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豪華料理をたらふく食べ、ある程度酔いを醒ますと、日下さんと大浴場へ。
「それじゃあ、また後で」
男湯と女湯の扉の前で二手に別れようとした時、
「貸し切り露天風呂に入りたかったのになー。今からでも予約取れるかなー」
日下さんが立ち止まり、不服そうに唇を尖らせた。
『一緒に入ろうね、美紗ちゃん』
日下さんが真琴ちゃんの旅行会社でふざけて言った言葉を思い出してしまい、それも今の発言も冗談だと分かっているのに耳が熱くなった。
「そんなに露天風呂が良いなら、仲居さんに聞いてみたらどうですか? 私は大浴場に行きますけど」
いちいち照れてしまっていることに気付かれたくなくて、女湯に逃げ込もうと扉の取っ手に手を掛ける。
「冷たいなー。美紗ちゃん」
日下さんが私の浴衣の袖を引っ張った。
「日下さんがエロいんですよ‼」
そんな日下さんを振り切り、勢いよく女湯の扉を開き、中に入ると速攻で閉扉した。
男の人と来た温泉での軽いエロトークが、必要以上にエロく聞こえてしまう私は、相当なドスケベなんだと思う。
2度目の大浴場は、先着が数人いたこともあり、1度目の入浴で長風呂をしたしで、サラっとお風呂に入って早々に出た。
大浴場から部屋に戻るまでに、また勇太くんに会ってしまわないだろうか? と、周りを見ながら廊下を歩く。
今回は勇太くんに出くわすことなく部屋に到着。
襖を開けると、テーブルや座椅子などは片されており、その変わりに布団が2組並んで敷かれていた。
布団の上には、先に戻っていた日下さんが寝転がっていて、
「おかえり、美紗ちゃん。やばいよー。ふかふかだよー。旅館の布団、まじ天国」
と、何度も寝返りをしてみては、心地良い感触にはじゃいでいた。
私は今日、日下さんとここで寝る。
いい歳をした大人にとって布団とは、睡眠を取る為だけのものではない。
「……」
何故か並んだ布団を見た瞬間に、ずっとモヤモヤしていてどうしたら良いかも分からなかった自分の気持ちに、はっきりとした答えが出た。
部屋の中に入り、鞄から今朝日下さんに受け取ってもらえなかった旅費が入った封筒を取り出すと、布団に頬ずりし続ける日下さんの枕元に置いた。
「だから、いいって言ったじゃん」
日下さんはやはり受取ろうとしてくれず、畳の上を滑らせながら封筒を私の方へ押し戻した。
だからと言って、もう私は封筒を鞄の中には片さない。
「……日下さん。今から私、日下さんがドン引きしそうな話を割と長めに語りたいので、聞いて欲しいのですが……」
日下さんの傍に座り、寝そべる日下さんに話し掛ける。
「全然聞くけどさ。ドン引くの? しかも【喋りたい】んじゃなくて、【語りたい】んだ?」
日下さんが身体を起こし、笑いながら「では、存分にどうぞ」と聞く体勢を整えてくれた。
鼻から小さく息を吸い、ドン引かれるだろう嘘偽りのない汚い気持ちを吐露しようと口を開いた。
「日下さんはそんなつもりはなかったかもしれませんが、私は今日、日下さんが私とそうなりたいと思ってくれているならば、そうなってもいいと思ってここに来ました。そんな下心を見透かされたくなくて、今日の私の下着は【張り切り感の少ない、でもそこそこお高い下着】です。日下さんは優しいから、私が『抱いて下さい』と迫ったら受け入れてくれるだろうとも思いました。日下さんは優しい。一緒にいて楽しい。日下さんと関係を持ち、長い時間を共に過ごせば、私は日下さんを、日下さんも私を好きになるんじゃないか? と思いました。ムッツリスケベなんですよ、私」
「だから、そういうことは正直に話さなくていいんだって」
日下さんが呆れながら笑った。
「実は、日下さんがお昼寝をしている時、大浴場から部屋に戻る途中で佐藤さんに会いました。この部屋の隣の部屋に宿泊しているそうです。佐藤さんが隣の部屋にいるのに、日下さんとそんなこと出来ないと思いました」
