テラーノベル
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授業、全然集中できなかった。
ノートを取っていても、 頭の中に浮かぶのは。
『アーヤ』
とか。
『チームメンバーなんだし』
とか。
……あと、 上杉君の『急ぐぞ』。
「立花さん?」
「へ?」
先生に当てられて、 クラスが笑う。
「大丈夫? ぼーっとしてるけど」
「す、すみません!」
うわああ恥ずかしい。
結局。
あの女子のことも気になるままだった。
肩くらいの髪。
黒木君を見てた目。
それに。
廊下の角で、 こっちを見てた気がしたこと。
「……気のせい、じゃないよね」
一人で小さくつぶやく。
放課後。
帰る準備をしていると。
「ねえ立花さん」
来た。
昼より増えてる。
「ほんとに黒木君達と知り合いなの?」
「なんで“アーヤ”なの!?」
「上杉君と歩いてたよね!?」
囲まれてる。
完全に。
「え、えっと……」
どうしよう。
みんな距離近い。
「黒木君ってやっぱ優しい!?」
「サッカーの時やばいよね!」
「美門君ほんとにハーフ?」
「若武君って普段からあんな感じ?」
質問が止まらない。
なんなのこの人気。
「いや、その……」
説明できない!
探偵チームのことなんて、 絶対言えないし!
「立花さんって黒木君とどういう関係?」
「えっ」
「付き合ってたり――」
「ないです!!」
反射で叫んでしまった。
クラスが静まる。
うわ。
やった。
恥ずかしい。
「そんな全力否定しなくても……」
「いやだって違いますし⁉」
顔熱いよお。
その時だった。
「アーヤ」
教室の後ろの扉から、 聞き覚えのある声がした。
一斉に空気が変わる。
「え」
「黒木君!?」
「うそ」
「やばっ」
本物見たみたいな反応やめて。
いや有名人だから仕方ないのかもだけど。
黒木君は、 ざわつく教室を見回してから、 わたしを見る。
「迎え来た」
「……へ?」
わたしだけじゃなく、 周りも固まる。
「若武が騒いでるから、早く来てって」
「あー……」
ちょっと想像できる。
「あと上杉が」
黒木くんが少し笑う。
「“立花囲まれてそう”って」
「……え」
あの人、 そんなこと言うんだ。
「だから来た」
さらっと言う。
でも。
教室の女子たち、めっちゃこっち見てる。
痛いぐらいに。
「じゃ、行こ」
黒木君が自然に言う。
「あ、う、うん!」
わたしは慌てて荷物を持った。
廊下に出た瞬間。
「……助かった」
「うん。結構大変そうだった」
「三ツ谷組、人気ありすぎじゃない?」
「まあね」
否定しないんだ。
「でも若武が一番騒がれるよ」
「え、黒木君じゃなくて?」
「若武、サッカー中うるさいから」
「そこ?」
思わず笑ってしまう。
すると。
「アーヤ」
「ん?」
顔を覗かれる。
「笑った顔の方がかわいい」
「……へ?」
心臓が止まりかけた。
「え、な、なんで急に……」
「いや、さっき困ってる顔してたから」
黒木君は普通に言う。
絶対、 深い意味ない。
ないはずなのに。
なんかずるい。
「……黒木君って」
「うん?」
「距離感おかしいって言われない?」
「よく言われる」
自覚あるんだ。
その時。
廊下の先から。
「黒木――――!!!」
聞き覚えしかない声が響いた。
「遅いぞ――――!!!」
「あ、若武だ」
遠くで、 若武が大きく手を振っている。
目立つ。
すごく目立つ。
その横で。
上杉君が、 ちょっと呆れた顔をしていた。
#探偵チームKZ事件ノート
まあ
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コメント
1件
読了! 今回、クラスメイトの質問攻め&黒木くんの迎えが来る流れ、すごく良かったです。特に黒木くんが「笑った顔の方がかわいい」ってさらっと言うところ、心臓に悪いですね……。あと上杉くんが「立花囲まれてそう」って言って送り出したのも、彼らしい細やかさを感じて好きです。人気者探偵チームの距離感、もっと知りたくなります!