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何気なく佐野家の近くにより、
子供達の死を知った黒川カレンの話。
捏造注意
2月22日にpixivであげようと思ってる作品です。
―
時々思い出すのは二人の子供との時間。
私の名は黒川カレン。
仕事を終えて街を歩いていた。
明日、知人の葬式で今日は終電を利用して東京の方へと来ていた。
カラカラとなるキャリーケース。
今の私にはその音すらも耳に入らなかった。
時々、1人になると思い出す。
二人の子供との時間を。
少し寄り道をした。
最愛とは言い難い交際を続けていた男は他国の女と子を作り死んだ。
女も女で行方が知れず、私が育てることとなった。
初めは躊躇した。
他人を育てるなど、気色が悪かった。
だが、
『まーぁ』
私を求めるその声にそんな考え、すぐに消えていった。
私が育てなくては、この子は死ぬ。
私と同じ、独りだ。
それから数年、佐野真と出会った。
彼は子供のイザナとも仲良くしてくれた。
彼との子供が誕生した。
もっと、楽しい生活を送れると思っていたのに…
佐野真が死亡した。
そして、彼には二人の子供がいた。
裏切られた気分だった。
それと同時に、この子達を護らねばと言うプレッシャーとストレスが積み重なった。
朝から夜まで仕事をした。
作りおきしていたご飯。
ちゃんとレンジで温めをできているだろうか。
不安ながら、パートと風俗をした。
夜遅くに帰ってきたら、2人の寝顔を見つめた。
手紙が置いていて、それを見ると
『ママともっと遊べますように』
下手くそな字を見つめた。
もっと、甘やかせれる母親になれないのだろうか。
だけど、結局はそんな甘いことでなくて、しんどくて、
イザナを施設へと預けた。
エマを佐野家へと預けた。
これで…1人になれる。
もう、自由だ。
だけど、数年後、
イザナにあった、
事実を伝えた。
心底驚いた顔をしていたなぁと少し、いや、かなり後悔をした。
エマは元気だろうか。
―
佐野家の門の前に立つ。
ノックしようとした手を止めた。
私にはここに入る権利などない。
ただ、子供達は元気だろうか。
それしか考えていなかった。
帰ろうたした足を止めた。
「…エマの」
この声のする方へた振り向くと、
佐野真に似た青年が立っていた。
「あんた」
「エマの母親だよな」
はぁ、1つため息をついた。
「ふーん、あんた…私のこと知ってんだ」
「…まぁ…」
似てたから。
その言葉を聞いて青年の肩を軽く殴った。
「鬱陶しいわね…」
睨むと青年はなにも言わなかった。
「…少し…話せませんか」
家に入るように言われたが佐野家の空気など吸いたくなかった。
門に入ったところで足を止めた。そのためここで話すこととなった。
すると小さな巾着を2つ渡された。
「…なに…これ」
「…エマと…イザナのものです」
なにかはすぐにわかった。
だからこそ、声が出なかった。
「…それがなによ」
「もらってください」
「はぁ!?」
私は酷く驚いた。
子を捨てた者にこんなことを言うなんて。
「少なくとも、数年間、2人を育てたのは貴方だから…2人は貴方のことを大好きだと思うから」
なにそれ
私は巾着を受け取ると門を出た。
風と共に流れてくる涙も払ってほしい。
もっと、もっと、甘やかせてあげれたら。
もっと、愛を伝えられたら…
もっと、もっと、もっと…
「…ごめんね…イザナ…エマ…」
「…これでよかったんだよね…真一郎…」