「とりあえずこれは私からのプレゼントってことだから、クリスマスプレゼント」
由依は、じゃあね、と言ってその場を去ろうとすると、私を廊下に手招きした。
「いらんこと言っちゃだめじゃん」
「え、何がだめなんよ」
「仕方なく俺と行くんかみたいに捉えられたらどうすんの、せっかく黙ってたのに」
「いや、萩原はそんなん気にしないでしょ」
「そんなの関係ないって、萩原と行きたいって気持ち出さないと」
は、はあ、と私は戸惑いながらも学んだ。
「じゃ」
由依はそそくさと帰ろうとした。
「えちょ荷物取ってくるから待ってよ」
「萩原と帰っておいで〜」
なんなんだ、由依は。
由依の少し強引な優しさに戸惑いながらも少し感謝していると、教室から萩原が出てきた。
「あ萩原ちょっと待って」
私はそう言って教室から荷物を取ってきて、萩原の隣に並んだ。
「クリスマスだけどよかった?」
「別に予定ないしな」
萩原、あんまクリスマスとか興味ないのかな。
「お前西尾以外にも友達いんだろ」
「ん?うん、いるけど」
「そいつと行く方がいいんじゃねえの」
チャンスだ、と思った。
「萩原と行きたいよ、私は」
少し沈黙があって、歩く音だけが聞こえた。
「そうか」
萩原はそれだけ言った。