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俺とシロ

152 - 第二章、43話 エネルギーチャージ

2024年02月13日

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あの ”うなぎの日” から3日がたった8月27日。


最初のダンジョンであるカンゾーの覚醒まで、残すところ10日となったわけだけど。


せっかく月が満ちてきているで、10日程サーメクスへ帰ることにした。


(サーメクスとは時間の流れがちがうので、日本には5日後に帰ることになります)


帰省に同行するメンバーは、俺・シロ・メアリー・マリアベル・チャト・キロになる。


今回は地球組が含まれていないので気楽なもんだな。


慶子 (けいこ) は近々アパートを引き払ってこちらに引っ越してくるみたいで、自分の部屋の清掃と、こちらに運んだ荷物を整理するそうだ。


俺がいるので、すでに引っ越し作業は終わっているのだが……。


「あら、インベントリーって、こんなにいっぱい入るのね。使いでがありそうね。フフフフフッ」


「…………」


あれは絶対、なにか企んでいる顔だった。


紗月 (さつき) の方はもうすぐ学校が始まるので、いろいろとやる事があるみたいね。


茂 (しげる) さん曰く、宿題が山のように残っていて、頭を抱えていたらしい。


これはまぁ、単にラノベの読み過ぎだよな。(物理的に!)


「これさえなければ……」


東京から運んできたフリーラック (本棚) を恨めしそうに眺める紗月。


(マリアベルが気をきかせて、マンションから運んでくれたのだ)


気持ちはわかるが、剛志さんが貸してくれたラノベには何の罪もないぞー。


楓 (かえで) も学校の準備があるとかで、今朝方東京へ帰っていった。


確りLv.7まで上げているところはスゴイよな。この短期間でよく頑張ったとおもう。


厚手のチタンで作った食器とお箸を、おみやげに持たしておいた。


うまく力加減ができるように、しっかり練習してね。


茂さんには今回も、例の地震予測メモを渡しておく。


もしも、俺がいない間に先方 (自衛隊) が尋ねてきても、その時はメモのみを渡して、話し合いなんかは俺が戻ってからセッティングしてもらえるようにとお願いした。


それから、


ダンジョンへ潜る際は単独行動は絶対に避けること!


どうしても相手が見つからない場合は、フウガを連れていくようにとしっかり念を押した。


ちょっと自信がついた頃が一番危ないんだよね。


明日が満月なのだが、天候が悪そうなので今夜のうちにサーメクスへ渡ることにする。


上空には月が出ているのだから、たとえ曇っていたとしても問題はないだろうが。


まあ、気分的なものだよね。


夕食を済ませたあと、各自準備をして表に出た。


お見送りしてくれる茂さんたちに5日後に戻ってくることを告げ、俺たちはツーハイム邸へ転移した。


――・――


一瞬で視界が切り替わり、朝のツーハイム邸リビングへ3週間ぶりに戻ってきた。


「よぉシオン。今戻ったぞ」


「ただいまー!」


「え、え~と。お帰りなさいませ? ゲン様、メアリー様」


俺とメアリーが帰ってきたあいさつをすると、シオンはかなり焦っているようだ。


同じ時間に戻れるようになっているからな。


見送ったかと思えば次の瞬間には戻ってくるのだから、シオンたちにしてみれば『一瞬早着替え』を見せられているような感覚になるのかな。


ただ、戻ってくる場所は同じでなくてもいいみたいだから、こんどから別の場所に出てきてもいいけど……。


まあ、そのうち慣れてくれるだろう。






メアリーとマリアベルは、次の出発日を確認したうえで王都へ転移していった。


キロも俺の側から消えている。所定の配置に戻ったのだろう。


「本当に行ってらしたのですね、こちらでは一瞬の出来事なのですが。それで、さっき居られた異世界のお二方とフウガはあちらの世界、ということになるのですね」


「おう、そういうことだ。理解が早くて助かるよ」


シオンとすこし立ち話をしたあと、俺は今日のノルマ (仕事) をこなすためシロを連れて執務室へと向かった。


………………


急いで仕事を片付け、昼食を取るとすぐにナツのログハウスへ転移した。


部屋に顔を出すと、ナツにくっついていたハルは俺目がけて突進してきた。


「パパきたー、抱っこー!」


せがんでくる我が娘を両手を広げて迎えいれる。


ヒョイッと持ち上げて腕抱きにした。


するとハルはキャッキャしながら俺の顔をぺたぺたさわって喜んでいる。


――めちゃくちゃ可愛い!


