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lpml
「海行かへん?」
ある日の昼。
lpが何気なく言った一言が始まりだった。
ソファで本を読んでいたmlは顔も上げずに答える。
「別にいいけど」
「ほんま?」
「暇だし」
予想外にあっさり了承されて、lpは少し驚いた。
普段のmlなら「面倒」と断りそうだったからだ。
「じゃあ今週末な!」
「はいはい」
その時のlpはまだ知らなかった。
自分が数日後、とんでもなく機嫌を悪くすることになるとは。
───
海当日。
天気は快晴。
絶好の海日和だった。
待ち合わせ場所に向かうlpの足取りは妙に軽い。
理由は単純。
海だからだ。
海といえば水着。
水着といえば。
「……」
別に変なことを考えているわけではない。
ただ。
普段と違う格好を見る機会なんてそうそうない。
少しくらい期待してもいいだろう。
そう思っていた。
そして待ち合わせ場所。
先に来ていた人物を見た瞬間。
lpは固まった。
「おはよう」
mlが手を上げる。
白いカッターシャツ。
黒い短パン。
以上。
「……」
「何」
「それ」
「服」
「見れば分かる」
「いやそうじゃなくて」
lpは混乱した。
海だ。
今日は海だ。
ぴぴ#fukz信者(?)
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なのに。
なぜ。
なぜ普通のカッターシャツなんだ。
「水着は?」
「持ってきてない」
「なんで!?」
「面倒だから」
あまりにも当然のように言われた。
「いやいやいやいや」
「何」
「海やで?」
「知ってる」
「泳ぐんやで?」
「たぶん」
「じゃあ水着着るやろ普通」
「別に服でいい」
「よくないやろ!」
本日一番大きな声だった。
しかしmlは全く気にしていない。
むしろ不思議そうな顔をしている。
「そんな重要?」
「重要やろ!」
「そう?」
「そうや!」
「ふーん」
興味なさそうだった。
その瞬間。
lpのテンションは半分くらい消えた。
───
海に到着。
周囲には楽しそうな人たち。
泳ぐ人。
写真を撮る人。
砂浜で遊ぶ人。
夏らしい景色だった。
しかし。
lpは不機嫌だった。
「lp」
「……」
「貝殻落ちてる」
「……そう」
「見て」
「……そう」
「機嫌悪い?」
「別に」
機嫌が悪い人の返答だった。
mlは少し考える。
そして。
「ああ」
何かに気づいた顔をした。
「水着?」
「違う」
「水着だ」
「違う」
「絶対水着」
「違うって!」
説得力がなかった。
その後も。
lpはずっと不貞腐れていた。
海に入っても。
「冷た」
「そうやな」
「泳がないの」
「泳ぐ」
「元気ない」
「そんなことない」
めちゃくちゃ元気がなかった。
砂浜を歩いても。
かき氷を食べても。
写真を撮っても。
ずっと微妙に機嫌が悪い。
「子供」
mlが呟く。
「子供ちゃう」
「子供」
「ちゃう」
「水着見れなくて拗ねてる」
「違う」
「図星」
「違う!」
周囲の人が振り返るレベルの大声だった。
───
昼過ぎ。
二人は海の家で休憩していた。
lpはジュースを飲みながら窓の外を見る。
まだ少し不機嫌そうだ。
mlはそんな様子を見ながらため息をついた。
「そんなに見たかったの」
「……」
「図星」
「だって海やん」
ぽつりとlpが言う。
「せっかくやのに」
「別に服でも海は海」
「そういう問題ちゃう」
「じゃあどういう問題」
「特別感」
即答だった。
mlは少しだけ目を丸くする。
「特別感?」
「普段見れん格好やし」
「なるほど」
「それに俺だけちゃんと準備したのに」
「それが本音?」
「ちょっとある」
かなりある顔だった。
数秒の沈黙。
そして。
mlは小さく笑った。
「何」
「いや」
「何やねん」
「そんなことで朝から不機嫌だったんだなって」
「そんなことじゃない」
「そんなこと」
「そんなことじゃない」
「そう」
完全に面白がられていた。
───
夕方。
帰る時間。
海は夕日に染まっていた。
結局。
mlは最後までカッターシャツのままだった。
lpの期待が叶うことはなかった。
「楽しかった?」
帰り道でmlが聞く。
「……楽しかった」
「不機嫌だったわりに」
「海は楽しかった」
「そう」
「でも次はちゃんと水着着て」
「考えとく」
「絶対考えてないやん」
「ばれた」
少しだけ笑う。
その顔を見て。
lpもようやく笑った。
結局。
期待外れではあった。
思っていたのとは違った。
でも。
一日中くだらないことで言い合って。
海を歩いて。
夕日を見ながら帰るのは。
それはそれで悪くなかった。
ただし。
「来年は絶対水着な」
「嫌」
「即答やめろ」
「面倒」
「頼むから考えて」
「考えるだけなら」
「よし」
「着るとは言ってない」
「最悪や」
そんなやり取りをしながら。
二人は夕暮れの道を帰っていった。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 8話、読み終えたよ〜。 lpの「水着見たかった…」って拗ね方が切実で可愛すぎて、ずっとニヤけてた(笑)mlの「面倒だから」って涼しい顔で普通の服なのもらしいし、最後までカッターシャツだったのはある意味期待を裏切らなかったね…!でも海そのものは楽しめてるのが二人らしくて、夕陽の中帰るシーンはじんわりきた。来年こそ水着…!