フロア毎の表示を目で追っていたら、2階にビュッフェとあって、
「ビュッフェって、何があるんだろう……」
と、エレベーターでビルの2階へ上がってみると、フロアの半分が食事スペースで占められていた。……随分と規模が大きいけれど、もしかして、これがいわゆる社員食堂なの?
セキュリティカードを提示すると、
「こちらは、全て無料になっていますので、どうぞお好きなものをお召し上がりください」
入口に立っていたソムリエスタイルのスタッフの方に、中へと招き入れられた。
──ビュッフェのコーナーにはご飯類や副菜だけじゃなく、サラダやドリンクバーまで揃っていて、その品揃えの多さには目移りがする程だった。
「これが、全部無料だなんて……」
オムライスにフレッシュな野菜サラダに、デザートのプチケーキにと、プレートに食べたいものをあれこれと盛り合わせて、窓際の席に着いた。
窓から外を眺めると、何人ものビジネスマンがビルを出入りしているのが見えて、この会社の活気がひしひしと感じられた。
「蓮水CEO……こんなにすごい会社のトップな上に、どこまでも格好が良くて、本当に完璧すぎて……」
呟いて、付け合わせのプチトマトをフォークで口に入れる。
「……だけどあんなにも完璧なのに、さっきみたいに垣間見えるちょっとした隙のような感じに、ぐっと惹きつけられてしまうっていうか……」
きっと活気あるこの会社の雰囲気も、蓮水さんの人柄があってこそというのは、やっぱりあるんだろうなと素直に思えた……。