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ライブの打ち上げが終盤に差し掛かる頃。
居酒屋の奥の個室では、元貴、滉斗、涼架の3人が、焼き鳥の串とグラス片手にくつろいでいた。
「…あれ?滉斗、今日めっちゃ飲んでない?」
元貴がふと気づいて指摘すると、滉斗はすでにほっぺたが真っ赤。なのに堂々とした態度で頷いた。
「は?オレ?全然酔ってないし。」
腕を組み、背もたれにどっかりもたれた滉斗は、なぜか急に態度がデカくなっていた。
「…ん?滉斗、なんでそんな偉そうなの?笑」
涼架が笑いながら聞くと、滉斗はゆっくりと涼架に視線を移す。
「なぁ、涼ちゃん…お前、俺のギターあってこそのMrs. GREEN APPLEって思ってるだろ?」
「え?え、ちょ、うん…まぁ、うん…すごいとは思ってるけど…」
「あぁ、そうだろ?やっぱ俺、音楽の神に選ばれてると思うわ。」
元貴が吹き出す。
「ちょっと待って?“音楽の神”て。滉斗どうした?酔うとそんなキャラになるの?w」
「いや、マジで今日のソロ、俺自分で震えたし。“これがプロってもんだ”って思ったもん。」
「誰目線なのよ、それww」
「お前本番前に言ってただろ、“今日の滉斗、いつもよりキマってる”って。」
「言ったけど!そんな自信満々な感じで言われると引くわ…笑」
涼ちゃんも横で「カッコいいと思ってたけど、ここまでイキると逆に面白い…笑」って肩震わせて笑ってる。
滉斗はというと、手にしたグラスをくいっと飲み干し、テーブルに「カラン」と置いて、ドヤ顔で言い放った。
「俺がMrs. GREEN APPLEや!」
「それは違うwwwww」
即答で元貴がツッコんだ。
「いや、でも俺がいなかったら……まあ、こう、花がないっていうかさ……」
「それ、俺のセリフ。」
「ちょ、ほんと失礼じゃない?じゃあ僕は何?添え物?」
涼ちゃんがぷくっと膨れると、滉斗は笑いながら肩に腕を回して、
「違う違う。涼ちゃんは癒し担当でしょ?あと“かわいさ”枠。
俺はバンドの“背骨”。で、元貴は…まあ、“顔”かな。」
「顔って!歌は!?曲は!?そこ評価して!!」
「いや、顔も良いだろ?」
「…ちょっと飲みすぎたな、お前。」
元貴がため息をつくと、滉斗は急にグラッと体を揺らして、元貴の肩に頭を預けた。
「なぁ、でもさ…俺らで良かったなぁ…」
ふっと素に戻ったようなその呟きに、元貴も涼ちゃんも一瞬静かになる。
酔ってるくせに、こういうとこはズルい。
「ほんまそれな。」
「…うん、間違いないね。」
そのまま、3人の笑い声と、ほろ酔いのぬくもりが、夜の個室にゆるやかに響いていた。
続く?w