世には ”親バカ” という言葉があるが、今ならわかるような気がするなぁ。


「ハル、パパとお散歩いくかぁ?」


「いくー、おそといくー!」


俺はハルを抱いたまま町なかを散歩していく。


もちろんシロも一緒だ。


そうやって町を練り歩いていると、いろんな人から頭を下げられたり声を掛けられたりするのだ。


それに対しては俺も手を上げ気軽に応えていく。


「「ハルちゃ~ん、かわいい!」」


中にはこうしてハルにも女の子たちから声が掛かったりするのだが。


それらにハルは、すまし顔をしたまま小さな手を上げて応えている。


――いっちょ前である。


俺のまねをしているのだろうが、その姿が何とも微笑ましいのだ。


そうして俺らは孤児院がやっている屋台を巡っていき、買い食いしながら町をまわっていくのだった。






次の日も仕事を片付けたあと、午後からハルと温泉施設で遊んでいる。


ハルはシロとも仲良しで、シロの背中に乗っては温泉の中を遊覧したり、滑り台で一緒に滑ったりして遊んでいる。


今日はみんなを寄せて、こちらで夕食会だな。


日本から持ち込んだ冷凍紅鮭があるんだ。いまは塩ぬきをしているところだが。


そして大きな土鍋にカセットコンロとくれば。


そう、今日の晩ご飯は白みそを使った【石狩鍋】である。


えっ、塩鮭を使っているから三平汁だって?


……こまけー事はどうだっていいんだよ。ここは日本じゃないんだし。


ほかほかご飯に日本酒もあるんだぞー。最強かよ! ガンツも呼べよ!


朝の焼き鮭に、鮭のクリームシチューなんてのもどうよ。よだれがとまらないなぁ、こりゃ。


ひさしぶりに、おばば様も呼んでやっか。


うん、おばば様か?


おばば様は元気良すぎるくらい元気にしているぞ。


10日に一度くらいは王妃さま共々お見えになってるな。


アランさん? (メアリーのお父さんです)


王都に来てる時は、妻のアストレアさんとよく見えらるな。


もちろんメアリーも一緒について来る。


最近は下の弟妹たち (人族) もよく見るようになったな。みんな王都の学校に通っているようだ。


そして国王様だが。


たまにしかお見えにならないけど、ほとんどが夜なんだよねぇ。


しかも、決まってお一人で。


その折に近衛騎士が2名程はついてはくるのだが……。


この時ばかりは、俺も一人で対応するようにしている。


だいたいが愚痴聞き係になるんだけどね。


お忍びで夜の町に繰り出すこともしばしば。


――なんかな~。


話しを聞いてみると、国王といってもいろいろと大変みたいだねぇ。


国王様…………乙です。


無茶やらかさなければ、もうしばらくはこの国も安泰かな。


ついでにいうと、三ヶ所あるダンジョンも今のところは大きな問題もなく順調だ。


ミスリルの相場も、ここ10年でかなり下がって落ち着いたし。


一般市場にも出回るようになって一安心というところかな。


この間ガンツと一緒に呑んだときも、その話題が出て、


「やれやれようやくじゃわい。これでこころおきなく剣が打てるのう。ガハハハハハッ!」


豪快に笑っていたっけ。






それはそうと、いよいよダンジョンの覚醒だな。(地球のことです)


三基もあると正直いって不安なのだ。


不測の事態に陥った際はどのように対処すべきか?


スタンピードが発生した際の対応も然り。


あちらの銃火器がモンスターに対してどの程度有効なのかを確認しておかないとだな。


ダンジョン内では銃やライフルでは役に立たない可能性もあるな。


口径の大きい機関銃や対戦車砲、グレネードランチャーあたりなら何とかいけるのか?


車両の乗り入れが不可能なら、どうやって弾薬を運ぶ?


