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ある晴れた日。
グラジオラスと呼ばれる、とても綺麗な花が咲いている。
朱色の鳥居がある神社近くに咲いている。
「珍しいこともあるのね。」そう冷たい声で話す女性がいる。
20代前半ぐらいで、黒い長髪を後ろに束ねている。
身長は150cmぐらいだが、容姿端麗で凛としている。
ただ、どことなく冷たさを感じる。
彼女は、この神社でお祓い屋をしている。
他にも頼まれたら何でもするそうだ。
私は気になり「あの…何か珍しいことでもありましたか?」と聞いた。
女性は少し驚き「えっ?あぁ…あまり、こんなところでグラジオラスを見ないからです。」と言った。
「それより、何かご用でしょうか?」
彼女は、さっきまでとは違い笑顔で聞いてきた。
「いえ、何も依頼することはないです。突然話しかけてすみません…。」
「大丈夫ですよ。何もないということは、今皆さんは平和に過ごせているということなんですから。」彼女はとても嬉しそうに言う。
「改めてですが、お祓い屋の狐鬼(きつき)と申します。また何かあれば、いつでも頼ってくださいね。」
私は、そう力強く言ってくれる彼女を頼もしく感じ「分かりました!その時は、またよろしくお願いします。」と言った。
そして私達は別れた。
別れた後、私は少し後ろを振り向いた。
すると、狐鬼(きつき)さんは先程話していた時の笑顔はなく暗い表情をしてグラジオラスを見ていた。
驚いたが、ある言葉が私の耳に入った。
「この花言葉は忘却、思い出。私には忘却したい過去がある。今までの思い出を全部忘却したいくらいの過去が…。だけど、あの人との思い出だけは忘れたくないと思う気持ちもある。どうしてだろうね鳥兜(さくと)……。」
とても冷たい声だったが、悲しいような声にも聞こえた。
グラジオラスが悲しそうに風になびく。
同じ頃、ハナトラノオを見ている男性がいる。
武者修行中に情報を得たそうだ。
「ハナトラノオの花言葉は達成、望みの達成、あなたとの約束だ。俺は目的を果たすことと、君を見付けることだ。この花言葉に少し似ているな。狐鬼(きつき)…それよりも、約束覚えてるか?俺は狐鬼との約束忘れてないから。」鳥兜は、悲しそうな表情になり言っていた。
2つの思いが各々の花の花言葉に重ねられている。
その思いは悲しいものだった。