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「わ、射的もある!」
咲が思わず立ち止まると、亮がにやっと笑った。
「咲は昔からこういうの好きだもんな。外して泣いてただろ」
「ちょ、子どもの頃の話はいいから!」
慌てる咲を見て、美優がくすくす笑う。
「じゃあ、悠真。代わりにやってみろよ」
亮に促され、悠真が銃を手にする。
店主の掛け声に合わせて狙いを定め、パンッと撃つ。
コトリ、と落ちたのは、ちょうど咲が目を留めていた小さなガラス細工だった。
「……これ、欲しそうに見てただろ」
差し出され、咲は思わず息をのむ。
「……ありがとうございます」
受け取った掌の上で、ガラスが提灯の光を反射してきらめいた。
その横では、美優が綿あめを抱え、亮に笑顔を向けていた。
「ちょっと食べる?」
「仕方ねぇな」
頬に白い綿あめがつき、美優が慌てて拭う。その様子に咲はまた笑ってしまった。