テラーノベル
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ラマスは急に慌てた感じで大きな声で言う。
「あの娘達と一緒に…… だ、駄目だよ、そんなの絶対駄目駄目ぇ! そうだっ! ちょっと離れた場所にでも彼等用の宿舎になる小屋でも建てればいいじゃない! 男女それぞれ二つ作ってそこで寝起きさせましょうよ! それが良いわ、ってかそれしかないっ! ね、叔父様?」
「なるほど、簡単な物なら明日にでも出来るだろうし、彼等が来なかった時は備蓄庫として使っても良いもんなぁ…… それに彼等が来るとしたらラマスも女子たちと一緒に生活できるから尚良いよな! うん、同じ世代の子達と生活する方が絶対良いもんな、ナイスアイディアじゃないか、ラマス!」
嬉しそうなレイブに対して何故かラマスの頬はパンパンに膨らまされている。
「? どうしたんだよ?」
頬を膨らませたままプイッと横を向いたラマスが答える。
「アタシは今まで通り叔父様と暮らすの、だって親戚みたいな感じなんだし…… それに、隙を見せたらキープできなくなっちゃうかも知れないじゃない……(ボソッ)」
「ん? まあ、ラマスがここで良いって言うんならそれで良いけどさ、取り敢えず明日から小屋を作って待っておこうか?」
「うん♪」
こうして翌日簡素な小屋を作ったレイブとラマス。
いつも通りの作業と訓練に明け暮れる事七日、そろそろ生徒達の弟子入り志願を忘れ始めた頃、午後の戦闘訓練中に訪ねて来た一団の中から凛々しい声が掛けられた。
「レイブ! 訓練中にすまないが話を聞いてくれるかい?」
「ん? あれパリーグ姉さん、じゃなかった副学院長、それに…… 君たちはあの時のぉ……」
「五人かぁ、女も二人いる訳かぁ、チッ、まあ良いか」(ボソ)
極小の声で何か言っているラマスに首を傾げながらも、レイブは巨大な雌獅子である、キャス・パリーグ副学院長に歩み寄って行くのであった。
迎えたパリーグはサファイアの様に輝く薄黄緑の虹彩に真紅の瞳を縦長にしながら微笑みを浮かべる。
七年前、岩山の岩窟からレイブたちスリーマンセルを救助した彼女は、彼等をこの学院に連れ戻ってからも、正しく後見としてその生活の全てに対して護り、そして適時有用なアドバイスで進むべき道を指し示してくれて来ていたのだ。
長じるまで共に過ごしたレイブの師匠であるバストロを、誰憚(はばか)る事無く叔父さんと呼んで、それだけでなく、自分より遥かに歳若かった筈のフランチェスカ女史、セスカの事まで当たり前のように伯母さんと呼称していた所から見ると、彼女にとっては年齢や種族の違いなど然したる問題ではないらしく、自らが師事した先人たる師匠に対して、先に弟子入りした者が姉や兄、若(も)しくは叔父(しゅくふ)叔母(しゅくぼ)伯父(はくふ)伯母(はくぼ)、そう言う事なんだろうとレイブは判断していた。
恐らくだが、『こんなに素晴らしい師匠を私より先に見つけられたとは、それだけでアナタは私より慧眼(けいがん)、見る目を持っていると言う事です! 兄上姉上、パリーグはアナタ方の妹です、どうぞ、御下命下さいませぇっ!』、的に思い込んでいるきらいがあるのだ。
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