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奏が倒れる夢を見た。やけに現実味があって、怖い。そう思う夢。不安からか恐怖からかわからないけど、目を覚ました時目の前にいる奏に安堵して、彼女の手を握った。
深呼吸を繰り返し揺れる視界の中で彼女を何度も何度も視認していくうちに少し落ち着きを取り戻す。
奏を起こさないようゆっくり布団から出てキッチンへ向かう。蛇口を捻り出てくる水をコップに溜め、それを飲み干す。
「ふぅ……」
最近の彼女の様子を伺うとまた倒れるんじゃないかと時々思う。きっとそれが夢に出ただけだ。
二度目の落ち着きを取り戻した後ふと彼女の様子が気になって部屋に行った。
まだ布団の中で眠る彼女は一定のリズムを刻みながら呼吸を繰り返してて、生きてて、それを見てどこか安心した気がした。
眠る彼女の前髪をずらし、おでこに一つ、唇に一つ、キスを落とす。
奏は優しすぎる。私に向き合いすぎるあまり一度倒れてしまう程には。
二度も同じことを起こしてはいけない、だから私がちゃんと彼女を見ていなくちゃいけない。
そう、ふと思った朝だった。
コメント
1件
**リオン** おはようございます、汀さん。読了しました。 夢で奏が倒れるシーンから始まって、現実の彼女の無事を確かめる動作のひとつひとつが本当に細やかで、胸がぎゅっとなりました。特に「生きてて」の一文、あれがもう全ての感情を伝えてくるんですよね。キスを二つ落とす優しさと、同時に「二度も同じことを起こしてはいけない」という覚悟——このバランスがすごく好きです。過去に何かがあったのかな、という仄めかしも効いていて、続きが気になります。素敵な朝の一片でした。