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思えば、あの日はちょうど両親が少し遅めの新婚旅行に行くと留守にしていたこと、結月が喧嘩をして傷だらけで帰ってきたこと、色々な出来事が重なっていた気がする。



両親が留守とあって、友達と遊んでいるのか夜の10時を過ぎても結月は帰ってこなくて、連絡を入れてみるけど既読は付いても返信は無い。



もしかしたら彼女がいて、泊まってくるつもりなのかもしれない。



いくら姉弟と言えど義理だし、あまり詮索は出来ないと心配しながら帰りを待っていると、帰って来た結月は誰かと殴り合いの喧嘩をしたらしく傷だらけだった。



「どうしたの、その怪我!?」


「何でもねぇよ」


「何でも無いってことはないでしょ? 傷の手当てしなきゃ!」


「いい。こんなの掠り傷だし」


「そんなわけないじゃん! 頬だって腫れてるし……冷やさないと――」


「うるせぇな! いちいち姉貴ぶってんじゃねぇよ。もう寝る!」


「あ、結月……」



手当てを断られ手を振り払われてしまった私は迷ったけど、救急箱と濡れタオルを持って結月の部屋へ向かう。



ノックをして声を掛けるけど勿論返事は無くて、それでも私はドアを開けて中へ入った。



「何だよ、勝手に入ってくんなよ!」


「ごめんね、お節介かもしれないけど、やっぱり放っておけない。手当、させて?」



嫌がられてるのは分かってるけど傷をそのままにはしておけなくて、どうにか手当てさせてもらえないかお願いすると、



「そんなに言うなら、早くしろよ」



観念したのか手当ての許可が降りてベッドに寝転ぶ結月の側へ歩いて行く。



そして、



救急箱から包帯やガーゼ、消毒液を取り出して準備をしていると急に結月が身体を起こして、



「手当てなんて後でいいから、こっち来いよ――」



そんな台詞を口にした結月に手首を掴まれて、



「――え?」



私は強引に結月の方へ引き寄せられ、バランスを崩してベッドに倒れ込んでしまい――そんな私の上に結月は跨がってきたのだ。



「ゆ、ずき……何、して……?」


「は? 分かんねぇの? 襲ってんの」


「なっ……」


「今日は親父たち帰ってこねぇんだしさぁ、良いだろ?」


「何言ってるの? そういう冗談……笑えない」


「冗談なんかじゃねぇよ。俺は本気だぜ?」



ニヤリと口角を上げた結月はそう口にしながら私の顔に自身の顔を近づけてくると――



「……っ、や――っんん!」



私の唇を自身の唇で塞いできて、強引に口づけてきた。



異性と交際経験の無かった私は、これが初めてのキスだった。



「――っん、……っや、……はっ、……んんっ」



角度を変えながら、何度も何度も口を塞いでくる結月。



上手く息継ぎが出来なくて苦しさに顔を歪ませると、



「――何だよ、もしかしてキス、初めて?」



それに気付いた結月が一旦唇を離してそう私に問いかけて来た。



「っ、はぁ、はぁ……っ」


「なぁ、どうなんだよ? お前、彼氏いたことねぇの?」


「……っ、だったら、何よ……」



息を整えながら睨みつけるように結月に視線を向け、少し強めの口調で問い掛けると、



「へぇ~? それじゃあ、当然ここは男を知らねぇってことだ?」



どこか下卑た笑みを浮かべた結月が私の下腹部辺りに指を這わせてきた。

私を貴方の色に染めて

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