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見つからないようにとあるビルの屋上にきた海達。

向かいのビルの下にはキャバクラらしき店があり、そこに守達が監禁されているらしい。


「お前、索敵ができるんだろ?やってみろ」


真澄が言うと、遊摺部は彼の血触解放『汝、何処へ』を使って半径2㎞の生命反応を点として床に映し出した。

そこには守と皇后崎の_鬼の反応が出る筈だったが。


「…あれ?」


遊摺部は目を見開いている。

真澄はわかっていたとでも言う様に「やっぱりな」と言った。


「真澄兄さん、どういう事だ?」

「桃華でも分かるように説明してやるよ」

「よろしく頼む」


真澄が言うには、遊摺部の能力はビル街などでは階層が生命反応が重なりすぎて正確な位置が分かりにくくなってしまうらしい。

遊摺部はその事実に悔しそうにしていたが、海が遊摺部の瞳を真っ直ぐに見つめて言う。


「私達が役に立たない事は真澄兄さんも分かってる。だったら…せめて吸収しなければ」


真澄と馨が屋上の柵に近付き、手袋を外す。

下の方を見ながら真澄が言った。


「偵察部隊の仕事ってやつをしっかり見とけ」


真澄が馨の名を呼ぶ。

馨は小さな瓶に自分の血液を少量入れ、振った。

何をしているのか桃華や四季を初めとした生徒達には分からなかったらしく、海が説明を始める。


「馨さんの血液を入れた小瓶を振ると、音が反響して位置等を特定出来るんだ。動物で例えるとイルカやコウモリだろうか。後、これは他の人がやってもできるぞ」


海の説明が終わるや否や四季と桃華が「やる~!」と馨の所へ駆け寄っていき、最初に受け取った四季が勢い良く振る。

海は少し苦笑いをして言った。


「…一気に大量の情報が流れ込むから情報酔いしやすいけれど」


その瞬間四季は振るのと同様に勢い良くリバースし、矢颪が大爆笑する。

次に受け取ったのは桃華で、これまた勢い良く全身を使って振る。直後に四季のように勢い良くリバースし、真澄に馬鹿にされる。


「おえぇぇ…」

「馬鹿が」

「ますみにいひどぉい…」


涙目の桃華は遊摺部の方にふらふらと歩き寄り、「はい」と小瓶を渡した。

受け取った遊摺部は少し振るとこれまたリバース。

案の定矢颪に四季同様爆笑されていた。

そんな様子に真澄が結果を急かす。

馨は冷静ながら「少し変ですね」と口を開いた。


「あの店内、鬼二人の反応しかありません。一番奥の部屋に閉じ込められてますね」


(姉さんと皇后崎…!)

海はまだ姉達が生きていることに胸を撫で下ろしたが、馨の「鬼二人だけ」という言葉が喉に引っ掛かった。

(鬼二人だけ。ということは…)

桃はおろか一般人の反応も無いとなれば罠である可能性も高い。そんな場所に入っていくのは文字通り命懸けだ。

(姉さん達、大丈夫かな)

考えていると、真澄がそこに乗り込もうとしていた。

ぺろりと自らの手に滲む血を舐め、透明になっていく。

四季が騒いだが、真澄がタイキックをして黙らせた。


「桃華ぁ、電話繋いどけ」

「うん!」


フェンスが音と共に僅かに揺れ、真澄は守達の元へと向かった。



_同時刻、守と皇后崎はただ助けを待っていた。

空気はどこか重くのし掛かり、静かに時間が流れている。

その中で、守が静かに口を開いた。


「皇后崎君、さっきの事だけどさ、やっぱ話して良い?」


守の話し方はいつも通りの様ではあるものの、少し震えているような気がして。

皇后崎は無言だったが肯定と取って守は「じゃ、話すね」と話を始めた。


「むかーし昔、優しすぎる、お人好しすぎる桃太郎が一人、おりました_」



こんにちは。作者です。やっと神示家の話を書けるとはしゃいでます。

最近寒すぎて家でもずっともこもこです。寒がりなので。

感想や閑話休題のリクエスト、聞かせていただけるとモチベーションになりますしシンプルに嬉しいです。お願いします。

いつもブックマーク、いいね、励みになっております。ありがとうございます。これからも読んでいただけたら嬉しいです。

その姉妹、鬼女につき。

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