それに魔法とは違う、銃火器による遠隔攻撃ではレベルアップができない可能性もあるし。


日本政府との連携はどうすればいいのか?


ここは交渉窓口を自衛隊一本に絞って、日本政府との折衝は自衛隊に取りなしてもらう方が無難だろうか。


まあ、折衝というけれど、こちらから要望を出すことってないんだけどね。


そのうち、【ダンジョン省】みたいな機関や、冒険者ギルド的な組織できるかもしれないし。


それまでは窓口が一つの方が、混乱も少なくて済みそうなんだが。


あとは……、


まわりの国が黙ってないよね。特に日本国内に基地があるアメリカあたりは……。


どうしたもんかね。


逆に、何もしない方が自然にながれていく?


俺は影からそっと支える感じでいいのかな。


ダンジョンの扱いについてはどうなるんだろう?


探索して資源を求めていくのか。


はたまた、周りを完全封鎖して放置するのか。


どちらにしろ、決めるのは地球の者なんだよな。


そうすると、こちらとしては情報収集に重点を置いておけば、それでいいかな。


あちらで動いているフウガに、配下の影を3人程つけて様子を見てみますかね。


必要であれば、現地にて諜報員を増やしてもいいわけだし。






そして10日間、(地球時間では5日)


こちらでゆっくりと骨休めをし、ハル成分・ナツ成分・タマ成分を十分に補給した俺は元気いっぱいアース (地球) へ旅立つのであった。


今回、日本へ渡るメンバーは、俺・シロ・メアリー・マリアベル・チャト・キロ、それに影の軍団から選抜した3人となった。


母屋の裏へ転移してきた俺たちは、いつものように腕時計の時刻を合わせる。


この行為がなんとも潜入スパイのようで、俺的には気に入っていたりするのだが。


初めは戸惑っていたメアリーも、時刻をあわせると俺に向かって無言で頷いている。


只今の時刻、午後2時30分。(9月1日)


俺たちはさっそく転移台座へと進み、連れてきた影たちの登録を済ませていく。


この者たちの恰好といえば、忍者顔負けの黒装束。頭の上からつま先まで ”まっくろくろすけ” である。


今の日本では、例え夜でも目立ってしまう恰好だよな。


服は明日にでも買い揃えるとして、


今日のところは、そこのユニ○ロで買ったカラフルなジャージでも着せておこうか。


黒いジャージは一着しかないので争奪戦になってしまいそうだが、そこは致しかたない。


地下秘密基地への案内はキロに任せ、俺たちは表へまわり玄関の引き戸を開けると母屋に入った。


「ただいま帰りました!」


「「ただいま~」」 「ワン!」 「にゃ~お!」


全員に浄化をかけてから家にあがり、居間の方へ顔を出す。


「やぁおかえり。迎えにも出れなくて悪いねぇ」


茂さんは居間のテーブルに書類を広げ、整理の真っ最中だったようだ。


「いえいえ、そのままお続けください。こちらこそ、今回もお世話になります」


忙しそうにしている茂さん。邪魔しても悪いだろうと、


「また、夕方にでもみんなで顔を出しますね~」


それだけ言うと、俺とシロは地下秘密基地へと引きあげた。


メアリーとマリアベルは紗月の部屋へ向かったようだ。


向こう (クルーガー王国) で買ったおみやげを渡しにいったのだろう。


………………


俺がシロを連れて基地のリビングに入ると、慶子がお茶をしながらテレビを見ていた。


「あら、帰ったのね。ハルちゃんは元気だったのかしら?」


「おう、ただいま慶子。ハルはすこぶる元気だったぞ。今日は来ていないのかと ばぁば (慶子) を探してたから、こんど顔を見せてやってくれ」


「まぁ本当に! こんどお菓子をいっぱい持っていってあげるわ」


「それは喜ぶだろうな。それと勧めてくれた冷凍紅鮭、めちゃくちゃ好評だったよ。ありがとなー」


慶子に帰還のあいさつをしていると、キロがすぐさまお茶を淹れてくれた。


しばらくすると、新人の指導をしていたフウガがこちらに顔を出し、


俺が不在だった間の報告を上げてくれた。







9月1日 (火曜日)

次の満月は9月27日

ダンジョン覚醒まで5日・65日

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