テラーノベル
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「遅い!」
合流した瞬間、 若武が言った。
「黒木!! お前アーヤ迎え行くだけで何分使ってるんだ!!」
「別に普通だけど」
「普通じゃない!!」
「若武、声」
小塚君が注意する。
「廊下響いてる」
「む」
む、ってなに、むって。
「ていうか」
美門君がわたしを見る。
「すごい囲まれてたね」
「……見えてた?」
「めちゃくちゃ見えてた」
うわあ。
「黒木来た瞬間、空気変わってたし」
「それはいつも」
上杉君が言う。
「否定しないんだ」
「事実だから」
さらっと言うなあ。
でも。
たしかに、 みんな歩いてるだけで目立つ。
しかも六人中五人が、 有名サッカーチーム所属。
そりゃ騒がれるか。
「アーヤ大丈夫?」
黒木君が聞いてくる。
「え?」
「疲れてそう」
「……ちょっとだけ」
正直に言うと、 若武がすぐ反応した。
「よし!!」
嫌な予感がした。
「アーヤを元気づける会を開催するぞ!!!」
「急に何」
上杉君が即座に突っ込む。
「だって元気ない!!」
「若武、わたし別に病人じゃないからね?」
「だが元気も足りない!!」
「基準なに⁉」
美門君が吹き出す。
「若武ってほんと騒がしい」
「当然だ!!!」
「威張るな」
小塚君が止めた。
その時だった。
前の廊下を歩いていた女子グループが、 こっちを見て止まる。
「黒木君だ」
「ほんとだ……」
「若武君もいる」
ひそひそ声。
でも。
そのうちの一人が、 わたしを見た瞬間。
「……あの子」
空気が少し変わる。
わかる。
なんとなく。
「誰?」
「なんで一緒にいるの?」
聞こえてしまった。
う。
やっぱりそうなるよね。
すると。
「アーヤ」
「え?」
黒木君が、 自然にわたしの隣に来る。
「気にしなくていいよ」
小さい声だった。
でも。
周りには見えてる。
近い。
距離が。
「……黒木君」
「ん?」
「それ多分、逆効果」
「え、なんで?」
自覚ないんだこの人。
「お前ほんとそういうとこだぞ」
上杉君が呆れる。
「ん?」
「距離感」
「あー」
若武が笑う。
「黒木、アーヤ相手だと特に近いもんな!!」
「えっ」
「そう?」
黒木君本人が首をかしげた。
いや、 自覚ゼロなんだ。
「無意識なの怖」
美門君が言う。
「でも黒木って昔からそうじゃない?」
小塚くんが苦笑する。
「気に入った相手との距離近い」
「へえ」
って。
なんでそこで、 みんなこっち見るの!?
「アーヤ顔赤いぞー!!」
「若武うるさい!!!」
反射で叫んでしまった。
一瞬。
みんなが静かになる。
……あ。
やった。
でも次の瞬間。
「ははっ」
黒木君が吹き出した。
「アーヤ、若武には普通に強いね」
「え」
「たしかに」
上杉君までうなずく。
「距離近い相手には遠慮ないタイプかも」
「分析しないで!?」
恥ずかしい!
すると。
「……やっぱり」
後ろから、 小さな声がした。
全員が振り返る。
廊下の端。
肩くらいの髪の女子が立っていた。
あ。
あの時の――。
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コメント
1件
第9話読了〜!🌸 もう後半に向けて盛り上がってきた感じがすごい!黒木くんの「気にしなくていいよ」って隣にくるシーン、距離感ゼロすぎてこっちまでドキドキしちゃったよ…😭💕 若武くんの「元気づける会」発言も相変わらずの騒がしさで笑ったし、最後の「やっぱり」って女子の登場で一気に引き込まれた!!次回どうなるか気になりすぎる〜!次の更新楽しみにしてるよ!✨