完全にギャグです。
もっきー視点。
深刻そうな顔をして話があると言うから何事かと思えば、えっちの回数を減らして欲しいと言われ、そりゃいつも受け入れる側の涼ちゃんは大変だから、そういう要望が出るのは仕方がないかもしれないという思いと、なんで急にそんなことをという焦りで慌てるのも束の間、まさかの「回数多いせいじゃないかって言われて」ときた。
誰だよ、そんな余計なこと言ったの。
回数が多い? ふざけんなよ、全然足りないんですけど??
俺の言葉の圧に、本能的に名前を言うのを避けたみたいだけど、俺たちの関係を知っていて、涼ちゃんが相談できそうな人間なんて限られている。
数人を思い浮かべながらも、知らなかったわ、と言って反応を見ると、友だちくらいいるからね、とむくれている。
ぷく、と膨らませた頬が可愛い。
キスしたい衝動を我慢しながらこれ以上そこに触れるのはやめると、若井が思い出したような素振りで、俺たちが泊まるのを渋った理由をごく自然な流れで訊いた。
一瞬目を泳がせた涼ちゃんの、なんとなく、と理由にもならない答えを聞いて、若井がふは、と笑った。愉しそうだけど、ちょっといらっとしているときの表情だ。
そして涼ちゃんの反応からベッドに何かあると判断した若井が、迅速に立ち上がって寝室へと足を向けた。慌てて立ち上がった涼ちゃんの腕を掴んでにっこり笑うと、涼ちゃんは怯えたように口元をひくつかせた。
「……元貴、涼ちゃんと一緒にこっち来て」
そのまましばらく待っていると、寝室から若井の声が聞こえた。
涼ちゃんの腕を掴んだまま引っ張るようにして立ち上がり、何も言わないが焦っているとわかる涼ちゃんを、ぐいぐいと引きずりながら寝室へと向かった。
そんな抵抗、取るに足らない可愛いものだ。
「なんかあった?」
逃がさないために先に寝室へと涼ちゃんを押し込み、ドアを閉めて鍵をかける。出口を塞ぐようにドアの前に立ったまま、ベッドを見下ろす若井に問う。
「まぁ……、だいぶ、気になるものが」
面白がっているような、それでいて困惑しているような声に好奇心が疼いて、なに? と首を傾げる。
涼ちゃんだなぁとしか言えない、ごちゃごちゃと物がある寝室は、狭いわけじゃないけど広くもない。汚いわけではないけど、ものが多いっていう印象。なんというか落ち着かない。
若井の家のベッドだとちょっと狭いのと、俺が三人で寝ても余裕のあるベッドを買ったってのもあり、俺の家でことに及ぶことが多いからここに来るのは意外と久しぶりだった。
若井が、開けたばかりです、と言う状態の箱を手にして、これ、と差し出す。
涼ちゃんは両手で顔を隠して、俺たちとその箱から目を背けていた。
「……なにこれ」
「わかんない。初めて見た」
受け取った箱の中にある、なんと説明すればいいのか分からない物体。
ワインオープナーみたいな形状をしているけど、鋭利な感じはしない。むしろやわらそうな、シリコン? かなにかでできてるのかな?
なにこれ? この存在を隠すために俺らを泊めたくなかったの?
「……涼ちゃん?」
顔を隠してうずくまる涼ちゃんの頭に問いかける。
「りょうちゃーん?」
若井が床に膝をつき、涼ちゃんの肩を掴む。
おずおずと顔を上げる涼ちゃんの耳は真っ赤で、え、なにその反応、と目を瞬かせる。
涼ちゃんは深く息を吐くと、消え入りそうに小さな声で言った。
「……すごい疲れるの」
「は?」
ぽかんとする俺たちに、むぅ、と唇を尖らせて涼ちゃんは続けた。
「元貴たちはさぁ、自分のタイミングで出せるけど、俺は倍くらい出してんじゃん」
「なにを? なんの話? お金?」
涼ちゃんのお金をあてにしたことはないはずだけど。
「なんでよ! ……えっちの話だってば!」
「待って待って、マジでわかんない!」
どういうこと!?
座って話そう、と涼ちゃんをベッドに座らせて、涼ちゃんを間に挟んでそれぞれ俺たちが両隣に腰掛ける。とりあえず箱は横に置いておく。
ムスッとしながらも照れたように頬を染める涼ちゃんはすっごく可愛い。
さっきまでの不機嫌なんてどっかに飛んでいって、撫でて甘やかして蕩けさせたくなる。
だけど、しんどい、とか、疲れる、という言葉は気になるからちゃんと話を聞くべきだと、涼ちゃんが話し始めるのを待つ。
「……言っておくけど、えっちがいやなわけじゃないからね」
「うん」
よかった。めちゃくちゃ安心した。若井なんて小さくガッツポーズしてるんじゃん。
「いやなわけじゃないんだけど、すっごい疲れるの。次の日腰痛いし、喉もなんか違和感あるし、なんかお腹もそわそわするし」
うわ……え、ちょ、なに言ってるか分かってます?
「それで、一回出すと、全力疾走したくらい疲れるらしいって亮平くんから教えてもらって、じゃぁ出さなきゃいいんじゃないかってなったの」
名前出しちゃってるよ。まぁ予想通りだけども。
「で、調べてたら、出さずに気持ちよくなれるってのが出てきて、注文した」
やさしさからの助言なのか意図して仕向けてくれたのか、判断しにくいな……。
「そんで今日は早く上がれるって言ってたから、二人に減らしてってお願いして、それ、使ってみようと思って」
「それでなんで泊まったらだめなの?」
「そりゃそうでしょ……何で見せなきゃいけないのよ」
「なにを?」
あ、これは本当に分かってないな、若井は。
しょうがない、教えてやろう。横によけておいた箱からものを取りだす。
「これ、中で気持ちよくなるためのものってことでしょ?」
「……! そういうこと!?」
そういうことだ。
点が結びつけばこの形状なのも納得だ。なんていう名前なのかは分からないけれど、そういった道具があったっておかしくはない。
「これ中に入れるってこと!?」
「そういうことだよ! 見せれるわけないじゃん!」
叫んだ若井の声量に負けないくらいの声で涼ちゃんが叫ぶ。その大きさに若井がひるむ。
「……見せれない、ってことはなくない?」
「え?」
「そもそも個人の問題じゃなくて、俺たち全員の問題だよね?」
愛し合う行為なんだから。
にこっと微笑みかける。
照れてもいいはずの優しい笑顔を向けたのに、焦ったように引き攣った笑みを浮かべてぶんぶんと涼ちゃんは首を振った。
「これ、使ってみよっか、涼ちゃん?」
そうしたら、回数を減らす必要もないし、涼ちゃんも疲れないし、Win-Winだよね?
そのうちフォロワー様限定の🔞を集めた小品集を作ります(たぶん)。
「もたない(4)」と「秘密」の楽屋でのあれこれはそっちに収載される予定。
なのでこちらに収載する次話は「もたない(5)」になります。センシティブな内容となるため、ご容赦くださいまし。
コメント
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わー続ききになる🥹🥹🥹
買ったものがなにか分かってしまって自分やばいな、と思いました 阿部さんと藤澤さんやべえもん見つけましたね笑 続き、フォロ限定承知しました!!