「それは、真琴のお兄さんが隣の部屋にいなかったら、俺とそういうことをしてたってこと?」
日下さんが笑うのを辞めた。
私の話をドン引きを通り越して、不快に感じたのかもしれない。
「そうかもしれません。それで、日下さんも私も後悔をしていたと思います」
それでも話を続ける。正直に自分の嫌な部分を晒してお金を受け取って欲しい。
日下さんが、卑怯なことをしようとしていた自分に優しさをくれるから、心苦しいんだ。
「それは、どういう意味?」
日下さんの眉間に皺が入った。
「……佐藤さんを、好きじゃなくなれる気配がないんです。日下さんと関係を持っても、この気持ちが消える気がしないんです。快楽は味わえると思うんです。そういうつもりで旅館に来ているので。ただ、そうなった後、自分の気持ちが日下さんに向かって行かなかった場合、あんなことをしてしまったから戻ることは出来ないと分かっているし、自分自身、戻りたいのかどうかも分かっていないんですけど……だから、こんなことを言う必要も言う機会もないかもしれないんですけど、佐藤さんに『私は日下さんとは何もなかった』と言えなくなってしまうのが嫌だと思いました。日下さんだって、傷心の私を慰めようとしてくれただけのご厚意なわけなのに、勝手に後悔されたら良い気しないでしょう?」
「ご厚意て」
苦笑いをしている風の日下さんの目は、笑っていなかった。
「違うよ。【ご厚意】じゃない。俺は美紗ちゃんに【好意】を持っているから、温泉に誘ったんだよ。好意を持っていなかったら慰めようと思ったりしない」
日下さんが少し前傾姿勢になり、私との距離を詰めた。
「だとしたら、尚更してはダメです」
だけど私は詰められた分の距離を後ずさることはしなかった。
「どうせしようがしまいが、どんな言い訳並べようが、真琴のお兄さんは【ヤッた】と思うだろうね。だったら別にいいじゃん。それに、分かんないじゃん。美紗ちゃんの気持ち、俺に傾くかもしれないじゃん。ねぇ、見せてよ。【張り切り感の少ないそこそこお高い下着】」
日下さんが私の肩に右手を乗せ、圧を掛けた。
だけど、何も怖くなかった。
「佐藤さんが信じてくれなくても良いんです。私が自信を持って『何もない』と言い切れればそれで良いんです。日下さんはこれ以上私に手を出さない。日下さん、良い人だもん。良心が許さないはずだ。『砦になる』と言ってくれた人が、そんなことをするわけがない。日下さんは本当に良い人です。そんな人がエッチで心傾く様な女に引っかからないでください」
私には、【この人は私を押し倒したりしない】という確信があったから。
「ずるいね、美紗ちゃん。俺を善人に仕立て上げて手を出させない様にして」
日下さんが、しょっぱい笑顔を見せながら、私の肩から手を退けた。
「私が男の人の力に敵うわけがない。しかも私は逃げてもいない。やろうと思えば出来るのに、実行しないのは日下さんの意思でしょ? 私は日下さんを善人に仕立て上げたつもりはないです。そもそも日下さんは善人なんです」
私の言葉に日下さんが、「美紗ちゃんは本当にずるい」と言いながら頭を掻いた。
「……俺も真琴のお兄さんに会ったんだ。さっき。お風呂で。だから、隣の部屋に真琴のお兄さんがいること、俺も知ってた。真琴のお兄さんに『楽しんで旅行されているのだとは思いますが、万が一、美紗が嫌がることがあった場合、ご容赦いただきたい』って頭を下げられたよ」
日下さんが、佐藤さんがいるだろう隣の部屋の方に視線を向けた。
勝手な行動ばかりしていた私を、勇太くんが気に掛けてくれていたことに胸がきゅうっとして、そんな勇太くんの言葉を汲んでくれた日下さんの優しさに目頭が熱くなる。
「美紗ちゃんは、真琴のお兄さんからはもう逃げないって決めたの? 立ち向かって行くの?」
