とか、掃除とかしてくれた。兄貴は俺に優しくしてくれた。
学校の行事とかも、兄貴がわざわざ授業や学校を休んでまで来てくれた。酷い奴らに馬鹿にされることがあっても、兄貴がそいつらをぶん殴ってくれる。
兄貴は俺に大学に行かせてくれた。
俺の話を沢山聞いてくれた。
お父さんやお母さんの代わりに沢山愛情を注いでくれた。
俺の自慢の兄貴だよ。
でも心配なんだ。兄貴はいつも俺のことばっかり。眼鏡だってまだ買わない。ちょっとは自分のことを大切にしてほしい。
今まで兄貴におんぶにだっこだった俺でも、何か恩返しがしたい。
俺が自立した大人になったら、兄貴も肩の荷が降りるのかな。
俺はエリスを守らなければならない。
弟が生まれた日のことを今でも覚えてる。病院から電話があって、親父が運転する車にそわそわしながら乗った。病室でお袋が抱える生まれたばかりの弟に、俺は興味をそそられた。試しに人差し指を近づけると、ずっと小さい手で俺の指を握った。その時から俺は思った。こいつは俺が守るって。
俺が小学校高学年の時に、親父とお袋が家に帰る頻度が減った。寂しそうにしている弟の世話を、親の代わりに俺がすることにした。
弟を守るためならなんでもした。弟を泣かせるやつは誰彼かまわずぶん殴った。
弟にはできるだけ良い人生を送って欲しかった。親が家に入れる金だけでは足りなかったので、喧嘩で高校を退学になった後は俺も働き出した。でも弟に寂しい思いをさせることはなかった。弟は勉強を頑張って、大学に行った。不安だったから、頻繁に連絡を寄越させた。たまに帰ってくるたび嬉しかった。
ただ、俺自身酷く人間不信になっている。弟に友達だの恋人だのできた際には、そいつが弟を貶めないか不安でならない。
弟を守れるのは俺だけだ。
俺が守らなければいけないんだ。
コメント
2件
あ、あああああ兄貴ィ😭😭😭😭😭私も兄貴の妹になりたあああい