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#独占欲
#ワンナイトラブ
#溺愛
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雨上がりの匂いがする
頬をかすめるそよ風が
束ねていない髪を揺らし
私の首元をくすぐる
自宅の
淀んだ空気から解放され
自由気ままに流れる
外の空気が清々しい
自宅という
夫と共有する空間に耐え兼ね
朝から自宅を後にした
人もまばらな土曜日の朝
平日と異なり
心に余裕があるからか
街の風景が良く見える
普段気に掛ける事もない
人の営みが目につく
喧噪も
焦燥もない
平和な週末がここにはある
私一人だけを
色彩無きモノトーンの世界に取り残して
居ても立っても居られず
自宅を飛び出してはみたものの
終ぞ行く当てもない
街を彷徨うように歩を進めるも
行き着く先は結局最寄り駅
まるで体にプログラミングされているかのように
ここに行き着いてしまう
付近をフラフラしていたら
純也に遭遇し兼ねない
何もせずフラフラしているのを見られたら
またグチグチと何か言われるだろう
駅の改札をくぐるも
行く当てもなく
知らない路線に乗る勇気もない
結局は
いつもと同じ経路を辿ってしまう
まるで体にプログラミングされているかのように
会社へ向かう路線のプラットホームで
会社へ向かう電車を待つ
そして
結局
会社へ向かう電車に乗り
会社へと運ばれいく
でも……
会社に行けばリュカがいる
会社に行くわけにはいかない
せっかくのリュカの誘いにも
返信すらしていないのだから
行ったとて
合わせる顔などない
DNA鑑定結果をどう告げれば良いのか
皆目見当もつかない
もう彼を巻き込むべきじゃない
嫌な女のそしりを受けようとも
このままリュカには会わずに
このままリュカの事は忘れよう
体に染みついた習慣のままに
電車に揺られ
会社へ向かうのを
踏みとどまった
私は
一つ前の駅で下車した
終ぞ下りた事のない駅
されどここもまた
オフィス街の一角だった
会社周辺の環境と大差ない
人もまばらな土曜日のオフィス街
フラフラと彷徨っていても仕方がない
かと言って
この時間開いている店は限られる
結局
ファミレスへと入店し
ドリンクバーをオーダーして
どれだけここに留まるかも分からぬ
暇潰しに備える
こんな感覚は
学生の時以来だろうか
あの頃は
まだ純也に恋をしていて
私達は
それなりに恋人同士だった
そんな事を思い出しながら
ガラス越しに外を眺め
行き交う休日の恋人達を眺めながら
物思いに耽る
恋人だった二人は結ばれ
私達は
夫婦になった
そして至ったのが今の私達だ
今の私には
決断しなくてはならない
大事な事がある
優柔不断で
決断できないが故に
現実逃避し
ガラス越しに外を眺め
物思いに耽っている
と……
店の外で
こちらを見つめ立ち止まる人が目に入る
「——!?」
——リュカだ
視線が合うと
彼は微笑み
軽く手を上げ
店へと入って来てしまった
途端に緊張感に襲われ
背筋が伸びる
そして
私の感情など無視して
ズカズカと相席した
「やあ、おはよ!」
「……」
突然の事態に
言葉が出ない
暇潰しの準備をしていた所に
突然踏み込んで来たリュカ
心の準備が全く出来ていない
(……やあ、おはよ?)
私とは裏腹に
あっけらかんとして
至って普段通りのリュカ
ラインを無視していたのに?
協力を仰いでおいて
DNA鑑定結果も告げていないのに?
「あのさ……」
「言っただろ?何があっても守るからって」
「まだ俺の事信じてないの?」
「瑠奈は分かり易過ぎるから」
“ 狼の嗅覚は人間の1万倍以上の感度があり匂いで追跡する—— ”
“ 狼は嗅覚と視覚を駆使して相手の感情や状態を敏感に察知する—— ”
(そうだった……)
リュカは狼の血統を継ぐ人狼
言葉を交わさずとも
私の居場所も
私の心情も
伺い知る事など造作もないんだ
そんなリュカを私は
信じると誓った
なのに私は……
色々な事があり過ぎて
忘れていたなどと自己弁護するつもりはない
でも
本当に色々な事があり過ぎて
心身共に不安定過ぎて
自分を
行く末を
見失っていた
「ま~たそんな顔して」
「物事を論理的に考え過ぎだって」
「社会で生きて行くには世間体や一般論も大切だよ、でもさ」
「言っただろ?大事なのは瑠奈がどうしたいかだって」
「人生は決断の連続、間違えても進む方向を見失わない事」