一番卑怯だったのは埼玉エンペラーの吉川緑だ。パパを人質に取ろうとしたから、処刑してぐったりしたところへガソリンをかけていたら、パパに止められた。 「音露、何をする気だ?」
「火をつけて燃やすんだよ。幸いガソリン積んだバイクが五百台もあるから火責めにちょうどいい」
「そんなことしたら死んでしまうじゃないか!」
「パパは平凡に生きるくらいなら悪党になってほしいという願いを込めて、余に音露という名を授けたんだよな。パパの願いは叶った。余は間違いなくみなに恐れられる悪党だ。だからこんなやつらは虫けら同然に殺すことができる。ほら、この通り」
グッタリしていたはずなのに、ライターで火をつけるなり立ち上がって何やら必死に踊りだした。
「あっははははははは! どんな醜い人間も死ぬ直前の命の輝きだけは美しいな!」
「地獄だ……」
とつぶやいたのは長谷川赤也だったか。
「何を今さら。悪党なら悪党らしく地獄を生きて死んでも地獄に落ちろ。おまえたちは覚悟がたりない」
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