事後。前話を読んだ後に見た方が良いかと。
文才なんかありません。
案の定駄文。駄文。
cpはどこかに記載してます。
主はにわかです。解釈違いがあると思います。
※ご本人様には関係ありません。
雰囲気が甘い(当社比)
『っぁ”ー…ん”んっ、』
ベッドの上にうつ伏せで転がりながら夢追が掠れた声を出す。
『さぃあ”く、』
「枯れてますね。水入ります?」
『いる…んん”…』
身体を起こし、ありがと、と小さく告げてペットボトルを受け取ると、夢追はキャップを開けて中の水を飲み込んでいく。細い喉にそこそこの量の水が吸い込まれていくのはどこか不思議なもので。加賀美は思わずといったようにその様子をじっと見つめていた。
『…..何見てんの』
「沢山飲むなぁ、と」
『なにそれ』
変なの、と目を逸らした夢追は、半分ほど減った中身を一瞥し、キャップを閉めた。
「…それにしても、素直じゃないですよね。貴方」
加賀美が放った唐突な言葉とその内容に、夢追は若干面食らった顔をする。が、それも一瞬で、呆れたような表情を浮かべると、反論するために口を開いた。
『…はぁ〜?いきなりなんなの。こちとらどっかの誰かさんに急に寝室に連れ込まれて、抵抗する間もなく喰われちゃったんですけど〜??それに文句言えば素直じゃないって…。そもそもさぁ、ちょっと揶揄っただけだってのに、それだけでスイッチ入っちゃうのどうにかして欲しいよねほんと』
よく回る口でペラペラと。
少しずつ論点がずらされていくのに気づかないほど。都合の悪い時ほど余計なことまで喋ってしまう癖を知らないほど。加賀美は馬鹿でもなければ、夢追との付き合いも短くは無い。
それを踏まえた上で、しばらく加賀美は大人しく夢追の話を聞いていた。
『そんなんだから…』
「私に抱かれたいのなら、素直に言えばいいものを。私は貴方の可愛らしいお強請りを無下にするほど薄情ではありませんよ」
大人しく聞いてから、切り込んだ。
加賀美は理解していた。人の感情の機微に敏感な夢追が、無意識であのような態度をとるわけがない、と。
今度こそ、夢追がバツの悪そうな顔で黙り込む。
「無言は肯定と言いますけれど」
『ほんっと性格悪いよね、お前』
露骨に不快感を顔に出す夢追に、加賀美は満足そうに笑う。
『…っなに…..ぃ”っ…!?』
加賀美は夢追に近づくと、その首筋へ無遠慮に噛み付いた。がり、と歯を立て噛み跡を残すと、血の滲むそこを舐め、意地悪く目を細める。
『っお前さぁ…!』
「普段着てる服では隠れないですね、この位置」
『分かっててやっただろ』
「さあ?」
綺麗な微笑みを浮かべる加賀美は、今つけたばかりの痕に目を落とし、指先でなぞって、再び夢追を見遣った。
「でもまあ、これでしばらくの間はオトコもオンナもつくれなくなりましたね?」
『…..狙っただろ、絶対』
「どうでしょうね」
はあ、ともう何度目かも分からない溜息をつきながら、夢追は加賀美の手を振り払い、ベッドに仰向けに寝転んだ。そのまま惰眠を貪るつもりなのだろう。
『まーじで最悪』
「何が」
『全部』
夢追は、げし、と投げ出していた足で加賀美の腹を蹴ると、ビクともしない加賀美に舌打ちした。
『お前に気に入られても嬉しくないのよ』
「喜んで貰えたようで何より」
間髪入れずに加賀美が返せば、夢追は眉を顰めた後、諦めたように目を閉じる。
そんな夢追の態度に特に言及することなく、加賀美は夢追の顔にかかる前髪を、その長い指で払った。そのまま輪郭をするりと撫でれば、夢追が擽ったそうに瞼を持ち上げる。
『ほんとそういうところだよ、お前』
念押しの言葉も、特に効いている様子はない。
「夢追さんは、お好きでしょう?」
むしろ望んだものと真逆の顔で、声で、言葉で返されるのだから、加賀美に対して、夢追の饒舌は本当にタイプ相性が最悪である。
『…..顔だけね、それ以外は嫌い』
「ふふ、ありがとうございます。私も夢追さんのこと大好きですよ」
『嫌いって言ってるでしょ。妄想は脳内に留めておいてくれる?』
「んふふふっ、そっかぁ、嬉しいなぁ」
『こわ、もうダメだろコイツ』
レスバにおいて、話が通じないやつが一番強いのだ。これ以上は無駄だと早々に判断すると、夢追は今度こそ眠りにつくため目を閉じた。
目を閉じる前。加賀美の脇腹に軽く蹴りを入れ、やはりビクともしないことに不満気な顔をしてから。
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