2本目。
名前、検索避けしてます
申し訳ない。
→そんなに名前出してないから許してくれ
それでは、go‼︎
「熱による証明」
「tpoー」
珍しい。
いつもなら“暑苦しい”と言って俺を蹴り飛ばすはずの先生が、今日は俺にくっついてきた。
特にこれといったことのない、普通の1日を過ごした後の、普通の夜だった。
何もないのにどこか疲れて、倒れ込むように布団に入った。
「暑苦しいんじゃなかったんですか?」
「寒いと寝られないんだよね。tpo、あったかいから」
「あぁ、最近は涼しくなってきましたもんね」
「うん」
俺に体を擦り寄せる先生は、まるで猫みたいで。
ただ純粋に、嬉しい。
「tpo?」
「なんですか?」
「好きだよ」
そんな、夢を見た。
午前2時、寒さに震えながら目が覚める。
「そうだ、毛布。確か押し入れにあったはず」
返ってくる言葉はない。
先生と共に住んでいたこの家は、先生がいなくなってから妙によそよそしい。
ゆっくりと起き上がれば、生暖かい何かが頬を伝った。無性に喉が渇くが、無視して押し入れに向かう。
先生、遠くに行ってしまった先生。
あんなにも俺に愛の言葉を囁いてくれたのに。
あの夢の、最後の言葉は夢じゃない。
過去だ。
ずっと仕舞い込まれていたような匂いがする毛布を引っ張り出す。
ふわりと舞った埃が、窓から差し込む月明かりにキラキラと照らされた。
思わずくしゃみをひとつ。
パサ、と明らかに毛布ではない何かが床に落ちる音がした。
なんだこれ、手紙?
先生から?
そんなことする人だっけ。
宛名も書かれていない、真っ白の便箋を眺めながら、ベッドへ戻る。
電気をつけなくても月のお陰で十分に明るい。
期待と不安で高鳴る心臓をなんとか宥めて、セロテープで留められた封を破った。
中にあったのは、たった一枚の紙切れ。
そして、
『あったかくして寝ろよ』
俺の目に踊り込んだ、先生の文字。
鉛筆で書かれたこの一言以外には何もなかった。
それだけ?なんだこれ。
先生は何がしたかったんだ?
…あ。
よく月光に透かして見たら沢山書いては消した跡が見えた。
これは、“またね”?
“いい夢見ろよ”とかもある。ような気がする。
…“子”?
子供だって言いたかったのかな?
この薄い影を俺に見られること、先生は想定してなかっただろう。
でも、髪をぐしゃぐしゃと掻きながら悩む先生の姿が見えた気がして。
『あったかくして寝ろよ』
貴方が選んだ言葉、そして、貴方が伝えたかった言葉たちは
とても暖かかった。
「貴方がいないと、俺は寒いままです」
毛布を頭から被る。
「でも、大丈夫です。この寒さが貴方がいたことの証明ですから」
凍えたままで、眠りにつく。
いい夢が見られそうだ。
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😭