夕食の前に聞いてきた質問を再度口にする日下さん。
「正直、私が『また元に戻りたい』って言えば、佐藤さんは赦してくれる気がするんです。でも、戻ったところで結婚は出来ない。どうしても真琴ちゃんのことは引っかかるから。だけど、佐藤さんへの気持ちは全然変わらなくて。だから、佐藤さんとはよりを戻すことは出来ないけれど、ただただ一方的に気が済むまで佐藤さんを好きでいようかな……と。あ、ストーカーみたいなことはしませんよ‼ 楽しかった時のことを思い出して1人でニヤニヤするくらいですよ」
これが私の出した答えだ。
勇太くんを必要以上に避けたりせず、日下さんに縋ったりもしない。
もう誰にも迷惑を掛けない。
ただ、勇太くんを好きでいよう。
決意を固めた私を、
「……ねぇ。何、少女漫画に出てきそうな胡散臭い純情少女みたいなことを言ってるの、美紗ちゃん。無理に決まってるじゃん。真琴のお兄さんを好きなまま不本意に別れた美紗ちゃんが、真琴のお兄さんに新しい彼女が出来た時に、『佐藤さんの幸せを応援しなきゃ。潔く諦めなきゃ』とか言って涙光らせながら引けると思う? 現実は漫画じゃないんだよ。漫画みたいに綺麗に片付かないの‼ 泣き顔だってあんなに綺麗なわけないの‼ 涙は頬を一直線に伝わないの‼ 実際は何故か鼻の方に流れてきて、鼻の穴から滴り落ちたりするの‼ 鼻水だってしっかり出るの‼」
日下さんが渋っい顔をしながら盛大に馬鹿にした。
「じゃあ、どうすればいいんですか? 佐藤さんを好きな気持ちは消えないし、消せない。この気持ちを処理出来なければ、他の人を好きになることだって無理ですもん。……もう死ぬしか……」
「待って待って待って‼」
日下さんが、お手上げ状態で途方に暮れ出す私の肩を掴み、『暮れるにはまだ早い』とばかりに前後に揺らした。
「ねぇ、美紗ちゃん。初めて会った時は真琴の彼氏だった俺を警戒してたけど、今は俺のこと、信用してくれてる?」
「信用していない人と旅館に来たりしませんよ。信用してます。日下さんのこと」
私の顔を覗き込みながら問いかける日下さんに、頷きながら答える。
「そっか。良かった。前に美紗ちゃんさ、俺に『真琴ちゃんのどこを好きになったのか?』って聞いたよね。真琴にもあるんだよ、良い所。だから俺は真琴を好きになったんだよ。美紗ちゃんは真琴から嫌な思いをたくさんさせられたから、真琴の良い部分が見えないのは当然だと思う。でも、探せば絶対にあるから。ちゃんとあるから。美紗ちゃんには見えていなかった、真琴の良い所が。……って言われても、探す気になんかなれないとは思う。真琴を赦す気になんか、なかなかならないと思う。でも、俺を信用してくれているなら、俺の言葉を信じてみてよ。そうしたら、美紗ちゃんが『絶対に無理だ』と諦めていたことが、そうじゃなくなるかもしれない。真琴を赦すことが出来なくても、今とは違う方法が、美紗ちゃんが納得出来るより良い道が見つかるかもしれないよ」
日下さんはそう言うが、
「真琴ちゃんの良い所を知っていながら何で別れたんですか?」
日下さんの言っていることが、イマイチすんなり入っていかない。
「俺、結構いいこと言ったのに、そこツッコむ? 単純に、悪い部分を見ちゃったからだよ。悪い点を良い点で相殺出来ないくらいに、悪い点が目についたからだよ。だから、恋愛感情がなくなった。美紗ちゃんもきっと、真琴の良い所を発見したからって、赦すには至らないと思う。でも、美紗ちゃんと真琴の間には恋愛感情はいらないし、友情だって育む必要ない。家族愛は……まぁ、あるに越したことはないけどさ、同居するわけじゃないなら、ちょっと距離を置くくらいの方が上手く行くことだってあると思うよ。要は、美紗ちゃんが幸せになる為の妥協点を探し出せればいいんだよ」
「……真琴ちゃんの良い所……妥協点……本当に見つかるかな?」
