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喧騒が去ったあと。王子たちが「まぁよきかな!」と勝手に納得して去っていった後の、静かな書斎。
2人だけになって、
空気が変わる。
「……陛下、陛下……」
ハイネの声は、どこか疲れて、でもどこか切なげで。
「わかっている……」
ヴィクトールも、静かに目を伏せる。
「終わりですか…?これ……」
その問いには、ふたつの意味があった。
“この騒ぎのこと”
そして
“この関係のこと”
「そう……だな……」
しばらくの沈黙。
グラスに残った白ワインが、冷たく揺れる。
「……名前で呼んだこと、後悔してますか」
「いや。むしろ、君が私の名を呼んだあの瞬間を――
……どうしても忘れたくなかった」
「……陛下……」
「ハイネ」
もう一度、その名を呼んで。
「“終わり”にするには……まだ、惜しいと思ってしまった」