バイトの休憩中、急に電話で母親が死んだ事が知らされる。何を言ってるのか分からず思考が止まる何も頭に入らなくなってバイトを無断で抜けて抜け殻の様に歩いたバイト先から鬼電がなる携帯電話を見ながら何もない道路で突っ伏す。
ジワジワと現実感が出てきて冷や汗が出てきて複数の感情がグチャグチャに膨れ上がってく。
そしてひとしきり感情が蠱毒の様に貪りあった後に残ったのは罪悪感だった。
何が母親にしてあげられたのだろうか、もっと優しく接すれば良かったとか、そんな今更遅い事を考えては涙が溢れ出した。
泣いたのはいつぶりだろうか、親友と呼べる友人が引っ越してもさほど悲しくなかった。
ペットが死んでも何も感じなかった。
だから僕は母親が死んでもきっと泣かないと思っていた、でも泣いた。声が枯れるまで泣いた。大の男が嗚咽をしながら他人の目も気にせず一頻り泣くと涙は枯れた。
僕は腫れた目を買ったジュースで冷やしながら帰路についた。
父親が玄関で待っていた、父親も泣いていたのだろう。目が真っ赤だった、俺の腫れた目を見てお互い恥ずかしくて少し笑った。
父親と二人ゆっくりと会話が始まる。何も覚えてないが辿々しくて会話はゆっくりと不自然でぎこちなく進んだ。だが不思議と心地よかった。
今思うと父親とはあまり話さなかった。趣味は合わないし、性格も剃りも合わない。共通点も無く距離の縮め方が分からなかったからだ。
そんな父との会話が心地良いと感じるのはきっと同じ悲しみを感じお互いにやるせなさでいっぱいにだったからだろう。くだらない上に中身のないグダグダとした話を遮るように父親の携帯が鳴った。姉だったらしく父親はタバコを一本手慣れた様に咥えてベランダへと向かっていった。
少し落ち着いた何となしに携帯を見るとバイト先からの連絡でロック画面がいっぱいになっていた。
慌てて電話を掛けて謝る。事情を説明すると怒られなかった、っというより怒れなかったのだろう。
俺は自分の部屋で一本タバコを吸うと目が覚めた。