真琴ちゃんへの嫌悪を撥ね退け、妥協点を見つけ出すなんて、私に出来るのだろうか? 自信なく俯いていると、
「1人で頑張る必要ないでしょ? 真琴のお兄さんと一緒に探せばいいよ」
日下さんが私の頭をポンポンと撫でた。
「『真琴のお兄さんと一緒に探せばいいよ』って日下さん、さっきの『私に好意があった』って嘘でしょ?」
頭の上にある日下さんの手を退け、顔を振り上げ鼻を膨らませてみせた。
激しく求められても困るが、自分からアッサリ手を引かれると、それはそれで女として何か淋しい。
「嘘じゃないよ。何、俺が美紗ちゃんをヤリ目で温泉に誘ったと思ってるの? ヤリ目だったら自分家か安っいラブホ行くっつーの!! ムカついた。心からのお詫びを要求するわ。俺は美紗ちゃんと違って、自分のものにならない人に好意を持ち続けるなんてことは出来ないし、したくないの‼ 時間の無駄じゃん。だから、少しでも早く気分を切り替えられるように、美紗ちゃんにはさっさと納まる所に納まってほしいの‼」
日下さんが、膨らんだ私の鼻の穴に人差し指と中指を差し込み、鼻フックをした。
「やめてやめて‼ 鼻水付いちゃう‼ 下手したら鼻くそも付くから‼ 日下さんを嘘吐き呼ばわりしたこと、陳謝致しますから‼」
自分の鼻の穴に刺さった日下さんの指を即座に抜き取り、近くにあったティッシュボックスからティッシュを引き抜くと、執拗かつ入念に日下さんの指を擦り拭いた。というか、手洗いしてきて欲しい。
「だから、そういうこと言わなくていいっつーの‼ 美紗ちゃん、女の子でしょうが‼ 思ったことを全部口にしちゃダメ‼ 鼻くそとか言っちゃダメ‼ つか、そんなに拭かなくていいから。指の皮剥けるから。……正直言うとね、美紗ちゃんが真琴のお兄さんのところに行くの、今も超心配なんだよ。真琴のことだけじゃなくて、真琴の両親とも上手くやっていけるかな? って。後々介護が必要になった時、真琴の両親に痴呆や更年期が始まった時とか、辛く当たられることだってあると思う。ただでさえしんどいのに、【自分を虐めた人間の親】っていうのが頭にあると、余計に厳しいんじゃないかなって。でも、美紗ちゃんが真琴に関して何らかの妥協点を見つけることが出来たなら、それも何とかなることなのかもしれないな。とも思う。まぁ、俺は美紗ちゃんに振られた部外者だから、何ともならなかったとしても関係ないんだけどね」
眉間に皺を寄せながら笑った日下さんが、私の手からティッシュを奪い手のひらで丸めると、ゴミ箱に投げ入れた。
「別に振ってなんかないですよ。かといって、日下さんとお付き合いするわけでもないので、【部外者】って言われてしまえばそうなんですけど……なんか、突き放されたみたいで寂しいんですけど……。でも、心配してもらえたのは嬉しかったです。……何とかなる……かぁ。もう、何とかするしかないんですよね」
『何とかする』と強気なことを言っておいて、自信などないわけで。
「うーん」と唸りながら両手で頭を抱える。
「どっちがだよ。今の会話を聞いたらほとんどの人間が、美紗ちゃんの方が俺を突き放してる様に聞こえるっつーの。まぁ、どうにもならなかったら連絡頂戴よ。一応【砦】なので、俺に新しく好きな人が出来てなかった場合、美紗ちゃんが逃げて来られる様に門開けておくから」
俯く私にチョップを入れて笑う日下さんは、優しすぎてお人好しだ。
こんな私を見捨てずにいようとしてくれる。
「日下さんは本当に素敵な人なので、すぐに良い人が出来ると思います。だから、新しい彼女が出来た時の為に、1つアドバイスしても良いですか?」
日下さんは私のことを心配しているが、お人好しすぎて損をしてしまいそうな日下さんのことが、私も心配だ。
「お? 窮地に立たされている美紗ちゃんの、上からの忠告?」
