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#物語
#だいめいぼしゅー
氷上雷雫@歌い手
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うわあ、読了しました…!タイトルの「第1話 最終話」って時点で既に掴まれました。ミイとムウのゆるい掛け合いと一緒に朝日を浴びてるような穏やかさがあるのに、途中から海の中で「何か」が通った瞬間から一気に不穏になるこの緩急、めちゃくちゃ好きです。しかも次の朝になるとその記憶が曖昧になってて、ピースっていう男が意味深なこと言って去っていく…。世界観がじわじわ広がっていく感じがたまりません。続きをめっちゃ気にさせる終わり方で、もう次が待ちきれないです!
丸太10本の上に木の板を結んだような棒1本立てられたイカダの上で2人の少女が海の上で旅をする物語。
朝日が差し、2人の体を波が揺さぶる。
ミイ「ん…」
ミイは目をしっかり覚ますために短パンのまま座って海に足を浸ける。
そしてミイは両手で海水をすくい、ムウのお腹に掛ける。
ムウ「わっ!」
ムウ「お腹が冷えちゃうんだけどー!」
ムウ「やーめーて!」
ミイを後ろから押す。
ミイ「うわぁ!」
海に落ち、丸太部分を掴む。
ミイ「さっぶ」
ミイ「やばいやばいやばい」
急いでイカダに上がる。
ミイ「急に押さないでよ」
ムウ「じゃあ掛けるなよ!」
ムウ「びっくりしたから!」
ムウ「人がすやすや眠っている時に水をかけちゃダメ!絶対!」
ミイ「今日はおひさまがぽかぽかだなー」
ムウ「いや許さないよ?」
ミイはイカダの上で寝転がる。
ミイ「あったかーい」
ムウは同じように海水を両手ですくい、ミイの顔に投げ付けるようにして掛ける。
ミイ「ぶふぁ!」
ミイ「あっ鼻に入った、」
ムウ「あっごめん」
ムウ「まさか入るとは、」
ミイ「い、いや大丈夫」
ミイ「私も水掛けたからお腹壊すと思う」
ムウ「おう反省してないなー?」
ミイ「いやいや!すっごく反省してます!」
ミイは咄嗟に自身の鼻を摘まむ。
ムウ「やれやれ君というものは、」
ムウ「にぃ、しぃ、ろく、」
バッグから2つの缶詰めを取り出す。
ムウ「大量に取れたからね」
ムウ「今日は朝飯ありだよ」
ミイ「おお!やった!」
ミイ「ありがとう…優しいおじさん」
昨日缶詰めを渡してくれた人を思い描く。
ムウ「そうそう凄い優しかったもん」
ムウはバッグの中から双眼鏡を取り出す。
ムウ「よーしとりあえず確認だね」
周りに人がいるか双眼鏡で確認する。
ムウ「よし。異常無し」
ミイ「どれどれ?」
ミイは双眼鏡を奪い取り、周りを覗き見る。
ムウは目を見開きミイを真顔で見つめる。
ミイ「うん相変わらずキラキラしてる」
ミイはムウの方を見る。
ミイ「ぐぐっ…」
抑えるように笑う。
ミイ「ごめんて」
ムウ「はははっ」
ムウ「私も笑っちゃったじゃん」
ムウ「あっそうだ缶詰め」
ムウは缶切りで蓋を開ける。
ムウ「ミイのも開けるね」
ミイの缶詰めの蓋を開け、手渡す。
ミイ「うん」
ミイは双眼鏡をバッグに入れ、缶詰めを受け取る。
ムウ「鯖だね」
ミイ「うん」
2人は中の鯖を指で摘み食べる。
ミイ「いやーこれだよ」
ムウ「やっぱり鯖だね」
ミイ「うん」
ミイは座ったまま海水に足を浸けながら食べる。
ミイ「ギラギラキラキラ」
ムウ「ジンジン」
ミイ「ジンジン?」
ムウ「え?日焼けした後にジンジンって言わない?」
ミイ「あれジンジンって言うんだ」
ムウ「うん。痛いやつね」
ミイは海を眺める。
