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#東リべ夢小説
ハゲユーザー
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第7話「目覚めし青龍 鼓動のピリオド」
神の王が襲来する深夜で、青き龍神の青龍が目を覚ます。
張りつめていた空気が軽くなる。
ゼウスは表情一つ変えなかった。真顔。
「…ただの爬虫類か」
「ワシは爬虫類ではない」
青龍は空に舞い上がり、笑った。
「正義のヒーロー……に憧れし、七龍の一席でもある。
最強ピチピチの八百歳だ!」
ドヤ顔の青龍に、少女は考えた。
「青龍さん、ピチピチって何?」
しかしゼウスは、その派手な名乗りにも一切反応しなかった。
「老い耄れよ。裏切ったか」
青龍はアホみたいな顔をした。点目にほんのり開いて、しまいにはよだれまで垂らしている。
「青龍さん!? 顔!」
しかしそのアホ顔のまま、声だけは妙に真面目だった。
「龍神は“自由”の存在じゃ!
だからお前の政治なんて元々聞いてないわ」
ゼウスが目を見開く。
「じ…ゆう……!」
脳裏に思い出が走馬灯のように蘇った。
アホ顔の「自由」という単語がトリガーに、記憶がよみがえってくる。
――数十年前。
天界・京天都。
様々な店や高層ビルが密集する天界の首都。
その一角にある小さなカフェで、ゼウスは彼女とタピオカを飲んでいた。
彼女の名は「レダ」。
白い羽を持つ、天界でも評判の美しい女神。
「いや~、君今日も可愛いよ」
「えー、マジ嬉しい!ありがとうございます、ゼウス様」
ゼウスは鼻の下をこすった。
「いいよ、いいよ。私は全知全能だからね。君のどんな願いも叶えられるんよ。何でも言ってね」
レダはストローをくわえたまま、ぱちぱちと瞬きをした。
「ほんとに?でもゼウス様、王の仕事はサボってていいの?」
「ええんちゃう?どうせ娘達が代わりにやってくれとるやろ」
レダは椅子を一歩後ろに下げる。
「ええ……」
「ええやんか!」
「…そうね。あとゼウス様……妻いるんだよね?大丈夫なの?」
心配の声を、ゼウスはまた軽口で返してしまった。
「ヘラか……確かに浮気だけども、たった一度の神生だし“自由”に生きるよ。仕事も、恋愛も」
その瞬間、走馬灯が唐突に途切れた。
何もなかったかのように意識が戻る。
――現在。
「はっ!!」
震える声で呟く。
「……なぜ……あの記憶が……今……?」
青龍は今度はちゃんと正常の顔で話しかける。
「まるで過去でも見たような顔しとるのう」
「自由……私にも……」
青龍は優しく微笑む。
「記憶は宝だ。例えトラウマでも」
「私が憎い!」
ゼウスは突然、自分の頬を叩いた。
「…爬虫類!そもそもお前が自由とか言い出さなければいいものを」
少女と青龍の体が透けていく。
「消してやる。“無消(バン)”」
万物の全てを止め、消し去る言霊が発されてしまう。
「体が消えていっちゃうよ!」
青龍は如意宝珠を前に出した。
「如意宝珠──消滅を止めてください!」
宝珠が青い光を放つ。
少女の透けた輪郭が、ゆっくりと戻っていく。
「流石は如意宝珠。宇宙の約七割の力からできた“外物”なだけある。だが、私の力をなめるでない」
青龍がしおれる。
「宝珠の力が強すぎる……もう立てん」
宝珠が青龍の手の中で火花を散らしてショートしてしまった。
如意宝珠はあらゆる願いを叶える。
だから一日の使用制限がある。
これも宇宙の法則で定められている。
「次はどう消そうか」
「いや……」
ゼウスの手が少女を襲う。
青龍は動こうとするが、動けない。
ゼウスの指先が少女の額に触れようとした──
ガンッ。
「……っ……!」
頭痛がゼウスの動きを止めた。
少女は目を開ける。
「怖いよ……」
少女には状況が理解できなかった。ただ、怖がることしかできなかった。
「またあいつか?」
すると今度はゼウスの脳内にテレパシーが入る。
「よう!来たぞ、天界の王様」
「来んな……!」
「お前が道草食ってるからだろ。そんなことより準備はどうした?」
ゼウスの瞳が大きく揺れる。
「忘れていました」
「お前ほんとポンコツよなw さっさと済ませな」
その言葉をきっかけに、頭痛が再び消えた。
「誰と喋ってたの?」
「まあ、混沌の王だ」
「こんとん……?」
ゼウスは少女から離れる。
「帰る。急用ができた」
ゼウスは少女から一歩、二歩と離れた。
少女は震えながら尋ねる。
「準備って……何の……?」
ゼウスはためらったが、すぐに覚悟を決めた。
「外来神にも伝えておけ。戦争の準備だと」
二人の顔が変わる。
「戦争って……あの残酷で苦しいやつ?」
「なんでそんなことをするんだ!?」
「全部は教えない。一つだけ言うと──お前らは兵隊にしないことだけだ」
「どういう意味じゃ……?」
ゼウスは静かに言い放つ。
「兵隊にならなくても、どうせみんな死んでしまうのだからな」
それだけを言うと、ゼウスはアルテミスを抱え、消えた。
天界の空気ごと吸い込まれるように。
残されたのは、震える少女と、立てない青龍だけ。
「なんで死んじゃうの?」
青龍は悲しい声で言った。
「……それが戦争ってもんだからだよ」
大雨が降り始めた。
花は枯れたまま、ただ濡れるだけ。
この雨の色は、一体どのように変化していくのだろう。
コメント
7件
うわ、第7話、めっちゃ重かったですね……。青龍の「自由」って一言が、ゼウスの過去の記憶を呼び覚ます展開、すごく好きです。タピオカ飲んでるゼウス、軽すぎて逆に怖い。そして最後の「どうせみんな死んでしまう」の台詞、ゾッとしました。戦争の準備って何なんだろう……。雨の描写が切なくて、余韻がすごいです。続きが気になりすぎます!