テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
再会してからというもの。
たくととりゅうきは時々会うようになった。
最初は月に一回。
それが二週間に一回になり。
気付けば毎週のように連絡を取っていた。
『暇ですか?』
りゅうきからメッセージが来る。
『暇、ご飯行く?』
『行きます。』
高校生の頃と変わらない。
いや。
変わった。
高校生の頃よりも自然だった。
お互い大人になったから。
気を遣わなくていい。
無理にかっこつけなくていい。
だから一緒にいるのが楽だった。
それが問題だった。
たくとにとって。
—ある日の帰り道。
「今日も楽しかったです。笑」
りゅうきが笑う。
「それはよかった。笑」
「先輩といると楽なんですよね。」
「、っ。」
たくとは苦笑した。
その言葉が。
嬉しくて。
苦しい。
好きな人から言われるには。
優しすぎた。
家に帰って。
一人になって。
スマホを見る。
さっき別れたばかりなのに。
もう会いたい。
そこでようやく気付いた。
終わっていなかった。
十年前の恋は。
ずっと。
終わっていなかった。
—「馬鹿だなぁ……」
自分で呟く。
もう大人だ。
学生じゃない。
現実も分かる。
なのに。
りゅうきが笑うだけで嬉しい。
名前を呼ばれるだけで嬉しい。
好きだ。
今でも。
どうしようもなく。
好きだ。
それから数ヶ月後。
居酒屋。
二人で飲んでいた。
「そういえば。」
りゅうきが言う。
「俺、最近全然恋愛してないです。」
たくとの手が止まる。
55
「へぇ。」
「先輩は?」
「してない。」
「なんで?」
なんで。
そんなの決まってる。
目の前のお前が好きだからだよ。
もちろん言えない。
「忙しいから。」
嘘をつく。
りゅうきは納得したように頷いた。
その横顔を見ながら。
たくとは思う。
もし今。
好きだと言ったら。
どうなるんだろう。
十年前とは違う。
りゅうきはもう誰とも付き合っていない。
でも。
言った瞬間。
今の関係が壊れるかもしれない。
それが怖かった。
だから言えない。
また。
十年前と同じように。
その日の帰り。
駅のホーム。
電車を待ちながら。
りゅうきがぽつりと言った。
「先輩。」
「ん?」
「なんで結婚してないんですか?」
たくとは笑う。
「さぁ。」
「モテそうなのに。」
「そうでもないよ、笑」
りゅうきは少しだけ黙った。
そして。
「俺だったら。」
「?」
「先輩みたいな人と付き合いたいですけどね。」
たくとの心臓が止まりそうになる。
りゅうきは気付いていない。
何気なく言っただけ。
きっとそう。
でも。
十年間忘れられなかった恋には。
十分すぎる言葉だった。
たくとはホームの向こうを見る。
りゅうきに顔を見られないように。
「……それは反則だろ。」
小さく呟いた。
りゅうきは聞こえずに首を傾げた。
そしてたくとは思う。
もう一度だけ。
今度こそ。
この恋に向き合ってみてもいいんじゃないか。
十年前は言えなかった。
でも今なら。
もしかしたら。
まだ遅くないのかもしれない。
そんなことを考え始めてしまった。
コメント
1件
ああもう、第3話読み終わったよ…!!!😭💕💕 「終わっていなかった。十年前の恋はずっと終わっていなかった」のところ、胸がぎゅーってなった…!たくとの葛藤がすごく伝わってくるし、「反則だろ」って呟くシーン、最高にエモいよ…!!りゅうきの無自覚な一言で心臓止まりそうになるの、わかる〜!!😫💖 このまま向き合う勇気が出せますように…二人の距離がどう変わっていくのか、続きが気になって仕方ない!!