テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
俺は多分、予想を外して間抜けな顔をしていたんだと思う。
「……いけると思ったんだが」
「正確に言うと、断るのは前半だけです。私も魔王になりたいですし」
「魔王にはなりたいけど、七人の皇子は生かすってことか? 何でまた? 兄弟だからか?」
「血縁があっても仲良くはないですよ。兄さま方も第八皇子も性格悪いですし、常々死ねとは思っています。しかし、事情が少し変わってしまったようで。まあ、見てもらった方が早いです」
リシェルはスマホの画面を見せた。
「ちょっと魔改造しました。遠い場所で起きた出来事の記録が見れます。はいそれではご注目、1、2、3」
リシェルの掛け声ともに、スマホに映像が映し出された。
八王国の一つ、ヴァルグレイブにて。
第二皇子アゼル・カーヴァンクルの侵攻に対抗すべく、王国は異世界召喚の儀を行っていた。
王宮の中庭で、魔術師たちが陣に魔力を込めると、中空に白い光の輪が浮かんだ。
そして、一人の男が降り立った。
あちらの世界で言う背広姿のサラリーマン風の男が、ぼうっと空を見上げていた。
王が告げる。
「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」
王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。
「頼む……俺たちの世界は、もう……エイリアンに滅ぼされて」
それが、勇者にとって最後の言葉となった。
光線が勇者の身体を貫いた。
光の輪の向こう側から現れたのは、円盤状の飛行物体の艦隊だった。
「殲滅せよ」
機械的な声がした。円盤から放たれる無数のレーザーが、王国の民に襲いかかった。
八王国の一つ、リュミエールにて。
王宮の中庭で、魔術師たちが陣に魔力を込めると、中空に白い光の輪が浮かんだ。
そして一人の男が降り立った。
あちらの世界で言う背広姿のサラリーマン風の男が、ぼうっと空を見上げていた。
王が告げる。
「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」
王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。
「頼む……俺たちの世界は、もう……ギャングに滅ぼされて」
それが、勇者にとって最後の言葉となった。
銃弾が、勇者の身体を貫いた。
光の輪の向こう側から現れたのは、髑髏の装飾が施された改造トラックだった。トラックに続き、パンクファッションに身を包んだ男たちが、バイクに乗ってゲートから飛び降りてくる。
「ヒャッハァ! 骨の髄まで狩りつくせぇッ!」
改造トラックの車両上に陣取った、顔面ピアスまみれの男が吠える。ギャングたちは王国の民に機関銃の掃射を浴びせた。
八王国の一つ、カストレアにて。
王が告げる。
「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」
王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。
「頼む……俺たちの世界は、もう……隕石に滅ぼされて」
それが、勇者にとって最後の言葉となった。
ゲートを越えて降ってきた巨大な隕石が、勇者を押しつぶした。光の輪と隕石が衝突するたび、召喚陣は広がっていく。少しずつ、しかし確実に、召喚陣から降り注ぐ隕石は増え、被害をもたらす領域は広くなっていく。
サイレンの警報とともに、録音音声が聞こえてくる。
「直ちに避難してください。重力異常による隕石群に警戒してください。私たちは生き延びなくてはなりません。せめて……二十四日後、月がこの星に衝突するそのときまで」
八王国の一つ、ノルディアにて。
王が告げる。
「よくぞ来てくれた。異世界からの勇者よ。お主を呼んだのは他でもな……」
王の言葉を遮ったのは他でもない、異世界からの勇者だった。
「頼む……俺たちの世界は、もう……怨霊に滅ぼされて」
それが、勇者にとって最後の言葉となった。
包丁の刃が、勇者の胸を後ろから貫いた。
うつ伏せに倒れた勇者の背中には、それまでいなかったはずの日本人形が座っている。
光の輪をこじ開けて、巨大な髑髏が姿を現した。数十メートルはあろうかというそれが、ゆらりと王国の民を見下ろした。
いつの間にか、着流し姿の爺が立っていた。禍々しい瘴気に身を包んだその男は、恨めし気な顔で言う。
「祠を壊したのはお主らかァッ!?」
多分、人違いだと思う。それでも悪霊は王国の民に襲いかかった。