ミイ「水平線って言うんだっけ」
ムウ「水平さんだよ」
ミイ「水平さん?」
ミイ「水平線だよ」
ミイ「多分」
ムウ「ふーん」
ムウは缶の中を舌で舐めとり、ふと成分表を見つめる。
ムウ「成分…」
ムウ「エネルギー?」
ムウは空っぽになった缶を上から覗き見る。
ムウ「空になったらこれ海に投げてさ」
ムウ「遠くに行った方が勝ちね?」
ミイも缶が空になる。
ミイ「待って!やるやる!」
ミイはすぐに立ち上がり、投げようと構え、ムウも構える。
ムウ「さん!」
ムウ「にぃ!」
ムウ「いち!」
ムウ「ばん!」
2人は空の缶を同時に投げる。
ミイ「おー!私の1番高いよ!」
ムウ「あーっ!あっ落ちた」
ミイの缶がムウの飛距離を越える。
ミイ「はーい私の勝ちー」
ミイは踊るように足を横に動かし、イカダを揺らす。
ムウ「もーう」
ムウ「やーめーてぇ」
ムウはミイをイカダから海に突き落とす。
ミイ「ぐはっ!」
ミイ「うっわぁぁ、冷たっ」
ミイ「はぁ…」
ミイは丸太に捕まり、水面で仰向けに浮かぶ。
ムウ「冷えるよー?」
ミイ「えー」
ミイ「大丈夫ー」
ミイ「まだおひさまがいるから」
ムウはイカダの上で仰向けに寝る。
ムウ「じゃあ私は日向ぼっこ…」
ミイ「ねぇ、」
ミイ「イカダ広くしないの?」
ムウ「次の山に着いたらね」
ミイ「えぇー…」
そうして太陽が真上に回るまで漂い、ミイはイカダの上に上がる。
ミイ「ムウ?」
眠っているムウの鼻を摘まみ、口が少し膨れながら空気が抜ける。
ふとミイは海の下を覗く。
ミイ「あれが車で、四角いのはビル?か」
ミイ「茶色になってる…」
ミイ「錆びてるって言うんだっけ…」
透き通った海が横切る魚の鱗で太陽光が反射する。
ミイ「今日も魚さんは元気ですな~」
ミイ「こっちは?」
反対方向を向こうとするが急にイカダが波で大きく傾き、海の中に落ちる。
ミイ「がぼっ」
ミイ(ムウ!)
慌てて海水の中で目を開ける。
???「ココココ」
重低音のような喉を鳴らす軽い音が響いて聞こえ、色黒く船を越える大きさをした尾ひれのような形がボヤけた視界の中、目の前を通り過ぎた。
ミイ「はっ?!ばっ」
驚いて口を開けてしまい海水が口の中に入る。
ミイ(息が…上がらないと…!)
ミイはイカダの上に上がる。
ムウ「かはっ…かは」
ミイ「ムウっ!」
ムウ「海水が…」
ミイとムウは共に何度も呼吸し息を整える。
ミイ「さっき!」
ミイ「なんか通った!」
ムウ「ええ?」
ムウ「もしかして鮫?!」
ミイ「いや違うって!」
ミイはその何かが通り過ぎた方向に指を差すが波1つ立たない静かな水平線が描かれているだけである。
ムウ「え?」
ムウ「どこ?」
ミイ「本当に見たの!じゃあ下に行ったんだって!」
ムウ「ていうかカバンは?!」
ミイ「あっ!」
ミイとムウが下を見ると既に手の届かない場所へと沈み落ちている。
ムウ「カメラと双眼鏡が…」
ムウはふと見上げると双眼鏡が浮かんでいるのを見てすぐに飛び込み泳ぎに行く。
ミイ「ムウ!漕ぐやつが落ちてる!」
ムウ「はあ、はあ、」
双眼鏡をすぐにイカダに乗せた後に水面上に浮かぶオールを取りに泳ぐ。
ムウはイカダに向けてオールを投げる。
ムウ「ミイ!取って!」
ミイは泳いでオールを取り、イカダに戻る。
ミイ「来て!」
ミイはオールでムウの方向に漕ぎ、ムウはイカダに戻る。
ムウ「はあ、はあ、」
ミイ「疲れたー、」
2人は中央にあるイカダの棒を向かい合う形で背を合わせて座り込む。
ふとミイが空を見上げると夕方に入ったことに気付く。
ミイ「おひさまが沈むよ、」
ムウ「寒くなるからくっつこ」
ミイ「うん…私もう疲れたから寝るね」
