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渡辺 side
毎日、夜明けがやってくると鳴り響くアラーム。
俺は毎朝重たい体を動かしてアラームを止めて、愛人が作ってくれた朝食を頂く。
渡 )ん”ん〜、まっじで朝起きれねーんだよな、(欠伸
渡 )っしょ、(扉開
渡 )ん、?
違和感を覚えた。
毎朝扉を開けたら自然と香ってくる朝食の香りがない。
いつもなら食欲をそそられる匂いが漂っているはずなのに。
急いで階段をおりた。
渡 )涼太?
案の定、そこは虚無の空間だった。
俺が起きるまでに起きてないわけが無い。
何かあったのだろうか
心配になり部屋を見ることにした。
渡 )、(扉叩
渡 )涼太ー、?起きてる?
そう問いかけたものの応答はない。
渡 )ごめんな、入る
断りを入れて部屋に入ると、
宮 )しょうた、(咳
布団にくるまりどこか苦しい表情をしている涼太がいた。
これは相当な高熱がありそうだ。俺にはわかる。
渡 )どうした、熱?
宮 )からだ、あついっ、
渡 )風邪かな。
渡 )体温計ある?
宮 )そこっ、棚の2段目、(咳
少し会話をしているだけなのに、涼太の声と共に咳の声が耳に入ってくる。
渡 )はい、測って
宮 )、、、(ピピッ
渡 )みせて
宮 )、(差出
渡 )39.7℃かぁ、
予想通り。相当な高熱だった。
幸い今日は俺も涼太もOFFだ。
渡 )とりあえず、冷えピタ持ってくるわ
渡 )あとなんか食べたいものある?
渡 )俺でよければ作る
宮 )おかゆ、たべたい、
渡 )おかゆね、おけ
渡 )ちょっと冷たいよ、(ピタ
宮 )ん、きもちぃ、、(息切
渡 )良かった。じゃあ俺お粥作ってく、、(立上
宮 )っねぇ、いっちゃうの、?(上目遣
目に雫を浮かばせて、俺のパーカーの袖を引っ張りながらそう訴えかけてくる。
涼太は体調が悪いといつも以上に1人を嫌がる。
恐らく心も弱っているんだろう。
渡 )おかゆ作んないとなんだけど、
宮 )だめ、まだいて、
渡 )涼太が食べるの遅くなっちゃうよ?
宮 )おれよりおかゆなの、
渡 )いや、そういうわけじゃ、
宮 )じゃあいて
渡 )わかった
何を言っても涼太は折れないと悟った俺は大人しく涼太のそばにいることにした。
渡 )おかゆできるまで寝る?
宮 )ん、できたらおこしてね、
渡 )わーったよ、
そのままスヤスヤと眠りについた涼太の頬を撫でる。
すると、取り繕うように俺の手に頬をすりすりと擦り付けてくる。
どこまで可愛いんだ。この子は。
そう思っていても、涼太の頬から感じられる温度はまだ熱い。
涼太が完全に眠りについた時、静かに部屋を出ておかゆを作ることにした。
渡 )っうし、こんなもんかな
あっという間におかゆを作り終えた俺はおかゆを食べさせるべく再び涼太の部屋に入った。
渡 )、(扉叩
渡 )涼太〜、おかゆできたよ、
渡 )涼太、?(扉開
そこにはまだ眠りについている涼太がいた。
いつもより体温が高いため頬は紅潮していて、長いまつ毛がはっきりと映る。
起こすかこのままにしとくかと迷っている間に布団がもぞもぞと動き始めた。
宮 )しょ、た、?
渡 )涼太おはよ、おかゆ出来たよ
宮 )ありがと、
渡 )食べれる?
宮 )ぁ、(口開
あーんしろと言わんばかりに口を開けて待機している。
仕方なく俺はスプーンいっぱいにすくったおかゆをそっと涼太の口へ運んだ。
宮 )ん、おいしい、
渡 )良かった。もっと食べられそう?
宮 )うん、あ(口開
渡 )はいはい、笑(呆
その後も涼太はおかゆを食べ続け完食した。
熱を測ろうと体温計を渡し、体温を測ると、
渡 )38.4℃ねぇ、
渡 )さっきよりかは下がってるけど、まだ高いね。
渡 )まだ休んでな?
宮 )しょた、ちかくにいる、?(袖掴
俺のパーカーの袖をちょこんと掴んで上目遣いの涼太を前にして断りの言葉を発せるわけが無い。
渡 )もちろん。離れないよ。
宮 )ありがと、
宮 )ね、いっしょ、ねる、
数分間の沈黙の後涼太が発した言葉。
突如として一緒に寝ると言われた俺は頭が真っ白になった。
普段俺から一緒に寝ようと言っても涼太は嫌がる側だ。
それが今となってはおねだりする側になっている。
新鮮だけど、何だか違和感。笑
渡 )何、熱移るよ?
