「恋人じゃなくなった日」

—数年後—

やっぱり侑の事が忘れられへん…

あんな理由で侑を傷つけた

俺の勝手で傷つけてもうた…

もう一度やり直せるかわからんけど

もう一度会えたい

何処かで会えたらええな

何処かで会えたら なんて思った日

ﾄﾞﾝｯ

「イタっ、あ、すみませn」

「え、」

「え、」

「治…」

「あ、侑…」

本当に再会した日

「……」

「……」

「…侑」

「？」

「あの時は、ごめん…」

「！」

「侑の事ちゃんと考えてなかった…」

「…ホンマやで」

「すまん…」

「……なぁ俺らやり直せるかな」

「え、」

「治はどうしたい？」

「俺は……やり直したい」

「ふふっ、俺も」

あの時ごめんね 謝った日

「俺の家、今から来るか？」

「行く」

「ほな、行こや。ムギも居るで」

「ムギ居んのか。久しぶりやな〜、久々にモフモフできるわ笑」

「確かに治は久しぶりやな。けど、最近ムギ元気ないんや…」

「え、ムギ大丈夫なんか」

「多分…」

「はよ帰ってあげな」

「せやな」

「ただいま〜」

「お邪魔します」

「え、ムギ？」

「う、嘘やろ…」

「なぁムギ？ムギ！」

「……」

君が飼ってたムギが眠った日

「ムギ…」

「……」

「…ムギな、治と別れてからずっと傍に居てくれたんや。俺が一人暮らしする時もついてきてくれた。つらい時ずっと傍に居ってくれた」

「そうなんや…」

「ほんまムギと出会えてよかった。今までありがとうなムギ」

「……」

「治も同じやで」

「え、」

「治とも出会えてよかったと思っとる」

「侑…」

愛しくなるほどに怖くなっていくけど

出会えたことが幸せと感じれた日

「なぁ、治」

「？」

「俺の傍にずっとおってくれる？」

「当たり前や。俺が侑の事守るんやから」

「ふふっ、ありがとうな」

君をひとりにしない

心に決めたその日

いつでも傍に居たい心届く場所でさ

「侑」

「ん？」

「これ、受け取ってや」

「ん？……え！！これって指輪…」

「正式な結婚は無理やけど、俺は侑と家族やという証だけでも欲しい」

「……」

「俺と家族になってくれないか」

「こ、こんな俺でええの？」

「侑じゃなきゃ嫌や」

「っ、泣」

「侑」

「ﾋｸﾞｯ、ん？泣」

「これから家族として一緒に歩んでくれませんか」

「ｸﾞｽｯ、はい」

家族になろうと君に誓いを立てられた日

恋人じゃなくなった日

幸せにする

幸せになろう

幸せにして

幸せに生きて

生きて

生きて

ずっと

傍に居るから

「侑」

「ん？」

「病める時も健やかなる時も、命ある限り俺は宮侑を愛すことを誓います」

「！、ふふっ、素敵な誓いの言葉やな」

「せやろ？」

「ほな、俺も」

「？」

「病める時も健やかなる時も、死がふたりを別つまで俺は宮治を愛すことを誓います」

「！」

「これで俺ら家族やな」

「ふっふ、せやな」

家族になれた日

やわらかなひだまりに

「治ー、何見てるんや？」

「ん？あー、昔のアルバムをな」

「ほーん、あ、これ懐かしい！」

「あ、ほんまや」

それぞれの物語映して涙した日

悲しいから泣いたりした訳じゃないんだよ

恋人じゃなくなった日

𓂃𓋪◌𓂃End𓂃𓋪◌𓂃