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「よっアイドルちゃん。」
廊下ですれ違って、目があったときに決まって呼ばれるソレは、私の罪悪感をより大きく膨らませるものだった。その都度どうしていいか分からなくなる私は、聞こえていないふりをして俯いて彼女の横を通り過ぎる。
___なにかに期待を寄せて、私が少し振り向くと
決まって背後には物言いたげな複雑な顔で私を見ているえんまがいるんだ。
私はその視線から逃げるようにクラスに戻って、昼休みを過ごした。
いいじゃない、えんまには私が居なくたって、良いお友達がいるんだから⋯
「今日カラオケ行こうよ。」
アタシはいつも通り、弁当を広げ始めた燈萌とスマホをいじっていたイナミに言った。いつもなら了承を得られるところだが、今日はどっこい、空気がノっていなかった。
「ごっめーん!私、習字の検定があるんやよね〜。」
イナミが両手をこすり合わせて謝る。寄せられた両腕に挟まれるたっぷりの乳は見ているだけで嫉妬心に駆られるからさっさと腕を締まってほしいものだ。次に私は燈萌に目線を合わせたが、燈萌もイナミと同じ申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんね、今日撮影があるげん。どうしてもずらせんくて⋯。」
上目遣いで、ズレた眼鏡から覗く瞳に見つめられてしまってはどうしようもない。
「ううん、そっか。また予定会う時行こ。」
「エーーー?!待って??私は??!!」
イナミが大げさな泣き真似で燈萌に抱きつく。この、アタシには少し騒がしすぎるくらいの空気が心地よい。⋯まあたまには1人でのんびり過ごす放課後があってもいいだろう。普段はエナドリを飲み空かして、朝まで作曲に没頭する不健康な生活が続いていたし、今日くらいは夕方から作業して、眠くなったらすぐ布団に入ろう。睡眠は取ったほうが作業効率もあがるはずだ。そう思っていたら、ふと燈萌に声を掛けられた。
「ねええんま。実はお気に入りのニット帽の糸がほつれちゃって⋯。」
「あ、直してもらおうか。頼んどくよ。あれやろ?お気に入りのニット帽って、猫耳の。」
「そうそう!いつもごめんね。明日持ってくるから。」
燈萌はよく衣服の手直しやオーダーをよくする。と、いっても実際に縫うのアタシの妹なんだけど⋯。学校も学年も違うからアタシを介してやり取りしているわけだ。まああいつも燈萌には懐いてるみたいだし、仲良しで困ったことはない。
燈萌とイナミで話が盛り上がっている内に、アタシはいつものように歌に使えるかと感情をスマホにメモすることにした。
昔の音に触れすぎた
今日は歌詞が出ない日 原因不明 多分思い出しただけ