ムウ「分かった」
ムウとミイは中央の棒を体の支えとなるようにしながら肌を密着させ抱き合う。
ミイはムウの肩の中で目を閉じ、眠りに就く。
ムウ(私も眠くなってきた、)
ムウ(無くさないように持ってなきゃ…)
ムウはオールと双眼鏡を足に挟んで眠りに就く。
そして朝日が2人の肌を照らす。
ミイ「んん…」
ムウはミイの腕を離し、足を絡ませながら横になって寝ていた。
ミイは足を抜いて立ち上がる。
ミイ「んんっ…」
ミイ「昨日の…」
ミイ「何だっけ…」
海に足を浸ける。
ミイ「はぁ…」
ふと双眼鏡で周りを見ると、遠くにイカダが見え、1人が座って釣りをしていることに気付き目が合う。
ミイ「ねえムウ?」
ムウの方を見る。
ミイ「あれ?えっと…何だっけ」
ミイはムウの鼻を摘まむ。
ムウは咄嗟にミイの手を払い除ける。
ムウ「んん…ミイ…」
ミイ「朝だよ」
ミイ「お腹空いた」
ムウ「えーまた魚?」
ミイ「え?缶詰め、」
ミイは昨日のことを思い出そうとするがモヤがかかったようになり言葉に出せない。
ミイ「えっと、あれ?」
ふと魚釣りをしていた人がいたイカダの方を見るが誰もいない。
ミイ「昨日って何だっけ…」
ミイ「ムウ」
ムウ「え?昨日は…特に何もしてないと思うけど、」
ムウ「えっと、釣った魚とか食べてさ」
ミイ「いや…違う」
ミイ「えー!もう思い出せない!」
ムウ「うわっ!」
ムウ「なに?!」
ミイ「わかんない!なんでもないよ」
ムウ「えー何なの?」
ミイ「なんか私変かも」
ミイ「考えると何かが邪魔してくるみたいな感じがするの」
ムウ「大丈夫?」
ミイ「うん…大丈夫」
ミイはイカダの上で寝転がり、ムウもそれを見て隣に寝転がる。
ムウ「眠い…」
ミイ「うん」
ミイ「私も寝る」
ミイはムウの手を握り、2人して眠りに落ちる。
2人は朝日と共に目を覚ます。
ミイ「お腹空いた…」
ムウ「ん…?ああ、待ってね」
ムウは双眼鏡を取り出し、周りを見渡す。
するとイカダの上からこちらに手を振っている人が見える。
ムウ「あっ!誰かいる!」
ミイ「缶詰め!」
ミイとムウは急いでそのイカダに向けてオールで漕ぐ。
ミイ「はあ、はあ、やっとありつける!」
ムウ「うん!缶詰め持ってるかも!」
ピース「おーい!」
ピース「旅の人かい?」
ムウ「はい!」
ミイ「缶詰めとか持ってませんか!」
ピース「凄く直線的」
ミイ「え?」
ピース「ああ、いや良かったらあげるよ」
ピース「余ってるからね」
ピースは大きなバッグから缶詰めを取り出す。
ピース「鯖でいい?」
ムウ「お願いします!」
ピース「持ち物も無しに来たの?」
ムウ「海の中に落ちて、」
ミイは少し頭を抱え込む。
ムウ「ミイ?」
ピース「えっと、」
ピース「もしかして大きな魚なんかを見たことは無い?」
ピース「ああ、いや無理に思い出しちゃったらダメだからね」
ミイ「んん…今何か言った?」
ミイ「大きな魚…大きなヒレ」
ピース「ごめんね、」
ピース「僕のせいだ」
ピースは大きなバッグの中から背負える大きさのバッグを出して手渡す。
ピース「ほら」
ピース「もう落としちゃダメだよ」
ムウ「はい、」
ムウ「ミイ?ミイ?」
ピースは急に笑う。
ピース「ははは」
ピース「慣れるまで時間がかかるかー、」
ピース「僕の名前は…そうだね。僕の名前はピース!」
ピース「またね」
ミイとムウは互いに目を合わせる。
ミイ「ぼーっとしてた、」
ムウ「う、うん私も」
ミイ「え?なんかずっとぼーっとしてたみたい」
ムウはふと手元を見ると缶詰めが4個入ったバッグを見つける。
ムウ「え?」
ミイ「なに?」