宮 )いいの、
渡 )えぇ、ダメでしょ、
宮 )しょたつよいし、だいじょぶ、
渡 )ッ、
こんなに可愛らしい顔をしてる彼女に抗えるわけがない。
渡 )じゃあ、一緒に寝よっか。
宮 )ほんとぉっ、!?(目輝
一瞬涼太の体調が治った気がした。
俺が承諾の言葉を発した瞬間、涼太の目は輝きに満ちていた。
素直で可愛い彼女を横目に、俺は赤子をあやすような手つきで背中を優しく叩いた。
いわゆる寝かしつけってやつ?
赤ちゃんにもしたこと無かったのにまさか涼太にやる時が来るなんて思わなかったよ笑
そんな事をしているうちに、俺は涼太と一緒に眠りについた。
深夜2時。
宮 )ッう”ぅ゛、(泣
渡 )ッ、?(目擦
何かが泣いているような声で俺は目覚めた。
まだ朝日は見えない。
泣き声の正体は、
宮 )ッう゛ぁ”、(ぐす
渡 )涼太ッ、大丈夫か、?
涼太だった。
恐らく、体調を崩したことによるメンタルブレイクだろう。
過去にもこのような事があった。
でも今日は違う。
いつもなら、涙を拭っている服の裾はあまり汚れていないはず。
今日は、顔も服も、涙でぐちゃぐちゃになっていた。
渡 )辛い?ダルい?怖い?
宮 )つらい、っ、(泣
渡 )そっかそっか、大丈夫だよ、(背中擦
普段の疲れがどっと襲ってきたのだろう。
優しく背中を擦りながら問いかけた。
渡 )どうしたの?
宮 )ぉれ”ッ、しょおたにっ、めいわくばっかかけてっ゛、(泣
宮 )ッッ、ぅ”っ、う゛、(泣
渡 )、(背中擦
宮 )きらいに”っ、ならないでっ゛、(泣
何が理由で涼太がここまで追い詰められてしまったんだろう。
彼氏として気づけなかったことが不甲斐ない。
渡 )何があったの、俺は嫌いにならないよ、大丈夫。(背中擦
宮 )こわいっ、ゆめ”みた、
宮 )しょたが、おれのこと゛、すてて、ひとりになっちゃうの”、(泣
ああ、夢の中の話か。
現実世界のことが理由ではないという安心とともに、
何故そんな恐ろしい夢を見てしまったのかが分からない。
そんな気持ちが俺の中をぐるぐる回っていた。
渡 )涼太。俺は絶対に涼太のこと離さないから。
渡 )約束するよ。
返事はなかった。
あれ、こんなにかっこつけて言ったのにな、、と涼太の方に視線を向けると、
宮 )っ、すぅすぅ、(眠
すやすやと寝息を立てて眠っていた。
泣き疲れたのか、はたまた安心して眠りについたのかは分からない。
ただ、確かに涙でぐしゃぐしゃになっていた目元は、赤く腫れていた。
翌日。
渡 )っん”、今何時、?
朝目覚めると、隣に涼太はいなかった。
渡 )あれ、どこ行ったの、?
俺はリビングに走る。
リビングに向かう途中、毎朝香っていたような匂いが鼻先に掠った。
リビングに着くと、そこにいたのは
宮 )あ!翔太おはよ!
宮 )朝ごはんできてるよ(微笑
涼太だった。
本来の調子を取り戻し朝から料理をする姿を見て、
何故か涙が溢れそうになった。
しかし、涼太の顔をよく見ると、
深夜2時に泣いていたのは夢ではないようで、
うっすらと目元が腫れているのが分かった。
渡 )涼太、昨日大丈夫だった?
宮 )昨日咳出過ぎて喉痛かった、(悲
渡 )え、そうじゃなくて、いや、それもそうなんだけど、
宮 )ん?
渡 )昨日の夜、てか、あれは今日なのかな、
宮 )え、何?おれなんかしちゃった、?
渡 )いや、なんでもない、夢かも、笑
本人の記憶には残っていないようだ。
渡 )涼太。
宮 )どーしたの?
渡 )ずっとそばに居るから。
渡 )絶対に涼太を離したりなんかしない。
宮 )いきなりどうしたの?笑
宮 )まあ、ありがとっ、(照
戸惑いの表情を見せながらも照れて頬が赤くなっている涼太を一生守っていきたいと思った1日。