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※4月1日に投稿された📄の歌ってみたを元ネタに書いています。
※るむふぉが遊女、基本は 受け側になりますが場合によっては攻めにもなります。
※名前、口調は変えていませんので時代背景と合わない場合があります。
※捏造設定が多く含まれます。
※他、人によっては不快と思われる表現があります。ご注意ください。
今回、nghb(ガッツリめ)あります。
アキラの身請け話から数日、雲雀が厨房で遊女たちの昼餉をこさえていると奏斗から声がかかる。楼主と若衆という関係ではあるが2人は気心のしれた友人でもあったため個人的な話も珍しくない。
元気よく返事をし、作業を別の若衆へと任せる雲雀。奏斗はなにやら難しい顔をして耳打ちをしてきた。
「実はさ、……お前にセラフの水揚げ頼みたいんだけどいける?」
「え?!!マジで言ってる?!…何も俺じゃなくても……」
「他の人だと怖がっちゃって…ひばがだめならもう誰もいないんだよね〜」
「おい圧かけんなって!」
悪戯っ子のように笑って、よろしくとだけ言い残し足早に駆けていってしまう奏斗。忙しない姿を見送り、雲雀は昼餉の準備へと戻っていった。
その日のうちに、2日後にセラフとまぐわうよう申し付けられた。
雲雀は頭を抱えた。というのも、雲雀自身経験豊富とはとても言えず、初夜を飾ってやれるのか不安だった。せいぜい春画の真似事ぐらいしかできやしない。
「ってわけで、頼む!」
「はぁ……。」
頭を下げる雲雀へため息で返したアキラ、昼間のうちであれば忙しい座敷持のアキラも幾分か自由な時間はあった。
アキラ本人としては、何故好いている相手が別の男を抱くための手技を教えねばならないのだと怒りたいほどだった。だけれど、そんなことでも自分を真っ先に頼ってくれる彼のことが嫌いにはなれない。
「…わかりました。何から教えましょうか?」
「ありがとうな〜!さすがアキラだぜ〜!…んーっと、全部。」
大袈裟なまでに喜んだと思えば、無垢な瞳で何もわからないと宣う。 拍子抜けしてしまったアキラはまたため息をついて雲雀へと近づいた。
するりと陶磁器のような白い手が雲雀の顎から首筋を撫で下り、胸元まで来る。
これはお天道さんがよこした良い機会なのかもしれない、どうせじきに離れゞになってしまうのだ。
「それなら、一度やってみんしょう。……ねぇ、主さん」
「へ?」
とんっ、と胸を押され、抵抗もできず雲雀はその場へ仰向けに倒れ込んだ。その上に馬乗りになって、桃のように瑞々しい唇を舌でぺろりと舐めた。
戸惑うことなくアキラの手は雲雀の一物を服の間から逆手で捉え、ゆるゆると扱き上げた。
「…っちょ、アキラ…ッなに、して…!」
「しー…静かにしてくんなんし、見つかったら大変でござりんす」
近づいた黒髪から香る甘い椿の匂いに雲雀の頭はくらくらと回り出す。そんな中でも片隅では見つかってしまったらどうアキラを庇おうか、身請けまでをどうやって取り持とうか考えてしまった。
「ぅ…あ、アキラ…ッ、」
身のこなし、言葉使い、息遣いまでをアキラは雲雀の劣情を煽ろうと今までにないくらい必死だった。馴染の客にすらここまでしてこなかっただろう。
「雲雀」
「な、んだよ…っ」
「……私、久々に”これ”使いたいです」
「は…?」
長らく遊女としてその妖艶さを遺憾なく発揮してきたアキラだったが生来の性は変わらない。彼とて不能ではなかった。
すでに硬くなりだした自身の怒張を雲雀の蟻の門渡りへ押し付けた。
「や、なんで…っ、やめ、ッ…」
「だって、知りたいんですよね?どうやってまぐわうのか」
予想外の出来事にぎゅっと身を緊張させ、怯えたような目でアキラを見上げる雲雀。内心、心苦しいと思いながらもアキラはもう止まれなかった。
痛い、痛いと啼く雲雀を力任せに抱き潰した。流れる涙はどんな玉よりきれいで、あがる啼き声は朝を告げる軽やかな鳥のようだった。
事が済むとよろよろと雲雀は立ち上がり、簡単な礼を言って座敷を出ていった。
初めて来た江戸の街。はしゃぐ幼いアキラを重苦しい顔をした両親が導く。
入った先の茶屋でアキラは知らない男たちに手を引かれ、吉原へ入った。しばらくは両親の迎えが来ることを心待ちにしていたがついに両親と再会することはなかった。
水揚げをした日のこと、初めての客は小太りな爺さんだった。アキラは嫌がり、その顔を叩いてしまったのだった。
姐さんから仕置をされ、止まらない涙を止めるため物置の隅に隠れていたアキラ。すると近くの葛籠から紫の髪をした同い年くらいの少年が出てきたのだ。
驚いたアキラは思わず、あっと声をあげてしまうが少年は構うことなく涙の理由を聞いて、それから焼いた餅や飴をくれた。
その後も何度か物置で会っては、隠れておやつを2人で食べたものだった。
座敷を与えられた日のこと、雲雀へ伝えると自分のことのように喜んで祭りでもないのに鯛や卵、寿司を振る舞ってくれた。もちろん、すべて彼の手料理だった。
唄が上手くいかないときは、雲雀が楽器を持ち出して一緒に歌ってくれた。
客から嫌な思いをさせられた時はいの一番に楼主へ掛け合っていた。
一人、残された座敷の中、閉ざされた障子戸からはうっすらと星が光っていた。
アキラは情事のあともそのままに俯き、ぼろぼろと大粒の涙を零した。彼が似合うと言ってくれた紫陽花の柄の着物が濡れていく。
「大好きでした、ずっと、ずっと。ごめんなさい、雲雀…ごめんなさい……」
これでよかった、これで彼に嫌われてすっぱりここを立ち去れる。そう思うしかなかった。