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沙耶は、恵子との同居を断固拒否した。
「嫌よ! 絶対に嫌!」
「でも親父を亡くして、心細いだろうし」
「そんな風に見えないわ」
夫婦の会話は平行線のまま、恵子が新居に引越してきた。
恵子は「友也が家を建てる約束を守った」と本気で思い込んでいる。
1階の客間を占領して、住み着いてしまった。
恵子には、夫の遺族年金がある。少額だが保険金も入った。
悠々自適な毎日を思い描いているようだ。
はっきり断れない友也に、沙耶は不満をぶつけた。
だが、暮らしてみると、同居は悪くなかった。
沙耶と友也は共働きで、日中は留守が多い。
恵子は自治会の集まりや、宅配便の受取りなど、昼間の用事をしてくれた。
掃除、洗濯、買物、夕食の用意までしてくれてた。
「夫のためだと嫌だけど、息子のためなら楽しいわ」と御機嫌だ。
休日は沙耶も家事をするし、友也も気遣ってくれる。
三人で外食もするし、出前を頼むときもある。
バランスのよい関係が続くと思っていたが……、