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大森side
「君しかいなかった」
そんな僕の思いは彼に裏切られた。
今から5年前
僕はマッチングアプリを使って恋愛をしていた。今までにも出会った女性と数回デートをしたことがあるが、“この人だ”と思えるような人に出会えず悩んでいた
幸せな家庭を築きたい
子供とまでは行かずとも一緒にゆっくり暮らせる人が欲しい
そんな思いでマッチングアプリを使っていた
ある日、メッセージが送られてきた
「今度、お会いできませんか?」
その送信者のプロフィールを見てみると、
「若井滉斗 23歳 ♂」
とだけ書かれていた。
僕のプロフィールにも男性と記入したはず…
何かの間違いかと最初は思っていた
「僕男ですが…送り間違いではないでしょうか」
彼の誘いに対して返信した。
でも、もし彼が本気だったら?
僕は同性愛は反対派ではないが自分は恋愛対象が女性だ。
男性とデートなんて…しかも同い年。
返信してから少しするとまた彼からメッセージが届いた
「送り間違いではないです。できればデートしてみたいなと思いまして…。嫌だったらごめんなさい」
彼の気持ちがまっすぐで断ろうにも断れず、いいですよと言ってしまった。
まぁ一回限りで終わりだろう…
そう思いながらその日は眠りについた。
デート翌日。
待ち合わせ場所は駅前。
「…11時だよね…」
時計を眺めながら待っていると1人の男性が早足でこちらに向かってくる
「あっ、あの…おおもりもときさん…ですか?」
「そうです…若井滉斗さん?」
「はい!」
見た限り背が高くて顔が整っていて。
思っていたより…と言えば失礼かもしれないがかっこよかった。
「元貴って呼んでもいいですか…!」
「えっ、あっはい、」
「俺はよく若井って呼ばれるので若井って呼んでもらえたら嬉しいです!」
会って数分の間で下の名前で呼ばれるんだ…
随分と強引な人なのかな
はっきりした性格なのだろう
裏表がないような。
最初は少し戸惑ったが、話していくとすごく優しくて、すぐに友達のような感覚になった。
「俺××って曲が好きで〜」
「えっ僕も!」
「まじ!?ちなみにここの歌詞が〜」
意外にも、趣味も好きな曲も同じだった。
同性愛…いけるかも?
いやそんなわけ…笑
でもなぜだろう
この人とならうまくやって行けそうな気がする
マッチングアプリを使って出会った人の中で1番しっくりくる人だった。
運命って…やつ?なのかな
なんて思いながらデートは終わった。
「元貴って一人暮らし?」
「まぁ、うん」
「家、行ってもいい?」
「…え?家?」
今日会った人が家に…?いくらなんでもそれは…
「俺…マッチングアプリでうまくいったことなくてさ…笑でも元貴とならなんか…なんとなくだけど上手くやってけそうな気がして…ごめん、アホらしいよね笑」
「全然アホらしくないよ、僕もそう思ってた」
「…え、?」
あれ、僕何を…
頭で考えるより先に口が動いていた
その流れで僕の家に若井がくることに。
僕いつかこの人のことを彼氏って呼ぶのかな…
そんな未来が見えないこともなかった。
「お邪魔しまーす」
「えっ、広っ!めっちゃ綺麗だね!」
「ありがと、笑」
「ご飯はもう食べたし…元貴って寝る前何するの?」
「んー、本読んだり…曲聴いたり…スマホ見たり、?」
「そうなんだぁ…そういえば仕事聞いてなかった…」
「一応シンガーソングライター…かな」
「えっ作ってるの!?聴かせてよ!俺ファンになる!」
そう言われた時はすごく嬉しかった
曲に対する満足度は自分でも高かったが、なかなか環境が整わない。世の中に発信できない。
その中でもファンになると自分から言ってくれたことにはびっくりした。
これをきっかけに僕の同性愛はスタートしたんだ
5年前の僕らは幸せだったなぁ…笑
今はもう
「ぁ”うっ、ん”っ、もぉ”き…ごめんなさっ”…へあぁ”♡」
若井はこんなんなっちゃって。
全部君が悪いんだからね〜若井。
責任とってもらわなくちゃ。
そんな僕の人生を少しお話ししようと思う