「ほうほう聞きましょう」と言いながら、私を軽くバカにする日下さん。冗談と分かっていても若干ムカつく。
「私、日下さんに『砦になるよ』って言われて嬉しかったです。きゅんきゅんしました。でも、多くの女性はきっと【逃げ込める砦】よりも【いつも守ってくれる盾】を欲している気がします。『盾になるよ』って言った方が、女を落せる確率上がる気がします」
たまに意地悪を言ったりするけれど、日下さんはやっぱり良い人。日下さんには、今後現れるだろう愛する誰かと幸せになってほしい。
「なるほど。砦をか言って待ってちゃダメなわけね。勉強になったわ」
「ふむふむ」と顎に指を乗せ妙に納得する日下さん。
……しかし、自分で言っておいて何だが、『盾になるよ』などという台詞を言うシチュエーションって、なかなかないような……。まぁ、いいや。黙っておこう。
「ところで美紗ちゃん。俺、浴衣の女の子が隣で寝てると思うと、ムンムンムラムラしそうなのね。健康優良男子だし。だから、強めの酒を飲んで泥酔した勢いで寝てしまおうと思ってるのね。と、いうことで勝手にひとり酒してても良い?」
私に伺いを建てている様で、飲む気満々の日下さんが、電話の横に立てかけられていたメニュー表に手を新ばした。
「実を言うと、私も隣に日下さんがいると思うと眠れる気がしないんですよ。私も飲みたいなと思ってました」
寝られそうもないのは、私だって一緒だ。
「美紗ちゃんまで酔っ払ってどうするの⁉ 2人共酔っておかしなことになったらどうすんのさ。俺、酔った勢いでヤった男女が『あの時は酒が入ってたからー』とか『酔ってて何も覚えていない』とか言うの、嫌いなんだよね。盛った男女の都合の良い言い訳にしか聞こえない。万が一、俺が変なことをしそうになった時、美紗ちゃんはシラフでいなきゃ逃げられないでしょ‼ 美紗ちゃんはもう飲んじゃダメ‼」
日下さんが、私にメニュー表を見せまいと、私に背を向けた。
「自分ばっかりずるくないですか? 私だって眠れないって言ってるのに。じゃあ、日下さんも飲まないでくださいよ。飲まずに眠くなるまでゲームしません? ここ、結構色々なゲーム置いてありますよ。トランプもUNOも花札も人生ゲームまである‼」
日下さんがメニュー表を見せてくれないから、仕方なくテレビ台の下にしまわれていたゲームを引っ張りだした。
「人生ゲーム……。あの、車に自分と配偶者と子どもを4人まで乗せることの出来る、あのゲームをするの? 美紗ちゃん」
日下さんが冷ややかに笑った。
「何その、今の私の心臓を抉るゲーム。辛いんですけど」
「美紗ちゃんが言い出したんじゃん。じゃあ、トランプしよう。スピードしようよ。俺、まじで強いから。負けた記憶がないくらいに強いから。手の動き、早すぎて見えないから」
日下さんがトランプをチョイスし、鮮やかに切り出した。
「私もめちゃめちゃ得意ですよ」
かなりお久しぶりのトランプに、変にテンションが上がり、気合いが入った。
「お手並み拝見しますか」
日下さんが腕まくりをしながらトランプを配りだしたから、私も顔にかかる横髪を耳に掛け、本気モードに。
どちらかが負ける度に「もう1回‼」などと再戦を繰り返し、腕が筋肉痛になるほどトランプとUNOと花札で遊びまくって、この日は疲労のあまり2人ともいつの間にか眠っていた。
コメント
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うわああああ第15話読んだよ〜〜!!😭💕💕 美紗ちゃんの「語りたい」からの胸の内全部曝け出すシーン、マジで泣けた…。日下さんが善人すぎて泣けるし、勇太くんがこっそり気にかけてくれてたのもズルすぎ!!「砦」じゃなくて「盾」ってアドバイス、めちゃくちゃいいなと思った笑 最後にトランプやUNOで遊んでそのまま寝落ちするの、すごくほっこりした…この2人、良い関係だなあ。続き気になる〜!!🌸