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嫉妬と精神 

「私の気持ちも知らない癖に!余計なお世話よ!」

「僕はラデス。ビターさん、僕の彼女…ランコを助けて下さい!!お願いです!」

…というのが今日の依頼。こんばんビター探偵回。(創作)僕の名前はビター・アルカラム。元殺し屋で、今は探偵とカフェ経営をしている。そんな僕に堅気の人間であろう高校生の少年から依頼が来た。「最近、ニュースになりましたよね、、。17歳の少女がこの辺で行方不明になったって。正確にはもう少し田舎な場所ですが…。その子がランコです。ランコを…助けてください!」

「詳細希望…」

正直、居なくなった時点で生きてる可能性は低いと思う。けど…

「僕はランコが生きているって信じてるんです!ランコが居なくなってから5日経ってます。けど…きっとどこかで…生きてる!だから、助けてあげてください!」

依頼人が信じてる以上、生きてることを願って探すしかない。

「ここが、ランコの地元?ほんとに付近だね」

「そうなんです。」

「…ラデス?その人…その格好、探偵さん?」

「!フランソワ!お、お帰り。どうしたんだい?」

「どうしたんだいじゃないわよ!全然高校にも来ないで何をしてるのよ!そんなのランコは望んで無いはずだわ!」

「ランコの知り合い?」

「あ、ああビターさん。こいつはフランソワ。俺とランコの幼馴染みです。」

「どうも。私はフランソワです。ラデスとは産まれた時からの仲です。ずっと家族ぐるみで付き合って来てて。ランコは幼稚園の時引っ越してきたお嬢さんなんですよ。」

「そんな余談はいいんだよ、フランソワ。俺はランコを絶対に見つけ出すんだ。」

「…そうだね」

「フランソワ、どうしたの?元気ない。」

「え、ええ。なんでもないです。捜査、御協力します」

「…まず、話を聞きたいんだ。」

「ええ、構いませんよ。」

「…フランソワはランコとラデスが付き合ってることは知ってたの?」

「っ…は?」

「…フランソワ?どうしたの?」

「…いえ。全く知らなかったんだけどぉ?」

「ひっ、こ、こええ!!良いだろ!なんでもお前に話さなきゃ行けないわけじゃないんだからよ!」

「それはそうだけど、あんたの話を聞いて世話をしてきたのは私でしょ?それに2人の幼馴染みじゃないの!話してくれてもいいでしょお?!」

「落ち着いて。行方不明になる前日、当日に何か揉め事とかあった?」

「…実は、あるんです。私とランコ事件前日に喧嘩しちゃって。しょうもない事だったんです。進路の事で。17歳の高3。勿論受験のこともあるじゃないですか。だから、私とラデスは同じ高校に受験するんですけど、ランコは…その、少し頭が、ね。私はランコのこと心配してんのにランコは余計なお世話だって言ってきて…」

「よくある話…」

「おい、待てよ!俺フランソワと同じ高校だなんて言ってないだろ!」

「え?」

「俺はランコに合わせるに決まってんだろ!」

「でも、親父さんが○大学に入れるって言ってたから、」

「そんなの知らねぇよ!俺はランコが行きたがってた×○大学に行きたいんだ!」

「勿体ないわよ、この辺で1番の大学に主席で入れるほどの貴方が底辺の×○大学だなんて!」

「意味わかんねぇよ!」

「…もういい。胸糞だ。」

「「え?」」

「犯人は君だったんだね。いや、君達なんだね。」

「え、?どういう事ですか?」

「いや、俺は…」

「ねえ、ラデス。君、フランソワが来てから一人称変わってるんだよね。」

「え、?”俺”は…そんな」

「…本当にわかったようね。」

「ねえ僕の憶測に過ぎないけど、フランソワ。君はランコに嫉妬してたんじゃないの?」

「…!」

「フランソワ、ランコの事よく馬鹿にしてるよね。ランコの志望してる大学を底辺の大学って呼んだり、頭の事否定したり。」

「あはは、バレました?私は…あいつが!なんの才能もないあいつがウザくてたまらなかった!頭悪い癖にお嬢様で、私の好きなラデスだってなんの努力もせず手に入れて。顔がちょっと良いだけで。頭悪くて運動できなくても全部チャラ。か弱い女の子になれるんですよ?そしてお金持ち。だからこそ…才能無いくせに私より上に立つ彼女が…ランコが嫌なんですよ!ずっとずっと思ってた!」

「で、喧嘩の後殺したんだよね?」

「そうですよ!私は…ランコが馬鹿だから、ラデスと違う大学になるってことを知って嬉しかった!やっと、彼女の頭悪さが出るんだって!私の努力の結果が出るんだって!なのに…余計なお世話だって、勉強しようとせず、逆ギレしてさぁ!ウザくてうざくて…ベランダから下に投げちゃった。そしたら、血塗れでさ。ランコのご両親には良くしてもらったからバレないように片付けてたら…ラデスが来ちゃったの。彼、多重人格だから。今も貴方に依頼した時にも出てない彼が楽しそうに生のランコ食べてたのw」

「…超胸糞。」

「だって、あいつが悪い。才能も無いくせに、私は努力してんのにあいつの前では全部水の泡!ふざけんじゃねぇよ!」

「…僕、ランコの日記回収済み。」

「え、?何それw」

「日記には…

【5月4日

今日は大好きな友達のフランソワと彼氏のラデスと一緒に高校に行けた!とっても楽しかったな!だけど、大学の進路について先生から難しいって言われちゃった。フランソワは沢山努力してていい大学に行けるから羨ましいや。私は何も出来ないからな。

5月5日

告白されたけど、振ってしまった。振らなきゃいけないのだけど罪悪感には慣れないなぁ。フランソワは可愛くて勉強ができる。フランソワこそモテるんだろうな。】

ここで終わってる。」

「…意味、わかんないwはーあ」

そこまで言って、フランソワは涙を一筋こぼした。

「こんなふうに思ってることも知らずに能天気な女。超…笑え…る、、」

そう言って、泣き崩れた。ただひたすら泣いてるフランソワをよそに僕は警察に匿名で通報した。

後日談。ニュースにフランソワとラデスが大々的に報じられた。フランソワは嫉妬に狂った女として。ラデスは期待をかけられ続けて精神を病んだ多重人格者として。僕も知らない情報が次々流れてきて驚いた。ラデスの家庭では過度な期待があり、ラデスが精神を病んだこと。フランソワは片親で貧乏な中、お金持ちのお嬢様が引っ越してきて才能もないのに自分より目立っている事に嫉妬しただけでなく、ラデスのことでも進路の事でも様々な理由で何度も喧嘩していたこと。僕には分からないけど、ランコはこの2人を許している。そんな気がするほど、空は青く光り輝いていた。

END

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