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裏五条
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「アリスちゃん!」
獣人街に着くと、アリスはすぐに見つかった。
入り口のところで、またリンに捕まっている。私が声をかけると、こちらを一度チラリと見た彼女は急にアリスの顔に近付いた。
え、今のって――――。
アリスは驚いた顔でパッと離れると、彼女から距離をとるためか、こちらに走ってきた。
「リサちゃん。――どうだった?」
「……あ、えっとね…………」
何て言うんだっけ。言葉が出てこない。どうしよう。
言葉が続かない私の様子を見て、ルードがかわりに答えてくれた。
「土の精霊には会えました。契約するためには、精霊の出した問題に答えなければいけないそうです」
ルードが答えた事に、アリスは少し動揺しているように見えた。
「ルードには、聞いてない――」
「アリスト様、リサ様は少し混乱されています。先程のご様子を見て」
あの、言わないで欲しい……です……。
固まり続ける私を見て、アリスもその場から動かなくなった。
その様子を見て鼻をふんっと鳴らし、リンがこちらにきた。
「これ位で固まるなんて、とんだお子様じゃないの?! こんな女の何がいいの? こんな度胸もないヤツが王の妃になれるわけがない! アリスにふさわしいのはリンだよ」
「リン……」
そうだよ、何いい気になってたんだろう。何の取り柄もない私なんかが、王子様の隣に立つなんて、そんな夢物語。
やることなんて、何も知らないし。王様に挨拶すらろくに出来なかったじゃない。
ポタリポタリ
水滴が二粒こぼれ落ちた。何故かわからないけれど黒い腕輪がはまる左腕があつい。
「あ、あれ? えっと、……あはは」
笑おうと、必死に顔を作ろうとするけれど涙が次々と溢れてくる。おかしいな。笑うってそんなに難しかったっけ?
「リサ様」「リサ」
二人が動くより先に、アリスが小さく風の精霊を呼び、私を抱き抱えて空へと駆け上がった。
「アリ……ス……ちゃ…………」
「――――少し落ち着けるところに行こう」
トントンと空を駆けるアリスの腕の中は暖かくて、切なくて、止めたいと思っているけれど涙が止まらなかった。
また、私は何もしないまま諦めるのかな。諦めた方がいいのかな。
ーーー
街の外の野原にアリスは降り立った。足元に小さな花が咲いていて、ゆっくりとそこに降ろされた。
「少し、落ち着いた?」
アリスが私の顔を覗き込む。こくんと小さく頷くと、頭をポンポンと撫でてくれた。
「さっきのは、何もないからね。わざと見えない様にして顔を近付けてきただけだから。ボクのこと、信じてくれる?」
私の場所からは、見えなかった。だから、アリスの言うことが本当なのかどうかはわからない。だから、アリスが言うのなら――。
こくんと、もう一度頷いた。
「ごめんね、ボクが用事のあった場所の人まで地下の問題を解決して欲しいって言うから、獣人の纏め役のリンとスイに話を聞きに行ってたんだ」
コメント
1件
うわあ、今回の話は胸がぎゅってなった…。リサが涙をこらえようとして「笑うってそんなに難しかったっけ?」って思うところ、すごくリアルで切なかった。リンに言われた言葉が刺さったんだろうな。でもアリスがすぐに連れ出してくれて、ちゃんと説明しようとしてくれてるのが優しい…。疑わずに信じるって決めたリサの選択もよかった。二人の距離、じわじわ縮まってる感じが大好きだわ。