時刻は夕暮れどきになり、低く降りてきた太陽が王宮を美しい赤金色に染め上げていた。
わたしは、西翼の建物にある『聖女』にあてがわれた自室の窓辺に立ち、日没をむかえようと薄紫をしている空や、夕涼みのために庭園をそぞろ歩きする宮廷人たちの様子を眺めていた。
(もう、こんな時間なんだ……)
たて続けにいろいろなことが起こりすぎて、時間を気にするひまもないまま、気づけばもう夕方になっていた。
おそらく今ごろ元の世界では、わたしはどこを探してもいない状況になっているだろうから、あまり遅くならないうちに元の場所に帰してもらったほうがいいのだろう。
家に一度戻って、またいつこちらの世界に来ることになってもいいように、身の回りの整理をしてからまた戻ってくればいいのだ。
――でも……。
正直なところを言えば、目新しいことばかりでこの世界にいるのが楽しすぎて、あまり進んで元の世界に帰りたいとは思え*****************************
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