ん、ねむい
なう(2025/09/19 23:30:17)
放課後の廊下。 いるまの周りには、また女子の輪ができていた。
「先生〜!」「これ教えてください!」と声が飛び交う。
紫「 はい ゞ 。順番 ずつね 。」
あいつは困ったように笑いながらも、一人一人に丁寧に答えている。
赫( …… んだよ あれ )
胸の奥がズキズキした。 べつに、いるまが誰と話そうと関係ないはずなのに。
赫( … 俺 には 関係 ない 。彼奴 と 俺 は 教育実習生 と 生徒 。)
ゞ( 家庭教師 な だけ 。あいつ は … )
机に広げた問題集を見つめてるけど、頭に全然入ってこない。
赫「 … 」
紫「 そこ 、こっち の 公式 だよ 」
いるまは相変わらず落ち着いた声で解説してるのに、俺はずっとさっきの光景を思い出していた。 女子に囲まれて、にこにこして……あんなの、見たくなかった。
紫「 なつ 、手 止まってる 」
赫「 … うん 」
むすっと答えても、いるまはペンを取り上げて問題を指さしてくる。 その真面目な顔に、余計イライラが募ってしまった。
赫「 女子 に 囲まれて 、楽しそう だった じゃん 。そっち 行けば ? 」
紫「 は ? 」
赫「 ‘’先生 ~ !‘’ って モテモテ でさ 。あんた そーゆう の 好き なんでしょ ? 」
皮肉っぽく笑ったつもりなのに、声は妙に震えていた。 いるまの目が一瞬鋭くなり、空気がピンと張りつめる。
紫「 何 言ってんの … お前 」
赫「 俺 なんか より 、ああいう 子 たち に 教えとけば いいじゃん 。」
紫「 …… 」
思わずそんな言葉が出た。
言ってしまった瞬間、しまったと思った。
けど、もう遅い。
紫「 ………… 」
赫「 …… は ? 」
いるまの目が冷たく光った。
普段はどこか余裕があるのに、今は氷みたいな視線。
紫「 …… そう 。じゃあ 今日 は ここまで 」
低い声。 それだけ言って立ち上がり、教科書と資料をまとめる。
赫「 ぇ 、ちょ 、待っ__ 」
パタン_
言い訳を探す前に、玄関の扉が閉まる音が響いた。 残された部屋には、重たい沈黙と、自分の心臓の音だけが残る。
赫「 俺 … 何 してんだろ … 」
胸がズキズキして、悔しくて、情けなくて。
そして何より、いるまに嫌われたかもしれないと思うと、息が苦しくなった。
次の日。
ガララ_
赫「 …… 」すた ゞ
教室のドアを開けると、心臓が妙にざわついた。 昨日のことを思い出す。
嫉妬まじりに口走ったあの言葉。冷たい視線。
あれから眠れなかった。
ちらりと窓の外に目をやると、廊下を歩く背の高い姿が見えた。いるまだ。
紫「 、… 」すた ゞ
いつもなら平然と視線を合わせてきたり、からかってきたりするのに、 今日はただ通り過ぎただけ。 一瞬、目が合った気がした。けど、すぐに逸らされた。
赫( … っ )
胸の奥がずしりと重くなる。
嫌われたかもしれない、って考えが頭をぐるぐる回った。
どうしよう。授業内容が入ってこなかった。
そう思いながら廊下をとぼとぼと歩いていると、いるまが廊下でまた女子に囲まれていた。女子に優しく対応していて、きらきらしてて…
赫( … もう ずっと こ ー なん かな … ? )
胸の奥がじりじり焼けるように熱くなる。
嫌いのはずなのに、なぜか心臓が早鐘を打つ。
無意識に目で追ってしまう自分が、情けなくて、悔しくて。
家に帰っても、心は落ち着かない。
机の前に座っても、ノートに向かう手が止まる。 昨日の言い合い、廊下で見た囲まれているいるま…。胸の奥がモヤモヤして、文字が頭に入らない。
赫( 今日 … 来ん の かな )
時計を見ると、家庭教師の時間までもうすぐ。
チャイムが鳴る瞬間に、ドアを開けて来てくれるのか、それとも…。
心臓が早鐘のように打つ。
手は自然に答案用紙を握りしめていた。
__ピンポーン
赫「 っ ! 」
思わず息をのむ。手が震えて、ドアノブを握る。 ゆっくりとドアを開けると、そこに立っていたのは、…
視線を逸らし、少し気まずそうに立ついるまだった。
紫「 ………… 」
赫「 ぇ … なん … で 」
視線が合わない。俺も逸らす。
でも、その距離感と気まずさが、妙にドキドキさせる。 今日は、ここからまた勉強しながら、心臓バクバクの時間が始まるのだ――。
おわり。つかれたね。
コメント
2件
見てるこっちもキュンキュンする🙈💕