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大した怪我ではないはずだった。
剣術に長けた親衛隊として長年稽古を積んできたジークハルトだ。
この程度の怪我など日常茶飯事だったはずなのに……。
ジークハルトの鍛え上げられた体はグラっとバランスを崩した。
膝を地面についた彼は、肩を上下させるほどハァハァと荒い息をし、辛そうである。
（ジークハルト！？）
心配のあまりアンジェリカは顔を真っ青にさせて、祈るように両手を組んだ。
皇帝も予想外のことに驚きの表情を浮かべて、食い入るようにジークハルトを見ている。
ジークハルトはふらつきながらも立ち上がった。
しかし仮面に隠れずに見える唇は辛そうにゆがんでいる。
傾いた形勢にワァァァァァと歓声が沸いた。
女性の黄色い声が飛び交う。
「ウォルトさまの勝ちかしら！」
「こっち向いて～ウォルトさま！」
一方男性人気が高いジークハル＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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