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『ミンミンミンミン。』『もうそろそろ、本格的な夏が始まるのか。』
夏になると思い出す、駄菓子屋に売っているしゅわしゅわとしたラムネの匂い、あのなんともいえないぬるい風、海の潮の匂い、そしてあの夏の日のことを。
もう冬も過ぎようとしていたある春の日だった。ツンと鼻を刺激する春の匂いに包まれ、桜の花がチラホラと咲かせ、小鳥などの動物が冬眠から目を覚まし、春がきたことを知らせ、カップルや陽キャたちが騒いでいる、そんな光景が嫌いだった。俺の育った故郷はコンビニもイオンもないど田舎の小さな港町だ、だからデートや遊び場は海しかない。だから春になると、学校の通学路にある桜の木に自然と人が集まり、キャキャと人が騒ぎ始める。陰キャの俺にとっては最悪だ。そんなことを考えながら俺は今日もまたいつもの通学路を歩いていた。
『ねぇ君桜の花言葉って知っている?』
後ろを振り返ると、長いサラサラとした黒髪に翡翠色の綺麗な瞳透き通った肌の少女が立っていた。僕はそんな彼女に感嘆してしまっていた。
『はぁなんて綺麗なんだ。』
『え。』
『あ、ごめん。ところで桜の花言葉ってなんなの。』
彼女が答えいようとした瞬間風が吹き咲いていた桜の花びらが彼女の近くで舞う。
『優美な女性だよ。私にピッタリしょ。冗談だよー笑』
『ところで君名前は?』
『キンコンカンコンk』
『ごめん急いでるからまた今度。』
『行ってしまった。』
『ふぅ間に合った。』
ガラガラと音立て入ってくる先生、太陽が当たり日の満ちるこの教室いつもと変わらない日々だ。
しかしこの日をきっかけに俺の人生は変わることになった。
『ほら〜みんな静かに。ホームルーム始めるぞ。今日は転校生が来る。はいってきて。』
がらがら
『赤氷桜(あかひ さくら)です。よろしく!』