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痛い。
ちょっと動いただけで激痛が走る。
怖い。
次は何をされるのか考える。
許してほしいけど声が出なくて、助けてほしいけど誰もいない。
赤い液体が、シャワーで何度流しても溢れてくる。
どうしてこれは止まってくれないんだろう。
時間も耳鳴りも、頬に伝うこの雫も、一向に止まってくれない。どうして。
綺麗なまま生きることはできないんだろう。
清純な心、父と母が愛したあの花のようになることはできないんだろう。
「好きだよ。……お前のこと」
その人は優しく囁く。
だけどその言葉は俺に向けられたものじゃない。
俺を“彼”に見立て、重ねてるだけだ。
そして愛して、憎んで、抱いて、殴っての繰り返し。
怖いけど……何よりも怖かったのは、そんな毎日に慣れてしまった自分。
受け入れてしまってる自分に幻滅したんだ。