コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
Dandyの店の奥。埃をかぶった棚を整理していると、手のひらサイズの金色のコンパスのようなものが見つかった。
「…?なんだろうこれ…」
コンパスを持ち上げてみたり、軽く触ってみたりするが、ただのコンパスのように見える
Dandyは、皆を呼び寄せてアイテムをテーブルに置いた。
Astroは腕を組んで首を傾げる。
「そういう怪しいの、ロクなことにならないって知ってるよね?」
「心配しすぎだって!見たところただのコンパスだろうし!」
しかし次の瞬間、コンパスの針が勝手にぐるぐる回りだし、光が爆発するように部屋中を覆った。
――ぱちんっ!
光が収まると、そこには奇妙な光景が広がっていた。
「……え?」
首をかしげるのは、Dyleの体に入ったVeeだった。手足を見つめたり、顔を触ったり、軽く動いてみたり…
「はあ????」
「どうなってるの?!」
次に叫んだのはShelly。だがその姿はAstroだった。
「わ、私の体じゃない!?服も違う!あっちょっと浮いてる、どうしようこれ!」
shellyが慌ててバランスを崩すのを見て、落ち着いた声が響いた。
「……なるほど。これは入れ替わり現象ですね」
冷静にDyleが判断する。だが体はsproutという変わった状況。
「体の重心が低い……不思議な感覚です。歩きにくい」
「はぁ!? なんで僕、テレビになってんの!」
そこにいたのはVeeの体に入ったSprout。画面を慌ててぺちぺち叩きながら、アンテナをぐいっと引っ張る。
「これ、僕の顔どうなってる?!動きづらいんだけど!」
その横で、寝っ転がっているPebble。
……が、よく見るとPebbleの中身はAstroらしい。
「ワン…ワウ……」
「あー…あー……や、しゃべれてる?」
そこにはshellyの姿が。しかし中身は Pebble。少し声を出した後、楽しそうに動き回る。
「すごい!ぼくしゃべってる!はなしできるよ!」
Dandyはというと、ただ一人、自分のまま。
コンパスをひょいと指先で回しながら、涙を流しながらヒィヒィと笑い転げていた。
「はあ、面白すぎるよ!このコンパスは複数人いないと反応しないのかな?
…それで、今は、SproutがVeeの体で、VeeがDyleの体で、ShellyがAstroの体で、AstroがPebbleの体で、Dyleがsproutの体で、Pebbleがshellyの体…かな?合ってる?」
「ややこしすぎないか?!」
Dyle姿のVeeが、叫ぶように突っ込んだ。
「…で、どうしよっか?」
Astroの姿のshellyがそう困ったように述べる。
その横でvee姿のsproutがこう質問した。
「そのコンパス、また触ったら元に戻るって事ないの?」
「それが、全く反応無し!……でもまあ、少ししたら戻るでしょ!多分」
Dandyがおちゃらけたように述べた。
「多分??これで一生戻らなかったらどうするんだよ!」
そう言ってvee(中身sprout)は皆の方を指差した。
shelly(中身Pebble)ははしゃぎ回り、sprout(中身Dyle)はひたすら顔をムニムニしており、Pebble(中身Astro)は猫のように大人しく眠っており、Astro(中身shelly)はソワソワとしている。
傍から見れば奇妙な光景にしか見えない。
「ええ、面白いしこのままでもいい気がするけど!!」
「入れ替わってないからそんなことが言えるんだよ…」
「ねーせっかくだしあそぼうよー!ねー!!」
shelly(中身Pebble)がジャンプしながら皆にそう述べた。
しかし、皆自分の事でいっぱいな為、遊べるような雰囲気ではない。
…すると1人が吹っ切れたように椅子から立ち上がった。
「sproutの昨日の真似。
…よおし、クッキー完成!でもなんだかパサパサしてるんだよな…味大丈夫かな?
……ゲホッゴホッ!な、しょっぱい…?!あれ僕間違えて塩入れちゃったかな…?」
sprout(中身Dyle)が少し大袈裟にクッキーを取り出したり、クッキーを口にしてその後咳き込む様子までジェスチャーで表しながら述べた。
場は暫く静まる…が、その後爆発するように皆爆笑した。
「アハハハハ!!sproutそんな事してたの?!」
「フッ…フフフッ……やめて…笑う……
「ヒィ…ヒィ、ジェスチャーがまさにsprout本人過ぎるよ。」
そう笑い転げる皆を見て顔を真っ赤にするvee(中身sprout)
「な…!?確かに失敗したけど…というより見てたの?!!」
「フフ…たまたまそこを通ったら面白いものが見れました。」
皆笑いが止まらない。すると、また1人が笑いながら立ち上がった。
「はい!ちょっと前に見たAstroの行動やりまーす!!
…僕昼寝してくる……いてっ、…なんでここに壁があるんだよ…」
Astro(中身shelly)が眠そうにその場を離れようとするも、壁にぶつかるAstroの真似をした。
「あそれ見た!」
「ハハハハハ!!やめてもう笑い死んじゃうよ!」
「お、お腹痛い…アハハハハ!」
「ワン、ワン、アーフ…!」
Pebble(中身Astro)が抗議するように鳴き声をあげた。
その後は皆で入れ替わった人物の面白い行動を真似しあった。
Dyle(中身vee)は自身の記録ノートの端にポニーの絵を描き、フフッと笑う真似を、
vee(中身sprout)はクイズ番組の舞台裏で喋る内容を確認している際に、派出所という言葉を「はしゅちゅじょ」と噛んでいたところ、
Pebble(中身Astro)はバケツの中に頭から入って抜けなくなってしまったところ、
shelly(中身Pebble)は影に写る自分を見て、恐竜のポーズを取ったり鳴き声を出したりして遊んでいるところを。
そうして皆で大笑いしたり、見られてた?!と恥ずかしそうにしたりと楽しい時間を過ごした。
数時間後、再びコンパスが光を放ち、全員が元通りに戻った。
安心した表情を見せながらも、各自ぐったり。
「もう二度と触らないでね、そんな怪しいの」
Astroが釘を刺す。
「ワタシの貴重な時間を返してほしいものだ」
Veeは自分の姿に安心しながらそう述べる。
Sproutは逆にほっとしたように笑う。
「いやー、二度と体験したくないけど……でもちょっとだけ面白かったかも」
Dyleは小声でつぶやく。
「……案外、観察対象としては悪くありませんでしたが」
Pebbleは「ワン!」と元気よく鳴き、Astroをからかうようにじゃれついた。
Dandyはそんな皆を見て、にやりと笑った。
「いやー、いいネタができたよ!次はもっと面白いアイテム探してくるね!」
「やめろーーー!!!」
全員のツッコミが、夜のDandyの店に響き渡った。