テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
中学一年生になりました。萌桜です。この世界にはKOZAKA-Cという、悪者が存在する。テレビのニュース番組にも毎日【ヒーローの出勤日程】と【KOZAKA-C出現情報】が放送されている。
こんな世の中なので、どんな家庭も必ずこれだけは教育されると言われているものがある。それは
母「ヒーローの方たちのことは何があっても裏切っては行けませんよ」
この言葉だ。ヒーローは悪役を倒してくれる人類の最大の味方のような存在だ。平凡な私もそう思う。それくらい、偉大な力を持つヒーローの事をMECHATU-Aと人々は呼んでいた。
20××年○月✕日
母「起床の時間です。起きていますか?」
私の母は変わっている。言葉遣いが丁寧で頭も良く、さらに運動もでき全てが完璧な人である。本当に人間か疑ってしまうくらい。そんな母は小学校のとき虐められていた私に、しっかり向き合い声を上げてくれた大切な存在だ。
萌桜「おはよう!制服初めて着てみたけど、どうかな?」
母「とても良いと思います。きっと、父様も褒めてくださいます。」
萌桜「そうだよね、ありがとう!」
私の父は医者で、家に帰ってこないか、深夜に帰宅の場合が多いためほとんど会うことがない。それでも無理やりでも時間をとって一年に一回、必ず遊園地に連れていってくれる父が私は大好きだ。
萌桜「行ってまいりますー!」
母「お気をつけて。」
中学に入ってからも、小学生の頃の友達と一緒に登校することがほとんどだった。私は友達が決して多い方ではないが、仲の良い人とはそれなりに話していた。
麗羅「おはよう!萌桜。今日から中学だよ。テンション上がるよね。」
この子は私の親友の高柳麗羅(タカヤナギ レイラ)。
私とは正反対の明るい性格であったが、私ほどでは無いが友達は多いとは言えない方であった。それには明確な理由があった。それは話すことがすべていわゆる推し活の話だったからである。興味のない人たちからしたら距離を置いてしまうのは分からなくはないなと思う。
萌桜「麗羅!おはよう。早速キーホルダー付けてるじゃん。笑」
麗羅「当たり前だよ!ソプラ様本当に天使なんだからね。」
ソプラ様とは麗羅が小学4年生の時からずっと好きだった少女漫画のキャラクターだ。私も麗羅に勧められて仕方なく読んでいた記憶がある。興味はないのでほとんど忘れてしまったが、名前が全部音符やパートの名前で少し面白かったのだけは覚えている。
萌桜「麗羅、中学になってもやっぱりKOZAKA-Cって出現するのかな? 」
麗羅「するでしょ。いくら成長したってニュース番組とかで発表がない限り、絶滅してくれないよ。」
萌桜「そうだよね。やばい、もう8時になっちゃう!遅刻になる前に急ごう」
麗羅「本当だ。急ごう!」
学校にて
先生「みなさん、おはようございます。入学式の時もお話しましたが、改めてお話します。」
あ、あの話題か。と一斉にクラス全体が呆れたような表情に変わった。
先生「KOZAKA-Cが出現した場合は迷わず避難所に避難してください。そして、絶対に立ち止まったり、戻ったりしないでくださいね。」
治也「はーい!!先生、早く授業始めようよ!!」
これは佐藤治也(サトウ ハルヤ)。クラスのムードメーカーで女子からはうるさいから少し嫌われている。私も少し苦手なタイプだ。
先生「わかりました。それでは1時間目は数学なので準備してくださいね。ありがとうございました。」
萌桜「ねえ、本当になんで急にKOZAKA-Cなんて出現しだしたんだろうね?つい20年前まではこんな生物居なかったらしいよ。」
麗羅「ええ、そうなの。なんだか少し怖いね。」
萌桜「うん。でもきっとヒーローが守ってくれるから大丈夫だよね。」
そう、この頃まではヒーローが無敵なんだと、本気で信じていた。